お泊まり会は唐突です 其の伍
一通りデパートを巡った4人、それぞれ欲しい物を買いデパートのレストランが密集するコーナーに向かっていた。
昼頃、一般客向けなレストランが多い中、4人は高級レストランに入った。
中に入るとカウンター席と白い布で覆われた正方形のテーブル席が置かれていた、既にお客さんもいたようで美味しそうな香りが4人の鼻腔を刺激する。
席に着く時、レストラン専用と思しき清楚系の制服に身を包み髪を束ねた女性のホールスタッフが椅子を引き1人1人案内した。
「いらっしゃいませ。御注文がお決まりの際は、鈴で鳴らし、お呼び下さいませ」
ホールスタッフはそう言うとメニュー表を4つ置き一例してその場を後にした。
「でもあれですわね、友人方と御一緒して回るデパートも中々楽しいものですわね。わたくし感動しておりますの」
アリシアはメニューを眺めながらそんな事をふと口に出すと紗霧と愛里菜も微笑み言葉を交わす。
「うん、私もこうゆう所に来るの1人が多いから嬉しいよ……?それに3人とも仲良くなれて、こうして回れるの凄い嬉しいし楽しい」
紗霧は照れ隠しにメニュー表で表情を隠すと愛里菜も頷き言う。
「紗霧さんの言う通りだ!私は男とばっかりつるんでたから何か新鮮だなぁー、もちろん杏月さんに言われてから男ともつるまなくなったし。今は同性同士こうして仲良くやれて楽しんだぜぇ??」
「そんな大袈裟ですよ。愛里菜様」
愛里菜のヨイショに杏月は苦笑いしながら首を振るも愛里菜は食いつく様に言う。
「謙遜し過ぎだ!!杏月さんのお陰なんだ……。それに今日はホントに楽しかった、後半も楽しんでショッピングしようじゃんか!!」
愛里菜は嬉しそうに言うとアリシアも紗霧も頷き杏月も微笑み同意した。
一通りメニューが決まるとアリシアの近くにあった鈴を軽く鳴らす、直ぐにホールスタッフが近付き伺う。
「はい、御注文はお決まりでしょうか??」
「ええ、オムライスとサラダ1つでお願いしますわ!」
「私はビーフシチューとブレッド1つ」
「んー、私はそうだな。伊勢海老の海老グラタンとアイスのストロベリー1つで」
「アリシア様……メニューはなんでもいいんですか??」
杏月はとりあえず聞いてみた、直ぐにアリシアは微笑み返し「いいのよ」と言うと杏月は目をキラキラしながらメニューを頼んだ。
「ビーフステーキのフィレっていうやつとケーキ1つください!!」
ホールスタッフも杏月の子供のような可愛らしい眼差しについ笑が零れてしまう。
「はい、かしこまりました。では御確認の方をお願い致します。オムライスとサラダがお一つ、ビーフシチューとブレッドがお一つ、伊勢海老の海老グラタンとアイスのストロベリーがお一つ、ビーフステーキのフィレとケーキがお一つでお間違いないでしょうか??」
「ええ、大丈夫だわ」
ホールスタッフが確認するとアリシアが代表して頷く。
直ぐにホールスタッフは見事な一例をしてその場を後にすると杏月は申し訳なさそうに言う。
「すいません、私ばっかり奢られてしまって。何か埋め合わせ出来ればいいんですが……何かありますでしょうか??」
杏月は困り果てていると3人とも顔を見合わせ苦笑いする。
「ええ、いいのよ杏月。それに安いもの、そんな気にしないで下さいまし」
「そうだぞ、杏月さん。別にこっちで割り勘するから大丈夫だ!2人共それでいいか??」
「ええ、別によいのですわよ」
「うん、別に構わない。美味しく食べよー」
紗霧が杏月にそう言うと杏月も3人がそこまで言うならと嬉しそうに頷いた。
「ありがとうございます!!皆さん」
「ふふっ、律儀ね杏月たら。まあ、そこも可愛いのだけどね」
アリシアは嬉しそうに視線を逃がすと紗霧も愛里菜も言う。
「そうだな、杏月さんって感じだな……。肩苦しいがまあ杏月さんだから」
「うん、堅いのはしょうがない。でも可愛いから許す」
3人の会話に杏月は料理が来るまで悶絶するのであった。
数十分経つと料理が運ばれて来る、3人のホールスタッフが料理を運ぶワゴンを押して4人が座っているテーブルにやってくる。
綺麗に彩られた料理の品々、目で楽しみ味で楽しむ、そんな料理を前にすると自然と食欲がわく。
料理が出されホールスタッフは指定の位置に戻って行くと4人とも食事を行い始める。
杏月は美味しそうにフィレステーキを堪能する、照之の従者の料理長よりは劣るものの普通に美味であった、杏月は美味しそうに頬張りながら食事を楽しむ姿に3人も笑が零れてそのフロアの杏月が視界に入る者は終始見惚れてしまっていた。
美味しそうに食すものだから昼を取ろうとレストランに訪れる者の視線を直ぐに奪ってしまう杏月、幼い姿の美少女が美味しく食している姿は誰しも同じ物を食したいと欲求が誘う。
気付いた頃には入ってきたお客の6割がステーキ系統を選び食していた、その光景にアリシアはもちろん紗霧も愛里菜も驚き苦笑いを零すしか出来ない不思議な光景の中、静かに食事は進められた。
