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皇帝の従える妻は元男の子?!  作者: アリス・world
第二章
19/49

プライベートビーチと親密な一時   後編

照之はみずきの腕が顔面に飛び刺さり豪快な寝相の悪さに起こされ、憂鬱そうな面持ちで目を覚ました、煮え滾る思いは日を跨ぐごとに一層、色付き引き立つもや。




 はぁーあ、なんと鬱々しい目覚めなのか……。




照之は鬱々しい気分が晴れないまま、ただ溜息をつき海が一望できるベランダに出た。


まだ朝焼けが昇る前の暗海の空、海を遠目に見ていると潮風を運ぶその微風はまだ寒く照之の肌に突き刺さる。


少しするとメイドが起こしにやってくる、静かな部屋、扉の方からノックが小さく音が響き、ドアが開かれる。






 「失礼致します、あら、おはようございます。今日は随分とお早いお目覚めでございますね、照之様」


 「ああ、ちょっとな……。少し鬱々しくて寝付けなかったのだ」


 「それは、杏月様の事を考えていらっしゃるんですね。お察し致します」


 「はははっ、よくわかるな?そんなに顔に出ておったか??」


 「いえ、照之様が困ったり悩んだりしている時は大体が杏月様の事ですから」


苦笑いを浮かべながらそう答えるメイド。


照之はしてやられたと頭を掻きむしり脱力するようにベランダに出ている外用ソファーに腰を掛ける。






 「はぁ、最近俺の威厳が全くなくなってしまった……」


 「しょうがないと思われます、杏月様は存在自体が奇跡みたいなものでございます。悩まない方が逆におかしいと思われます」


 「メイドにもそこまで言われると何も言えぬな。さて今日明日はバカンスを楽しもうではないか」


 「左様でございます、杏月の水着姿を後2回も見れるのですから幸運でございますね、照之様」


 「そうだな、それはそれで良いものだ。目覚めの良い紅茶を持ってきてくれ」


 「かしこまりました」


メイドは紅茶を盛に照之がいる部屋を後にした。








 俺も恋をした少年という事か、まあいい。そうだ……今日は俺が杏月と一緒にいる一時でもよいな……。うむうむ。















ーーーーーーー



朝、日が昇り朝ご飯の時間がやってきた、照之はゆうじとみずきと共に食堂に向かう途中、杏月とともきが仲睦まじい様子で部屋から出てきた。







 「もーー、朝からくっつかないでよ。ともき」


 「知っているかい杏月姉ちゃん、朝だからこそこうにくっつくんだよ??」


照之はその異様な雰囲気にもやもやしているとみずきがタックルをかますように杏月に抱き付いて行く。







 「おねぇたん!!!!ぎゅーーーー。ともきお兄ちゃんばっかりずるいよぉ」


みずきは杏月にタックルを決め抱き付くと不満そうな表情を覘かせる、その姿の杏月はその場に屈み髪を耳に掻け、みずきの頭をわしゃわしゃと荒めに撫でる。


ぎゅっとみずきを抱き締めているとゆうじも「ずるい!!」と言い杏月に抱きつく、ともきも屈んでいる杏月の背中に抱き付き照之に見せつけるように杏月を優しく抱き、耳に息を当てる。


