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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第一章
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御殿のような広壮な邸宅、辺りは住宅もなく、一際目立っているお城の様なとある豪邸。


夜6時頃、杏月は目を覚ますと、見たことない天井が視界に入る。


疲れ切った重たい体を、ゆっくりと上半身を起こす。


自身の身体に視線を送ると、ふかふかな寝巻用ローブに身を包まれていることに気付く。





 「ようやく起きたか!!そなたは美しいなぁ~、でも男とは聞いとらんぞ??」


不意に横にいた黒髪の美少年を見つめた。


自分がどうゆう状況なのか悟り、無表情の人形に成り変わる。


杏月が悟りを開いているそんな中、照之はマジマジと杏月を凝視していた。


無表情な姿もまた美しく、姿勢を正して先程とは違う表情になると切れ長な面妖な瞳にまた魅了されていた。



 うぐっ?!コイツは状況が分かったみたいだが、なんだこの妖艶な姿は……。数々の絶世の美女を相手にしてきた俺が言うのだから間違いない。それに物凄く美しく、そして珍しい……。



照之は興味深く杏月を品定める、小柄でありながら幼い顔立ちに似つかない面妖なフェイス。


そして男……。


唇は見るや否や、全てを吸い込ませる宝石の様にも取れ杏月の身体全体を見ていると、ふと思い出す。



 前に爺が言っていた性別を自然に促し転換する薬品が見つかったと最近言っておったな……。それを打ったらコヤツはどんな宝石になってしまうのか……。



照之はニヤニヤしながらそんな事を考えていると、杏月が慌てた様子で口を開いた。





 「申し訳ございませんが今何時ですか?!ぼ、僕には、弟達がいるんです……せめて……せめて……!!」


先程とは打って変わって無表情だった氷の仮面が崩れ、杏月の慌てるふためく表情をする姿にまたも魅了されるも照之は答える。





 「あ、ああ、杏月の親族か。こちらで全て調べさせてもらった、大丈夫だ、会いに行くか??」


 「は、はい……お願いします」


全て調査済みと言われ少しホッとし、杏月は頭を下げる。





 「よいよい、お前は俺に買われた。それは承知だな??お前に出した金は6億だ!!今の魅力、そして価値、もしお前がおなごであったら10億以上は出していたかもな。杏月を商品呼ばわりしてしまうが、許せ」


想像以上の価格を提示され杏月は、桁が違い過ぎて驚愕し呆然とするも口を開く。





 「はい……僕はもう貴方様の物。ですが、弟達は、せめてもの救いを……お情けを頂けないでしょうか??もちろん何でもします……。痛めつけようが死ぬのを見たいならどんな苦痛にもなんでも耐え抜きます!!!!だ、だから……!?」


杏月はその美少女フェイスに涙を流しながら照之の足にしがみ付き、弟達の為だけに自ら命乞いをして懇願する姿に、何故か胸の奥底が自然と熱くなるのを感じる照之。





 「安全せい!!そ、そんな姿を見せるでない、そなたはとても美しいのだ。それにそんな残虐な行為、皇帝陛下様であるこの我が……するわけなかろう」


照之はそう言うと、杏月をそっと肩を抱き寄せ「安心せい」と諭すと、「爺や」と指をパチンと弾き、呼び寄せる。





 「はい、何でしょうか、坊ちゃま」


 「うむ、お忍びで車を出して欲しい。杏月の弟達が家で待っていると思うが、杏月は家族のことが心配らしくてな、頼めるか爺??」


凛々しく放たれた声に執事の爺がニコニコしながら「仰せのままに」と一礼し、車の準備をする。













――――――――――――




7時半が過ぎる頃、ともきは杏月が帰っていないのが分かり下の弟達を慰めていた。





 「ゆうじ、みずき、お前達は俺が守る!!姉ちゃんが居ない今、姉ちゃんの有難みをしみじみ感じるなぁ……。」


遠い目をしながら泣きじゃくる2人を諭していると、玄関が勢いよく開いた。





 「ともき!!ゆうじ!!みずき!!お父さんには何もされてなさそうだね!?はぁ……無事で良かった……」


すぐに弟達を抱き締め安堵した杏月は、大粒の涙をほろりと目元から流した。


その姿はまさに誰もが支えて貰いたいだろう天使のマザーと言っても過言ではない美しさと包容力の塊を、照之は目の当たりにする。


ともきは杏月の後ろに刺繍が入った煌びやかな服装に黒服の執事が目に入り杏月に訊ねる。





 「ね、姉ちゃん……この人達は誰なんだ??」


ともきは杏月に聞くと他の弟達2人が「怖いよ……」と不安がってしまい杏月にしがみつく。





 「ともき……この方はね、僕がお父さんに無断で資産家の人に売られていた時に助けて頂いたの。でも安全して??僕が皆を守るから……!!僕は、どうなってもいい。でも……お前達には不自由なく過ごしてもらいたいんだ」