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それからお昼を済ましゲームセンターに来ていた、何にしようかみな迷っていると愛里菜は言った。
「マジ楽しい、てか、プリ撮ろうぜー??たまにはこうして来るだろうけどさ、思い出に今、私撮りたんだけど……皆はどう??」
「いいわね、わたくしは賛成よ!!」
「いいね、私も」
「思い出かぁ……。いいと思います!!」
満場一致でプリクラ機に入る、抱き合ったりポーズを決めそれなりに女子高生と同じ様に今を楽しんで満喫していた。
4回程撮り、1人1人分け合える枚数にした、そしてアクセサリー店に入っていく一行。
ブランド物はもちろん様々なアクセサリーがショーケースに展示されていた。
「どれがいいかしら……」
「んー、ブレスレッドでもいいし……ネックレスでもいいね」
「私は何でもいいかな……皆とお揃いなら」
「私もです、余り詳しくないですので」
沙霧と杏月は特にどれがいいとかは疎く2人で少し離れたショーケースを眺め、アリシアと愛里菜は真剣な表情で物議を交わしていた。
「愛里菜さん、これなんてどうかしら??わたくしは色々見えない方がいいのでネックレスがいいのだけれど」
アリシアはショウケースのガラス越しで指を差す、一流の職人が作ったであろうネックレス、その作りは細かな細工がされており4つのピースがある。
そのピースは4個合わせて一つになるように出来ていた、一つ一つはそれなりのネックレスの大きさだが4個合わせた時その大きさは2倍以上になっていた。
特別な人でないと付けないであろう特殊なネックレスに愛里菜も静に見定める。
可愛い……それに4個のピースなんてなんかお洒落で可愛いじゃん!!
愛里菜も素直に認め、アリシアに伝える。
「いいね、可愛いじゃん!!これだったら4人でお揃いになるし一つのピースにしたらまた見栄える……流石だね」
「ふふん、わたくしもいいと思ったのよ!!これなら離れていても一緒でしょ??それにこうしてまた一緒に来られたのなら……一つにピースを合わせる事もできますの」
アリシアは少し寂しい表情をする素振りに愛里菜は静かに捉え見つめる、寂しながらも今を本当に楽しんでいる微笑みに何故か愛里菜は胸を締め付けられる思いになった。
暫く杏月と沙霧はアクセサリー屋の中をグルグル見て回っている一方、アリシアと愛里菜は4個綴りのピースを買っていた。
合流して4人揃ってからカフェでまったりと過ごすのであった。
「今日は楽しかったわ」
アリシアが満足げに言うとコーヒーを一口、口にする。
まったりとできる様に区切られた空間に杏月とアリシアが座り沙霧と愛里菜が座る。
机にはふわふわな分厚い3段のパンケーキや綺麗に盛られアイスがついているワッフルなどの品が4人のテーブルに置かれ雑談をしながら頬張る面々。
「うん、こうゆうのなら息抜きに行きたいね」
「そうだなぁー、私も同性でここまで充実した休日は初めてかも。それに仲のいい友人と行くのはいいもんだな!!」
「ですわね……。まあ、そのうちまた行きたいわね」
アリシアの少し名残惜しそうな横顔を杏月は見逃さなかった、直ぐに椅子の下に置かれたアリシアの手を杏月は優しく添えて何事もなかったかのように言う。
「大丈夫ですよ、必ずまた出掛けたりしましょうね!!」
杏月は3人に万遍の笑みを浮かべ言う、心配ないと言わんばかりにアリシアに握られた手は強くなりアリシアも強く握り返したのであった。
「そうだな!!また定期的に杏月さんの所でお泊り会しようぜ??もちろん、私の部屋でもいいし皆の部屋でも楽しそうね」
「そうだね、私もこの3人なら自分の部屋でもお泊りいいよ??楽しかったし凄い息抜きできた」
「そうね……。たった4日だけれど、わたくしも楽しい一時を満喫出来て幸せですわ」
「わかるわーー」
「うん、わかる」
アリシアに同意しながら微笑む沙霧と愛里菜、そんな楽しい空間に杏月も笑みが零れる。
「ふふっ……またこうしてまったりしたりお出掛けしたりしましょうね?」
杏月が全身全霊で素直な気持ちと笑顔を浮かべると3人とも物凄い速さで俯いてしまった。
杏月は周囲の反応にあれ??っとあわあわしているのであった。
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その夜、机に買い物袋が置かれる中4個が綴るピースのネックレスが心成しか煌めく。
今は一つになっているネックレスも後数日でバラバラになってしまう、だがまた4つのピースが1つになるのは早いかもしれない。
そんな可愛らしい4人の話声が広い部屋に轟きこだまするのであった。
「杏月が可愛い!!」
「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」
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