照之はいつの間にか眉間に皺を寄せともきを見ると舌を出し宣戦布告とも取れる行動に照之は挨拶を交わさず無言で先に食堂に向かった。




 はぁ、なんてばかばかしんだ、くだらん……。飯を食ったら1人で海にでも見て癒されるとするか。




そう思いながら照之は静かに席に着く。


少しすると4人が食堂に現れ座る。





 「おはようございます、照之様」


 「おはようございまーす」


 「おはようございます」


 「おはよぉーてるにぃたん」


 「ああ、おはよう」


照之は憂鬱な気持ちを抑え込み貴族としても顔で杏月達に挨拶し黙々と運ばれる料理を食す。







 「「「「いただきます」」」」


4人は手を合わせ食事を行い始める、杏月は相変わらず美味しそうに頬張る杏月、ゆうじとみずきもにぎやかに食べ進める、照之は鋭い眼光でいつの間にかともきを見ていた。


ともきも照之の視線を感じ見ると異様な近づき難いオーラで言葉を失う、その照之の雰囲気は重々しく威厳のある貴族の顔にともきはただ圧倒されていた。


照之はともきと視線が合うと直ぐに黙々と食事をとり食べ終わるとそそくさと食堂を後にした。


照之は初めてのライバルに自然と生存本能を掻き立てられ無意識に皇帝として貴族の顔になっていた、神々しく、重々しい重圧がともきを捕らえた時、冷や汗がだらだらと吹き出てくるのを感じ取るともき、照之が食堂を出るとともきも解放された様に一息するも杏月に対する気持ちだけは負けなかった。




 いかんいかん、こんなんで張り合っては皇帝陛下として貴族として落ちぶれてしまう。これが恋というのだろうか、これが嫉妬というものか……。




照之は初めての感情を噛み締めるように食後の後の散歩に浜辺に向かって歩く。


(さざなみ)だけが聞こえるプライベートビーチ、潮風がまた気持ちのいい風が吹く中、黙々と素足で歩き進めた。















ーーーーーーー




食事を終えともきは杏月に話しかける。






 「なぁ、姉ちゃん。俺さちょっと腹ごなしにビーチで風に当たってくるな?」


 「うん、11時まではゆうじとみずきといるし行っておいで??」


 「うん、いってきます」


ともきはそうゆうと杏月をひと抱きし頭を撫でともきは屋敷を出た、ともきは照之の感じたことのない殺気に身の毛がよだったのだ。




 はぁーあ、あの人の視線怖かったな。貴族だけはある、あれが本当の姿ってわけか……。あんなバケモンを杏月姉ちゃんは笑顔にさせちゃうのもそれはそれで、やばいな……。




ともきは苦笑いするしかなかった、自分はこんな相手に宣戦布告したのかと苦笑いしかできないままともきはビーチに向かう。


辺りをキョロキョロして照之の小さくなった姿を目にするとともきは無言でその後を追うようにゆっくりと進んだ。


1人だけの足音に微かに何者かが迫る気配を感じる照之はその場に止まり言い放つ。







 「何しにきた、俺は独りで惚けていたいのだが……?」


照之はゆっくり背後を振り向き冷徹な鋭い眼光がともきの姿を捉える。







 「バレてましたか」


 「当たり前だ、何しに来た?」


 「いや、敵に塩を渡すわけではないけど。言っておきたいと思って、アンタには色々感謝してる、杏月姉ちゃんの事を良くしてくれて俺達弟にも良くしてくれて本当に心から感謝してる」


 「まあな、俺はこれでもケチではない方でな……それで?」


 「はい、俺は姉ちゃんが好きです。もちろんアンタがもやもやしてる気持ちは痛い程わかる、だけどあんな神々しい姿見せられてそんな視線味わったら生半可な奴は腰を抜かす」


 ともきはその場で緊張するもグッと堪え苦笑いを浮かべる。







 「もちろん、杏月姉ちゃんの事は大切です。結婚も正直反対だけど……でもアンタになら、杏月姉ちゃんが本当にアンタの事を好意でいるのなら多めに見ます。これでも伊達に誰よりも杏月姉ちゃんの事を一途に想っていますから」


 「うむ、何故そんな事を言いに来た?」


 「そんなん決まってる、杏月姉ちゃんが悲しむから、それならアンタには直接言いたかったんだ。もちろん無礼は承知でいうけど、杏月姉ちゃんを泣かした時はただじゃ済まさないからな?」


照之はともきから膨れ上がる殺気に思わず眉がピクリと動いてしまう。






 「はははっ、中々の殺気だ。杏月の想う気持ちから湧き出る殺気か、貴族にして皇帝陛下である俺にそんな偉そうな口の聞き方をする大人も子供もおらんな。小僧、お主ぐらいだろうな」


