皇帝陛下の逆鱗に触れるも聖女の如き慈愛
杏月が連れ去られた後、沙霧は直ぐに慌てふためき学園長の自室に向かった、今まで出したことの無い全力疾走で沙霧は広い廊下を駆け抜ける。
沙霧は杏月の笑顔で去って行ったのを目にした時には身体が脳や思考より1歩先に動いていた。
普段はクールで無口な沙霧だがこの時だけは我を忘れ全力で駆け抜ける、数分すると学園長室がある1階に着いた。
沙霧は物凄い勢いでドアを開ける、肩で息をする様に慌てながら中に入る。
「むっ、何事だ?!今は大事な話の最中なのじゃぞ?!」
「申し訳ないです、ですが……杏月ちゃんが杏月ちゃんが……攫われてしまって……うぅ、私を庇って……」
慌てふためく沙霧に学園長は厄介な視線を送っているとその場にいた照之がその事実を耳にするや否や、物凄い殺気立った眼光に変貌する。
「おい!沙霧よ、それは誠であるか!?奴らか……。くそっ!!!!学園長、一旦その話は保留だ!!」
「な、何を言っておる……今大事な話が……」
「うっせぇ!!クソジジイ!!この学園潰すぞ。おい……」
ドスの効いた重々しい殺意の篭った声で学園長を捉える、物凄い鋭い眼光は学園長すらも圧倒させ威圧で黙らせる、沙霧も今まで見た事の無い照之の殺気やオーラに身の毛がよだち腰を抜かす。
初めて見る照之の本気の殺意に2人共沈黙に襲われ学園長は素直にこうべを垂れる、生存本能が危険と察知する程の殺意で塗り固められたオーラが圧倒して腰を抜かす沙霧に照之は静かに聞き入れる。
「沙霧よ、済まなかった。杏月はどちらに向かったか分かるか?」
「ひっ……え、えっと。多分今は皆さん昼食をとっていると思うので逆の方に向かいました、多分使っていない部屋だと思われます」
「うむ、あいわかった。学園長殿、話はこの一件が終わった後だ、先程の無礼を許せ」
照之はその場に言い残し急いで部屋を後にした。
杏月……。杏月……。無事でいてくれ!!!!
「爺や緊急事態だ。杏月が攫われた、直ぐに部隊をこちらによこせ!!学園から1歩も生徒を出させるな!!俺は杏月を向かいに行く!!杏月を攫った奴らのデータを頼む」
照之は廊下を走りながらスマートフォンで爺やに報告する、その慌てっぷりに爺やは直ぐに了承しとある男のデータを送り部隊を手配した。
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杏月は恐怖で足が竦み涙目で震えていた、肩を組んでいる男子生徒は気まずそうになっていた。
こんなの……俺、誘拐犯じゃね……?えっ……てか、まじ可愛いんだけどこの子。
男子生徒は杏月の事を如何わしい感情で思っていると愛里菜が待つ部屋に着く。
「愛里菜お嬢、連れて来ましたよ」
「ああ、ご苦労さん」
男子生徒は部屋の前で肩を組むのを止め部屋に入ると愛里菜に報告すると荒々しい言葉遣いが返ってくる。
「てめぇ、最近調子に乗ってねぇか?何か気に入らねぇんだよなーおめぇみたいな女を見ているとよ、胸糞悪くなるんだよ」
愛里菜はズカズカと杏月の方に近付き胸ぐら掴んで鋭い眼光で睨み付ける、杏月は涙ぐみながらも口を開く。
「えっと……その、私何かしましたでしょうか……?それに、ふ…服を掴まれてしまいますと息が苦しいです……やめてください!!」
「チッ。気に食わねぇ……。」
愛里菜は荒々しくワイシャツから手を離して座っていた椅子に戻り座ると周りにはいる男衆に命令する。
「おい、お前ら。こいつ好きにしていいぞ、ちったァいい声を上げてくれるだろうよ」
「でもよお嬢、こいつは照之の秘書なんだぜ……?ヤベぇんじゃねぇのか?」
「確かに、お嬢……別に無理してふんずり返ったりしなくても良いんじゃねぇですか??お嬢は……」
「うっせぇ!!昔の事は良いんだ!!こうして強くいなければ行けない世界もあるんだ!!舐められたら終わりなんだ」
少数ではあるが男衆の中に少なくとも愛里菜を心配する様な素振りを2人程見せる、杏月は終始沈黙して愛里菜のやり取りを見つめていた。
