皇帝陛下は絶世の美女達に求愛される
照之は仕事に赴いていた、杏月がいない今、照之は貴族として皇帝陛下としての鋭い眼光になり凛々しく煌びやかなお召し物を身に着けていた。
黙々と車内でスマートフォンに送られた添付ファイルに目を通す。
ここ最近、やたらと縁談話がやってくるな……少し面倒だな。
そう思いながらスマートフォンの画面をスライドさせていく。
中小企業の令嬢、大手企業の令嬢、資産家の令嬢、投資家の令嬢、王族の血を持つ令嬢、貴族の令嬢、皇族系列の令嬢そして一般人でも美しい容姿なら応募できるとかで様々な絶世の美女が掻き集められていた。
確かに容姿は美しい、それは照之も思う所は多い。
だが今となっては杏月の存在が大きかった、泣かせる真似は出来ぬと自負するも絶世の美女達に求愛されると照れてしまうのは男の性分なのだろう。
一息付くと照之はスマートフォンの電源を切り画面を暗くした、先ずは仕事を熟さねばとパンパンと顔を叩き気合を入れ直す。
照之は企業の最高位の幹部集を搔き集めて社内の状況や受け持つ新着状況を耳に入れる、真剣な面持ちで凛とする姿に最高位の幹部も緊張感に張り詰められていた。
一通り終えると照之は幹部に労いの言葉を添えるとそそくさと次の場所に向かう、次は令嬢が集まる照之の婚約者を見つけるパーティーが開催されていた。
もちろんみな絶世の美女と思える出で立ちで優雅に着飾る、もちろんその場は照之しかいないから1人1人の時間を設けられ話す。
「皇帝陛下様、お久しゅうございます」
「ああ、以前もパーティーでおったな。あまり無理はするなよ?」
「えっ……??ど、どうゆう事でしょうか……??」
「そなた好きでここに来ている訳では無さそうに見えるが、それ程お家を優先するのか?」
「はい、私達は皆同じだと思われます。皇帝陛下様と添い遂げることは令嬢の中でも女性としての悦びは最高潮とお聞き致しますが……」
「はははっ、謙遜するでない。確かにそなた達は美しく艶やかである、俺が保証する。だが楽しそうには見えないのだ……。正直、馬鹿親のせいで辛そうな表情を覗かせると俺も辛くなってしまうのだ。美しい姫君達には自身の恋愛をして欲しいと思う」
「お優しいのですね……。皇帝陛下様は、貴族の方々は普通は何人も娶り夜を楽しむとそう噂で聴きましたが、皇帝陛下様はどの王子達より素晴らしいお方なのですね……。わたくしも皇帝陛下様のような素晴らしいお方なら娶られたい想いでございます」
「ああ、言葉だけ貰っておく。確かに複数と言うのは男児たるもの唆られる話ではあるが……。今は1人の姫君を愛で愛していたいのだ。少なくとも今は……もしも子孫を残す為にやらねばならない時はその大事な姫君に俺は相談しなければならぬ」
「皇帝陛下様がそこまで推したいされているお方はとは羨ましい限りでございます……」
「ああ、まあな。とりあえずはここはパーティーの場だ、緊張せず美味な食事があるからそちらを食して一息して貰えればと思う」
照之は最大限の微笑みで令嬢と話し合う、交代し来る度に同じ様な内容を話す、どの令嬢もとても美しく目を奪われる。
もしもの時はしっかりと杏月に相談しようと心で境界線を引いていた、理性が飛んでしまうほどの絶世の美女を100人相手にすると感覚が麻痺してくる。
照之は姫君達を見て余り笑みを見せない令嬢が多くいた、親の為に使われていると思うと苛立ちが募った、親の道具で好きでもない相手と婚約者パーティーに参列させられるのは姫君達は絶対に良い気分ではない筈。
パーティーも無事難を逃れ終える事ができた照之、遅い帰宅になったその日は屋敷に帰ると杏月が廊下を歩いていた、照之に気付くと微笑みながら近付いてくる。
「お勤めご苦労様です、照之様。」
「ああ、今日は疲れた。最近は婚約者パーティーが最近多くてな……断るのに一苦労だ」
「なぜでしょうか?照之様程なら複数の方と添い遂げることは可能なのでは??」
「うむ、まあそうなのだが。今は1人の美しい姫君を愛でたいのだ」
杏月は疑問に思い首を傾げると照之は杏月の頭を撫でながら言う。
「もちもん、1人に身を固めるのは立場上難しいかもしれぬ。だが今は杏月を愛で愛していたいのだ、もちろん複数になってしまったら杏月には申し訳がたたぬが…」
照之は項垂れていると杏月は笑顔で答える。