美しい顔が険しく辛そうな表情に、ともきやゆうじにみずきまでも玄関に立つ者を睨みつけているその光景に爺は呟き始めた。





 「な、なんと美しいのじゃ……。坊ちゃま、わたくしはこんなお姿見せられてしまいますと……わたくし事ではありますが同情しかねます」


 「そ、そうだな。普通は同情もある程度はしょうがないことなのだが……今回は杏月を拾った事もあるし、杏月の弟達は爺が丁重に迎えてやってくれ。それにだ、杏月!!」


 「は、はい……??」


 「お前が女になり俺の世話をするのなら……この者達を爺が大事に生活のフォローしてやるぞ?どうだ??選択肢をやろう、嫌としても面倒を一応見るが、もし杏月が女として変わるのであるなら、お前らの人生は一生安泰だぞ??」


爺が「もちろんです」と目尻をハンカチで抑えている中、照之は杏月に交渉に持ち掛けた。





 「は、はい……。僕で良ければ……でもこんな身体ですよ??それでもいいのでしたら、この身捧げます……。」


杏月は徐にバッと服を少したくし上げて背中を見せた。


そこには痣だらけの華奢な身体を見て照之と爺やは絶句する。





 「爺よ……俺は思うのだ。この世で美しい女とは、どんな女か……とな。だがこれがホントの美しい女であるのなら、そうは居ないと自負しているつもりだ」


 「左様で御座いますな」


杏月は艶冶(えんや)な舞いとも取れる姿で、流し目のまま背中を見せる姿にまたも魅了されるも、痣だらけな華奢な身体だけに痛々しさはより一層、増した。





 「爺よ、俺はな、こうゆうのは良いとは思わんのだ。こんに可憐な乙女を、傷物にするとは万死に値する!!!!」


照之は神々しく口にする姿に、杏月や弟達は唖然とした。





 「ほぉほぉほぉ、わたくしもそう思いますぞ坊ちゃま!!これ程麗しい姫君を放ってはおけませぬなッ!!」


 「爺がそこまで言うとは……素晴らしいおなごだ!!調べは大凡(おおよそ)付いている。あの糞親父とやらを懲らしめる事を許そう。爺、任せるぞ??」


 「もちろんでございます!!杏月様には一刻も早く神乃家に来ていただける様、努めます!!」


杏月は思った、知らない所で何やら照之と隣にいる爺やと言われる執事服の人達は、何故か勝手に話を進めていた事に絶句する杏月。





 「ね、姉ちゃん背中が……」


 「おねぇーちゃん……。いたいのいたいのとんでけー!!」


 「おねぇ…たん…………」


口々に弟達が痛々しい背中を摩ってくれる弟達の姿を見て、杏月は思った。


こんなに想われていたと知り、目尻がぎゅーと緩んでしまう。





 「杏月に弟達よ、お前らはこれから俺の屋敷に来い!!もちろん杏月を無下にはしない、この意味、次男ならわかるな??」


ともきは終始無言で頷く。





 「よしそうと決まれば明日に引っ越しを手配する。そうすれば今日は家族水入らず、俺の屋敷で寝るがよい。俺の隣に空き部屋があるから、そこにキングベッドを置かせるからそれでゆっくり休むといい」