恐怖で今にも逃げ出してしまいたい気持ちが湧き上がる、愛里菜という人にも事情があり、そうに振舞ってるいるのかな?と思っているとチャラそうな男子生徒が杏月の前に立つ。
「オラッ!!照之って野郎何か知らねぇけどよ、それにてめぇは……少しは楽しめそうな身体してんじゃねぇか。ああ!?」
「ひっ……?!や、やめてください」
「そんな事を言われてもなぁー。オーっと手が滑った」
その男子生徒は杏月の服を少しだが腕力で破り捨てた、力に自信があった様で軽々と着ている服を破り不快な如何わしい目付きで杏月を品定めする。
制服から現れた美しい下着を身に纏う身体が露になり裸体の一部が姿を見せる、男衆はその嫌がる杏月の姿に男達はそそられて近付く。
杏月は初めて助けを必死に求めた。
「いや!!触らないでください。誰か!!」
「へへっ、そんな来るわけねぇぞ。たくさん可愛がってやるぜ……」
「じゃあ俺も」
「楽しませてくれよな」
数人いた男衆は杏月を囲い込む。
「愛里菜様!!お助け下さい!!せめて無慈悲を……」
杏月は必死に愛里菜にこうべを垂れ助けを求める、涙を流し手を伸ばすとチャラい男子生徒が杏月の頬をビンタし腹部に重い拳を入れる。
「うっせぇんだよ!クソアマが!大人しく犯されちまえよなぁ!!」
「ぐっ……!?い、いたいよぉ……苦しいよぉ……ひっく……うぅ……。」
杏月の姿に愛里菜は無言で見ていた、男衆に身ぐるみを剥がされ涙ぐみ助けを必死で求める杏月の姿に愛里菜は重々しく口を開く。
「もう、いい。辞めろ……離してやれ」
「えっ、いいんですか??お嬢……」
「ああ、構わねぇ。この辺で許してやる……」
愛里菜は杏月が犯されそうになった瞬間、直ぐに仲裁させ止める、男衆は直ぐに首を傾げて不思議そうにしているとチャラい男子生徒が愛里菜を蹴り飛ばす。
「毎回思ってたんだけどよ、てめぇいい加減にしやがれ?めちゃくちゃうぜぇんだよ。面が良いから傍に居たけど、めんどくせぇーからてめぇもついでに犯してやるよ、お前達も俺が許す2人共可愛がってやろうぜ?」
「まあそうゆうことならお嬢すまねぇな。ひひひっ」
「2人共可愛がってやるからな」
「いや俺はパスする。お嬢を裏切る事は出来ない」
「俺もだ。裏切る事はできない」
愛里菜はその場にお腹を抱えうずくまってしまった、反対する者は直ぐに部屋を出る、杏月は直ぐに緩んだ手から逃れ愛里菜の前に立ち塞がる。
「やめてください!!あなた達、自分達がしている事を分かってやっているのですか??」
「生意気だな、お前。そうだよ、前々から気に食わなかったんだよその女も……。くくくっ、いい機会だ一緒に俺らの玩具にしてやるよ」
杏月は侮辱され不快な視線に耐えられなかった、愛里菜も必ずしもそう威張っていた訳ではないと不思議と直感で悟りなりふり構わず助けた。
涙で涙痕の残る中精一杯の睨みを効かせる、チャラい男子生徒は舌舐めずりし近付きながら言う。
「てめぇ中々良いじゃねぇか。気に入った、俺の女にしてやるよ。飽きたら薬漬けにしてやるからさ……ひひひっ」
「誰があなたみたいな人に……?!そんな事許す訳ありません!私は許しません……。あなたは最低な人間です!!!!救いようがない屑です!!」
杏月は父親の様な悪寒を思い出し言う、ありのまま不快な気持ちを吐き捨てる。
眉間に皺を寄せ苛立つの姿が直ぐに分かった、殴られる…そう悟り髪の毛を掴まれたその時…………物凄い勢いでドアが破壊され吹き飛ばされる。
物凄い破壊音を轟かせる、荒々しくドアを破壊すると入口付近に倒れ込む2人ともう1人の佇むシルエットがその場に姿を表す。
照之は物凄い速度で周りの男衆にキツイ1発を腹部にお見舞いする、今までに感じた事のない怒りに満ちた殺意をその場に放つ。
たじろぐ者や腹部に食らって泡を吹く者がいた、照之は杏月の姿を目にするやその怒りは最高潮を優位に越え限界突破し怒りに満ち溢れたオーラにその場は緊張が張り詰める。
「おい、そこのお前。てめぇ……。覚悟は出来てんだよな??」
