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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第二章
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お泊まり会は唐突です   其の三

それから日を跨ぎ早朝の事、杏月は照之の部屋に訪れていた。


まだ3人ともぐっすり寝ているのを確認し杏月は一足先に起きて、照之の部屋の扉を軽くノックして静かに部屋に入る。


杏月は朝早く申し訳ないと思いながらもベッドでゴロゴロしてる照之の方に近付く。






 「し、失礼します。朝早くに来てしまって申し訳ございません」


 「ふぁ~あ、杏月か。どうした??」


 「はい、早朝から部屋に来てしまい申し訳ございません。実は、アリシア様の事で相談したくてですね、その……」


 「ああ、構わないぞ?言ってみろ??」


 「は、はい!アリシア様が親の事情で政略結婚させられるとの事で、でもどう頑張っても私個人では何もできないと理解はしております。ですが、相談できる方は照之様しかいないと思い来ました。失礼なのは重々承知でございます……」


 「あー、あの事か。それがどうした杏月?心配か??」


照之は思い出したかのように言ってくると杏月は何でも知っているのかと素直に驚く。






 「はい、心配です。私如きが言うのは失礼なのは重々承知でございます。ですが……」


杏月はそう言うと照之の前で膝を折り頭を下げ土下座し頭を床に付けながら言う。






 「ですが、私如きが1人で足掻いたところで何やってもダメなのはよく分かっています。もちろん、私は照之様に相談する事すら烏滸(おこ)がましいのは承知の上でございます。この身が壊れようとも構いません、ですがアリシア様の件、どうか……どうか……お力添えをお願いしたい所存でございます」


杏月は必死にこうべを垂れた、早朝から土下座してお願いするのは罰当たりなのは100も承知な杏月、静かに照之の賽が投げられるのを待つ。


一方照之は思った、あの杏月が自分から相談して来ると思いきや、それも自身の事ではなく他人の事で来るとは思ってもみなかった。


必死にこうべを垂れ懇願する杏月を見つめる、以前の自分なら冷たくあしらっていたかもしれないと思うと今の変化に納得せざるを得ない。




はぁ、まったく。杏月というものは自分のことは相談しないくせに他人のことになるとこうだからな……。それにしてもアリシアが……やっぱりあそこの王族はいい話を聞かない訳だ。いいだろう、杏月に免じて一肌脱ごうではない!!




照之は否定する気もそれ程なかった、ただ杏月の苦しそうで悲しい表情でそんな気持ちは毛頭なくなっていた。






 「杏月、頭を上げよ」


照之の言葉で杏月は静かに頭を上げ真剣な眼差しで照之を見つめる、照之もその瞳に見覚えがあった。


以前の時も照之が悩んでる時に少し覗かせた真剣な表情、普段とは比べ物にならない程の表情に男心が少し擽られる。






 「以前なら俺はそうゆう話は断っていた、だがな??そなたと出会い様々な変化を見つめ返すとどれも杏月がいつもいた。俺もそうだし多分アリシアも同じだと思う。だが、杏月自身を身を粉にする必要はないのだ!どんと大舟に乗ったつもりで気軽に相談してくれれば良いのだ」


照之は杏月に優しく微笑む、土下座している杏月の頭を撫で相変わらずの行動に自然と笑が零れてしまうもそのまま話しを続ける。






 「それにだ、杏月!!そなたは俺の妻になるおなごだ!!そんな大事な人を誰が見捨てよう……杏月が悲しむことは絶対にさせない!!初めて出来た同性の友が苦しんでいれば誰だって助けたくなるさ。任せとけ、俺が必ずそなたの願い叶えてやる!!」


照之はドンと胸を張って高らかと宣言した、その風格はどの王族よりも気高く神々しい姿を目にする杏月は泣きながら照之に抱き付いた。


抱き付くと啜り泣く杏月に優しく頭を撫で抱き締める照之。






 「これこれ、まったくお主は変わらんな。大丈夫だ俺はそなたが妻なら、そなたに同性の嫁がいようと気にならん!!別に杏月がいてくれるだけで俺は幸せだ」


杏月は声にならない声で泣いていた、落ち着くまで優しく抱き留め頭を撫でてやる照之。






 「照之様……。ありがとうございます、うぅ……」


杏月は感謝の言葉を述べ照之の胸で泣いていた、それから落ち着いた頃、部屋にとりあえず戻ると沙霧が一足先に起きていた。






 「杏月ちゃん、おはよう……」


 「は、はい。おはようございます……」


杏月は必死に平常心でいるも沙霧は無言で杏月に近付き顔に手を添える。






 「な、なんでしょうか……??」


ジッと見つめられると恥ずかしくなる杏月、そんな事お構いなく沙霧は言い始める。






 「杏月ちゃん、泣いてたでしょ??目元が少し赤い……」


沙霧はそう言うと杏月の頭を撫でる。






 「ごめんね?別に聞こうとして聞いてた訳じゃないの。アリシアさんも王族だし大変なのはよくわかる、でも1人で悩まないで??私にも協力出来たら全力で杏月ちゃんをバックアップする」


