お泊まり会は唐突です 其ノ壱
学園は運動会の為、準備期間とし一斉に休校していた。
杏月というと学校に向かう弟達を朝見送り自室でまったりとうたた寝していた、出入りの激しいメイド達は入れ代わり立ち代わり入ってくるとウトウトしてる杏月に微笑ましい瞳を向けるメイド一向。
部屋の掃除をしながら散らかってる周囲の物を片付けて整理整頓するメイド、そんな時。
とある客人が照之の屋敷に訪れた、照之はいそいそと作業をしたり屋敷を歩き回っていると玄関付近を通った時、勢いよく扉が開かれた。
「杏月!!来ましたわよ!!!!!!あら、照之さんおはようございますの」
「あ、ああ……おはよう。どうしたんだ、そんな大荷物抱えて??」
「そんなの決まってますわ!!わたくし、杏月とお泊まり会を致しますのよ!!」
「いやいや……。何故そうなる、それに大荷物過ぎないか??何日泊まろうとしているのだ?!」
「そうね、6日ぐらいは泊まろうと思うわ!後、紗霧さんと愛里菜さんも来るのよ??」
意外にも1人ではなく3人ときたかと照之は思うと苦笑いしか出てこなかった。
「まあ、いいか。最近な、もう一つ杏月とメイドが寝れる部屋を作ってな、空き部屋を改装して過ごしやすい部屋にしたんだ、まだ使ってなかったからとりあえずそこで寝るといい。そうすれば杏月が今寝てる部屋を移動してそっちで女子会すればいいぞー」
「流石、照之さん。たまには役に立ちますわね!そうすれば私達が来た時、いつもでも一緒に寝れるというものですわ!!」
「あ、ああ……。言っとくが杏月は俺のだからな!!」
「ふん、杏月はわたくしのです!!元々男性ということもありわたくしの魅力にベタ惚れですのよ?お分かりかしら」
「ぐぬぬ……。ふ、ふん、別に俺は杏月と結婚するんだから!!はぁ、一々突っかかってくるな……。とりあえず荷物は隅に置いておけ、後で俺の従者達が運ぶ」
アリシアと照之はいがみ合っているとアリシアの従者がそそくさと玄関の隅にキャリーケースを5つ程置いていきそれが終わるや否や、アリシアは嵐の如くその場を去り杏月の部屋に向かって行った。
照之は相変わらずと思い溜息をつくも考えた、杏月が住み始め周囲の反応が変わったこと。
以前までは冷徹で冷ややかな表情や言動だったアリシアが、今では杏月の話になるとその仮面がいともたやすく崩れ落ち嬉しそうに駆け抜ける、そして無口だった紗霧も杏月のことになると余り喋らないが楽しそうな雰囲気を醸し出していた。
どの学年にも絶世の美女は数人いる、だが何故かその者達は杏月を見るも好意的にも取れる眼差しが見受けられた。
杏月の笑顔に男女一様に見惚れ、気付いた時には照之よりも多くの絶世の美女を惚れさせることになる。
照之はますます同性同士の仲が深くなるのだと溜息と少しばかりの嫉妬心が芽生える、項垂れながら再び屋敷内を歩き回り行事の会場に行く為、支度をして出掛けて行った。
バタバタと屋敷を駆け抜けるアリシア、杏月がいる部屋に着くと勢いよく、扉を開け入る。
「杏月!!!!来たわよ!!さぁ今日からわたくしこちらでお泊まりするのでよろしくお願いするわね??」
「ふぁっ……?!ビックリしたぁ。また急ですね……先ずアリシア様、入る時はもう少し落ち着いて入って来てください」
「ふふんー、わたくしの可愛い可愛い杏月と会えるんだものゆっくりしてられませんことよ!!」
何故か胸を張って自信アリ気に言い張るとメイドも微笑ましい眼差しで言う。
「流石はアリシア様です、杏月様の良さをよく分かってらっしゃいますね」
「ふふっ、当たり前ですのよ?それに照之さんが言っていましたけれど、新しい部屋が出来たとか仰ってましたけど……実に羨ましいのですわ。従者がこんな可愛い可愛い杏月を愛でながら寝れるなんて!そんなご褒美、中々ないんですわよ普通」
「はい、贅沢の極みでございます。そして恐悦至極のばかりでございます、近々、杏月様と一緒に添い寝することも多くなりますので女性従者達はとても楽しみにしてらっしゃいます」
「まあ、いいですわ。わたくし達が来た時は譲って頂ければ!!」
「もちろんでございます、杏月様は皆さんの物です。アリシア様もお好きですね……ふふふっ」
「ふん、あなたも中々いい趣味してますわね……」
メイドとアリシアのやり取りを横目に杏月は布団に潜り考えていた。