冷徹でドスの効いた声がチャラい男子生徒を捉える、チャラい男子生徒は全身から嫌な冷や汗が吹き出てくるのが分かった、自身の身体は危機管理能力が最大限に発揮されていた。
「だ、だからどうした!てめぇ、偉そうにしやがって!てめぇも気に入らねぇ!この女も気に入らねぇ!どいつもこいつも気に入らねぇだよ!糞野郎がぁあああぁあああ!!!!」
男子生徒は杏月を蹴り飛ばし愛里菜の傍に蹴り倒す、その行為に照之は俯き冷静に言う。
「糞餓鬼が……。それだけか……??言いたいことはそれだけか……??もう言い残す事はないな…………」
「は、はぁ??な、なにを……言ってやがる!!」
「外を見ろ、我が精錬された特殊部隊がお前の頭部を狙っておる。周囲にも我の管理下の特殊部隊が取り囲み包囲している……。逃げる事は0%だ、お前は触れてはならない一線を超えてしまった」
照之は静かにチャラい男子生徒に近付く、チャラい男子生徒は最後の悪足掻きに殴りかかってくると照之は可憐に交わし回し蹴りをチャラい男子生徒の首元をピンポイントでボールを蹴るように狙い、足を振り下ろす。
静かに顔面から倒れ込み意識を刈り取ると照之は急いでうずくまっている杏月に駆け寄る。
「杏月……?!杏月……?!生きておるか??大丈夫か?!何もされなかったか?!杏月……済まなかった、杏月……。」
優しく抱き寄せ杏月の安否確認していると、か細い声で言う。
「愛里菜様をお許しになって上げて下さいませ……。私は大丈夫です」
か細い声にも関わらず他人を心配し小さく弱々しい微笑みを浮かべる杏月に照之は居ても立っても居られれず抱き締める、ぐったりとする杏月を優しく抱き留め、涙する。
先程の殺意が嘘のように照之は涙で視界が歪む、愛里菜は慈愛に満ちた杏月の行動に自身の愚かな行動に我に返る様に慌てて杏月に歩み寄る。
照之は最初は警戒するも愛里菜の行動に警戒を解く。
「杏月さん……申し訳なかった。私が悪かった、どうぞ処罰をお与えください……。」
「うぅ……。べ、別に……平気だよ?あなたにも何かそうしなければならない過去があったんだと思う。それにあなたは嘘で着飾るよりありのままの姿が1番綺麗だと思います……えへへ」
杏月は苦しいながらも愛里菜を諭す、愛里菜は杏月の手を握り罰を覚悟した。
許されるべきではない事を仕出かしてしまったと後悔するも杏月は怒りなど見せるどころか愛里菜の頭を優しく撫でてきたのだ。
杏月は少しすると疲れたように目を閉じてしまった。
照之は杏月をお姫様抱っこしてその場を立ち上がり、愛里菜に言い放つ。
「今回はお主だけは杏月に免じて多めに見てやる……。これを気に変われたら良いな愛里菜よ。この男らは丁重に粛清する、杏月を傷つける事は万死に値すると肝に銘じておけ」
照之はそう言うと静かに出て行き保健室に向かった。
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それから杏月は2日の休養を貰う、照之の計らいで居心地の良い場所を提供する事を誓い約束した、当の学園長というと照之に説教されていた。
学園側が生徒に配慮し切れなかった事で今回の騒動になったと口を酸っぱく釘を刺され学園長は冷や汗をかきながら正座をしながら謝罪していた。
沙霧は心配の余り保健室に頻繁に出入りしてちょこんと様子を伺っていた。
その後、チャラい男子生徒はまあまあの企業の社長の息子と分かり株式市場に出ていたと知った照之は罰として物凄い売りを発注し1週間で株価は5000円から300円まで急落し社長の髪は散り散りなって抜け落ちていたのだった。
「杏月が可愛い!!」
「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」
と思った方は是非評価をお願いします。
ブックマークが29件になってました!!
ありがとうございます。ありがとうございます。
是非評価、ブックマーク、色々改善点があればお願いします。
適度に更新出来たらと思います。