 「はい、ありがとうございます……。照之様……!」


杏月は涙ながらも微笑む姿に照之は平然を装うのがやっとでいた。


まさに天使の微笑みとでも取れるその男の子は、乙女よりも美しく儚く、だけれども包容力に包まれた天使の杏月に、一向に太刀打ちできない照之だった。













――――――――――――




皆が寝静まる深夜遅く、照之の自室にノック音が響く。





 「照之様……杏月です。入ってもよろしいですか??」


 「あ、ああ。入ってくれ」


 「失礼します」


 「それで、どうしたのだ??眠れぬか??」


照之の部屋に書斎らしき片隅、デスクランプだけの光が灯っている中、書類を整理していた。


照之は思う、暗く沈んだ部屋に面妖な美しき杏月が立っていたのを見ると、自然と作業していた手が止まり一旦作業を止めると、杏月の方に歩み寄る。


一方その頃、杏月は照之の部屋の広さに驚愕した。


30畳はあろうひと間に杏月は只々、圧倒されていた。



 広い……。ベットも大きいし、本棚がいっぱいある……。どれもこれも高そう……。



そう思いながら部屋を眺めていると、照之が目の前に現れた。





 「うむ、どうした杏月??」


 「今日は色々あり過ぎましたが、感謝のお言葉を……。それに皇帝陛下様だとは露知らず、お許し下さい」


杏月はその場でしゃがみ、正座して謝罪する。


杏月からみたら貴族とはなんの関わりもないと他人事に思っていた。


だがしかし、目の前に照之と言われる皇帝陛下である本人がいるのだから言い逃れは出来ないことを悟り、謝罪から入った。





 「ああ、なんだそんなことか……別に構わん。それにもうよせ、そうだ!!少し話さんか??」


照之は色っぱい杏月の姿に耐えながらとりあえずと言うと、部屋のテーブルコーナーに誘導する。


テーブルコーナーはテーブルとテレビが置いてありシンプルではあるが全てがブランド物で統一され、テレビは100インチ以上の特注品が壁沿いに設置されていた。


2人は席に着き、話し合う。





 「照之様は何故、僕を助けてくれたんですか??」


 「うむ、そうだな~。俺はな、今まで様々な絶世の美女とやらを見てきたんだ。だがな??杏月はその誰よりも欲に塗れぬ純粋無垢な姿に、誰よりも美しく、そして儚い杏月を見て俺の心はざわついていたのだ。だから俺は助けたというか……拾ったわけだ!!」


スケールがいちいちデカ過ぎて杏月はポカーンとしていると、更に照之は話を進める。





 「それにお主が誰かに嬲られているのを見て、ふと我慢出来なくなったのだ」


ははっと優雅な笑う照之。





 「そなたは美しく儚げであり、幼い姿ながらも慈愛に満ちた包容力。弟達が懐くのも無理もない!!それにだぁ……!!!!そなたは女になるべくして産まれるべき存在なのだ……。爺も好んでいたし、俺もたまらなく(かたわ)らに置きたいと、そう思ったのだ」


照之は照れながらではあるが、その発言は堂々と発言する振る舞いに、杏月はただただ耳を傾けた。





 「ありがとうございます、照之様の為なら女にでも、何でもなって見せますよ!!だって……救って頂いた命、その……照之様の為になるのなら、僕は喜んで差し出します」


少し寂しそうな表情を浮かべるも、直ぐに小さく微笑む。


照之はここまで杏月が覚悟を決めて話してくれた事に、素直に好感を抱いた。


元々杏月は女性ホルモンが多く、同性の中で最も女性に近い存在なのでわと自負していたが、それも虚しくその幼く屈託のない笑顔を見せ付けられると、鼓動が自然と早くなるのを照之は身体全体で理解した。





 「ああ、そなたの覚悟……受け取るぞ。そなたはとても良いおなごになれるぞ」


照之は席を徐に立ち、杏月に近付くと、絹の様な黒髪を何度か優しく撫でる。


杏月は身を託すように照之に軽く頭を寄せると、うっとりと安心した表情で上目遣いになる杏月は、照之の顔に視線を移した。





 「はぁうん……。て、照之様ぁ……くすぐったいです」


照之はゴクリと喉を鳴らした。


杏月の黒髪はとても滑らかで暗闇の微かな光にすら照らされると、より一層杏月の妖気を急増させる。


うっとりとした顔に天使の笑顔が重なり、更に上目遣いにあえなく撃沈する照之。



 こ、これは!?一般市民が世にも不可解な事を言っているロリコンホイホイと言う奴ではなかろうか???むむむ……。良くアニメとやらが大好きな貴族がいたが、アイツの言うことも分からなくはない……。それになんだその顔わぁあ!!!!俺をキュン死にさせるつもりか?!ぐぬぬ……(あなど)れぬな。



照之はつい内心暴走気味ではあるが、杏月の顔を近付きほっぺにキスを施す。





 「ちゅ……。今日はもう遅い、杏月も弟達と共に寝るがよい」


 「は……はい。照之様、おやすみなさい」


杏月がぺこりと頭を下げ部屋に戻ると杏月が去った後、照之は何をしているかというと、自問自答を繰り返しながら自室のベッドにダイブをかますのだった。


杏月は寝ている部屋に戻ると静かに部屋に入った、弟達の剥がれてる毛布を掛け直し、自分もベッドに潜る。



 お、女の子になるのかぁ……。まあなんとなくわかってたけどさ、男に似つかわしくないもんね……。お母さん、僕は本当に女の子になる日が、近いもしれません…………。



トホホと溜息を吐き、ふかふかのベッドに意識を委ねた。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」


と思った方は是非、好評価をお願いします。



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