なんで同性同士でこんなことになってしまったんだろう……。それに皆可愛いのになんで私なんかにそこまでするのかなぁ。はぁ、分からないや本当に……。
杏月は布団に潜ってモソモソしているとアリシアは布団を勢いよく剥ぎ取ると杏月に飛びついてきた。
愛おしそうに頬擦りするアリシア。
「ああ、わたくしの杏月。いつも見ても可愛いわね、今日は新しいお部屋で夜からお泊まり会するわよ!!後、紗霧さんと愛里菜さんも夜来るらしいからその時は楽しく話しましょうね??」
「は、はい……。そ、そのー、余り見つめないでください。アリシア様、そんなに見つめられると少し恥ずかしいです」
杏月にしか見せないアリシアの素敵な笑顔、大切な人にしか見せないであろうその笑顔はとても芸術的とも思えてしまう微笑みに杏月は照れてモジモジしてしまう。
そんな笑顔を見せられたらどんな人でもイチコロだと思う杏月に容赦なく甘えてくるアリシア。
「あーん、杏月。わたくしを撫でてくださいまし……」
うるうるとさせた瞳に杏月も乗せられてしまい「しょうがないですねアリシア様は……」と優しく抱き留め頭を撫でるのであった。
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それから夕方まで映画鑑賞してティータイムをして過ごしていると、杏月の部屋に紗霧と愛里菜が入ってきた。
「杏月ちゃん、きたー。照之君から許可はもらった」
「そうだなぁ、私も初めて来たが、相変わらずでかい屋敷で驚いたよ。流石は皇帝陛下をしているのだと再認識させられるな」
愛里菜は苦笑いを浮かべると紗霧はとてとてと近付き杏月を抱き締めた、頬擦りしていると愛里菜も慌てて背後に周り抱き付く。
異様な3人組は今までなら関わりが一切なかったが今では杏月を慕う特別枠の友人になっていた、それは杏月の人柄だけでなくその陽だまりの笑顔にみな一同に癒される。
少し騒いでゴロゴロしていると夕食の時間になるやメイドに呼ばれ皆で仲良く食堂に向かう。
食堂に着くと先に弟達と照之は食していた、弟達は絶世の美女が3人とも杏月と付き添うようにいる姿にともきも微笑ましく思い、見届ける。
可愛い人ばかりだ……。流石は照之様と同じ学校に通う人達という所か、でも俺達3人とも杏月姉ちゃんしか興味ないからいいけど……この人達に手を出したら直ぐに人生詰みそう。怖い怖い、お金持ちはよくわからねぇーなぁ……あっ、これ美味い、こっちも美味い。
ともきはブルブルと身体を震わせそう思うと再び食事に意識を戻した。
杏月の幸せそうな表情に一同その場は直ぐに調和し和む、目を瞑りんんーー!!と美味しそうに食べている姿にメイドはもちろん料理長も陰ながら見守るような眼差し。
そんな愛らしい杏月が存在するだけで食事をするその場は、一層彩り賑やかな空間に変貌するのであった。
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食事を終えると弟達達は事情を察し今までいた部屋に戻って行く、杏月達は新たにメイドと杏月の特別な寝室に向かっていた。
荷物は既に運ばれており、中身はメイド達が整理して綺麗に机に可愛い寝巻きと下着やタオルが置かれていた。
わぁ、凄い……。ベッドが4つもあって、しかも机に本棚もあるーー!
杏月は度肝するその空間に呆然としていた、その空間は寝るブースにはキングサイズのマットレスが4個も繋がっているように配置されていた。
ソファーで寛げるブースや背丈の大き机は20人は座れる程の幅広いテーブル、書斎ブースもあり鑑賞用プロジェクターが配置されていた、その大きいな空間で大体が整って配備されていた。
至り尽くせりに感激している杏月を横目にアリシアは手を引き中に入る。
「いい部屋ね……。照之さんが杏月のことを思って作ったとお見受けするわ!さぁ楽しいお泊まり会を一緒に楽しみましょうね??」
アリシアは微笑みながら言うと杏月も素直に頷く喜ぶ。
女子会はまだ始まったばかり、賑やかな空間は深夜まで続くのであった。
「杏月が可愛い!!」
「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」
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