沙霧はむふーっと言わんばかりの自信に満ちたドヤ顔で誇っていた、杏月も最初は気まずいとも思ったがそれでも厄介事とは捉えず逆に力になると言われ杏月は沙霧を抱き締め号泣していた。


静かに号泣する様に沙霧は優しく頭を撫で微笑むがアリシアとキスしていた事には少しムッとなり、がばっと杏月を剥がし唇を合わせた。


杏月は何が何だか分からず惚けていると沙霧は楚楚(そそ)たる風情で杏月を見つめ少し照れるも笑顔になる。






 「私の初めてを杏月ちゃんに捧げる……。杏月ちゃんだけだからね……??同性でもこんなにときめくもんなんだね」


心成しか嬉しそうに言う沙霧、杏月は口をパクパクしていると愛里菜も起きてくると何事もなかったように沙霧は手洗いに向かって行った。




















ーーーーーーーーーーー



沙霧は手洗い場に向かうと急に恥ずかしくなりボンと頬が赤く染まり耳が熱くなるのを感じた。




なんで私あんな事をしちゃったんだろう……。杏月ちゃんが可愛いから??ううん、杏月ちゃんは特別なだけ。他の女性を見ても杏月ちゃんみたいなドキドキはない……なら何故??




少なからず混乱していると直ぐに理由は明確になった。




そうだ、杏月ちゃんが可愛いのがいけない。私は普通、正常……??でもいつも無表情な私も杏月の前ではこんな顔になる、不思議で一杯……。




沙霧はそう思うと顔を洗って部屋に戻って行った。









それからの事、2日と3日は屋敷でゴロゴロしたりビデオや映画を鑑賞したり、優雅なティータイムを嗜んだり、杏月を愛で合ったりとスローな時間を過ごしていた。


3人ともそれだけゆったりとした時間は久しぶりだと喜んでいた、寝る時にも沙霧は杏月にくっついて寝たり、これから眠る愛里菜は杏月を抱き枕にして抱いて寝たいと欲望を心の奥底で渦巻いていた、個性豊かな寝方に杏月は翻弄されぱなしであった。


アリシアも笑顔が戻りいつものように振る舞っていた。




3日目の夜の事、4人でベッドで座りながら雑談していた。






 「そうですわ!明日はデパートに行って買い物でもしませんこと??」


 「いいですね、みんなでまわろ」


 「いいぜぇ、久しぶりだなデパートなんて!」


 「アリシア様、どこのデパートに行くんですか??」


 「そーね、たまには都会の本店のデパートでもよいのですわよ??」


 「あー確かに、最近全然行ってなかったからいいな」


 「うん、私もそれでいい」


 「なら決まりですわね!!」


 「うん、決まり!でもどこから回るの??」


 「そうだなぁー私は先ずは服見てぇーな!!その後はアクセサリーとか??」


 「いいですわね、後は沙霧さんはどこ見たいですの??」


 「んー、書籍がある所行きたい」


 「いいわよ!杏月はどこ行きたい??」


 「えーっと、甘い物があればそこに行きたいです……」


杏月はもじもじしながら伝えるとアリシアは我慢できず杏月に抱き付いてしまう。


どこに行って何をするのか話し合うと話し合っていた杏月はアリシアに襲われている中ふと思った、折角ならお揃いの物が欲しいなと思ってしまった杏月。


押し倒された杏月はアリシアに伝える。






 「あのぅ……後なんですが、その、みなさんでお揃いの物を持ちたいなぁ~なんて……。」


杏月の一言で静まり返る寝床だったが……直ぐに愛里菜が声を荒げた。






 「それは!いい考えだ!!!!是非、おそろの品を付けるべきだ!!可愛いのを頼むぜぇ」


 「うん、最高の提案!!」


 「やるじゃない杏月。それはいいわね!思い出としては最高ね」


アリシアは少し寂しそうな表情を浮かべるも杏月は察しそんな事も吹き飛んでしまうような万遍の笑み向ける。






 「まったく、杏月たら……」


杏月とアリシアが見つめ合っていると沙霧と愛里菜も混ざる。






 「アリシアさんばっかりずるい」


 「そうだ!ずるいぜぇ?私も混ぜろ!!」


2人は杏月とアリシアの覆い被さってキャッはうふふして過ごすのであった。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」



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