「照之様、その時はその時でございます。私は複数でも嫌ではありません、ちゃんと私の事もみて頂けるのなら全然我慢できます」
杏月の満遍な屈託のない笑顔に心が痛んだ、本当にそれでいいのか?気付いたら頃には誠の髄の中で自問自答していた。
共に部屋に戻る時、杏月の横顔は少し寂しそうな表情をチラリと覗かせていた。
そんな悲しそうな表情を目にするや否や、杏月の手を引き照之は自身の方に強引に引っ張り抱き寄せる。
戸惑いを見せる美しい顔には少し涙が目尻に溜まっていた。
「杏月、済まない。そうゆうつもりでは無いのだ!!これこれ、泣くでない。美しい顔が台無しになってしまうぞ……」
照之は慌てて誤解を解くと目尻に溜まる涙を指で弾く。
「すいません、わかってるつもりでも考えると涙が出てきてしまって。ご迷惑かけてしまいました……」
「よいよい、俺は杏月を泣かすまいとしていたのにすまない……もちもん杏月の事が大好きなのだ!!この気持ちは本物だ、だからこうして100人も同じ説明をして断りを入れたのだ!」
照之は真実を杏月にしっかり目を見て言う、熱い眼差しで誤解を解こうと必死な姿に毒気が抜かれたように杏月は笑い始めた。
「くっ……ふふっ。必死なお気持ちは嬉しいです、私も捨てられるのではとちょっと不安になってしまいました。申し訳ございません、照之様」
杏月の瞳は潤んでいた、照之はその瞳に吸い込まれるように杏月をいつの間にか抱き締める、自分自身にすっぽりと収まる杏月を愛おしく愛くるしい杏月を強く抱き締めると杏月もそれに答えるように腕を腰に回し抱き締め返してきた。
「杏月、俺はそなたが居ればよいと思ってるのだ」
「でもお仕事だったりしたらどうするのですか??」
「ぐっ……。その質問は意地悪と言うものだ、もし子種が欲しいならそれだけやるつもりだ。そうすれば王族の血を一応繋ぐこともできる。だが杏月以外とはこうして身体を絡め合うのはしとうないのだ……不服かもしれないが許して欲しい」
抱き締め合いながら話を進めると杏月は頭をグリグリと照之の胸に押し付けて言う。
「じゃあその時は私が御奉仕して差し上げます」
甘い声が照之の五感を刺激させる、甘い声に甘い誘惑に照之は唯一杏月だけには逆らえなかった。
「もちろんだ、その時は杏月に頼もう……」
恥ずかしながらも杏月を抱き締めると今度は杏月は上目遣いで潤んだ瞳が照之を捉える。
ぐっ……?!なんと罪深い奴なのだ……。こんな……こんな、愛おしく愛らしい姿を誰が離そうか!?
照之は内心そう思っていると身体は意思とは反して勝手に行動していた、照之は杏月の唇に優しく触れ合う。
互いの鼓動や体温は上昇する一方、優しく触れ合う唇は一層激しさを増す。
蕩けてしまう程の熱い接吻、意識が飛んでしまう程の甘い口溶けが照之を襲う。
杏月の妖艶な艶姿を覗かせ始める、色気が一層引き立ちうっとりとした杏月の姿に照之は胸を射抜かれ貪り食う様に杏月を欲した。
杏月も受け入れるように身を委ねる、意識がハッキリしなくなる程、蕩けてしまうそのキスは何よりも愛おしく感じさせられた杏月。
何度か深い接吻をし照之を腰を砕けそうな杏月の腰に手を当て支える、照之は自室に杏月を連れ込みベッドに押し倒す。
恥ずかしくモゾモゾしてる杏月に照之は理性を失いそうになるほどの面妖な美しさに心を打たれパなしである。
そして杏月は確かめるように照之にキスをした、小悪魔に迫られる照之は素直に従い2人は深く熱い濃密な一時を堪能する。
「てるゆきしゃま……私は、あなたと出会えて、本当に良かったです」
杏月は抱き合っていると涙を流し視界が歪む、照之も懐からハンカチを取り出しその雫を掬いとる。
「ああ、俺もお主のようなおなごに会えた事、心より感謝している。ずーっと傍にいてくれ!!杏月……。」
「もちろんでございます、照之様こそ、私の傍にいてくださいね??」
杏月はおねだりする様に甘えてくる、照之はおかしくなってしまう感覚に陥る。
そんな理性がなくなってしまう境目でも愛おしくそうに頬に手を添え「当たり前」だと言い再び絡み合う。
「杏月が可愛い!!」
「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」
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