照之はいつもの様に笑顔になって優雅に笑い始めた。







 「そりゃーどうも」


 「生意気だが杏月の気持ちという事なら全て不敬な態度ではない、俺にも杏月の様な姉君がいたのなら俺もともきの様にしていた。それに杏月は俺の妻になる姫君だ」


 「それはどうかな?まあ、ちょっとでも隙を見せたら俺が杏月姉ちゃんを射止める」


 「ふっ、言うでないか。もちろん、お主が失望するような事は絶対にしないよう心掛けるさ……ともきは杏月の話になるとやたら突っかかってくるな」


 照之は砂浜に腰を落とし座るとともきも一緒にその場に座る。







 「もちろん、今まで守られぱなしだったし、今は杏月姉ちゃんを俺が守れるように日々鍛錬してます。爺やさんにも感謝してるんです、色々ゆうじとみずきを良くしてくださって……」


 「よいよい、それに急に畏まれてもむずがゆい。俺と2人の時はそのままでいいぞ」


 「……わかった。これも杏月を大切に思う2人って事で納得するよ」


 「それでいい、少し話は変わるが昨日杏月と2人で風呂に入ったと聞いたがどうであった?」


 照之が尋ねるとともきは少し頬を赤くして俯いて言い出した。







 「そ……その綺麗だった。可愛かったけど本当に昔の面影は散り一つなかったよ」


 「ぐっ……!?そなた、杏月の身体見たろ?裏山けしからん!!!!」


 「へへへ、俺が一歩リードだな、皇帝陛下さんよ……ぷぷっ」


 「糞生意気な餓鬼めぇ!!全く油断も隙もないな、だが今日の夜は俺が2人になるからな!!ふん」


 「照之様、それはどうでもいいけどさ……杏月姉ちゃん可愛いよね??」


 「ああ……どうでも良くないが、確かにあれ程のおなごは見たことないな。素直に可愛い」


 「何で、杏月姉ちゃんを気にいったん??」


 「むむむっ、そうだな。初めてアヤツを見た時、貧相で弱々しい身体つきだったが顔を見たとたん身体に電気が走るような変な感覚に陥ったのだ」


 「でも……照之様って杏月姉ちゃん並みの美少女や美女とかたくさんいるのになんで姉ちゃんなの??めっちゃ疑問に思ってた」


 「それはな、確かに可憐で美しい絶世の美女がいても所詮は政略結婚なのだ。確かに好意で慕ってくれる者も多いが今でも上流階級の中でも中位者と上位者はその辺厳しいのだ」


 「なるほど、じゃあ嫌でも親の言う事は逆らえないのかぁ。なんかビジネスの道具に自分の娘使うとか……胸糞悪りー」


 「それは俺も思うぞ??好きでない相手をする奴は少なからず寂しい表情をいつもする、だから俺は挨拶はするがそれ以上にはならないのはそこなのだ」


 「まあ、姉ちゃんは世界一可愛いからしゃーねぇ」


 ドヤ顔で言うともきに照之も苦笑いするも縦に頷く。






 「それに政略結婚とかどうでもいいんだ、こうして杏月達と居られることが今の楽しみなのだから。杏月みたく性格も良いのはそうはいないからな、そんな簡単に杏月を離すわけなかろうに」


 「なんか姉ちゃんの話になるとほんとさっきみたいに全然威厳がないのな……はははっ、本当に面白いよ照之様は」


 「むっ……メイド達にも言われたぞ、そんなに威厳が感じられないとは……はぁ。まあともかく今日は杏月の美しい姿を見てカクテルでも飲むかな」


楽しげに笑う照之にともきも「そうだね」と頷き静かな海を眺めるのであった。















ーーーーーーー



 11時が過ぎた頃、杏月はメイドと一緒に着替えていた。







 「さぁ、杏月様今日も張り切っておめかし致しましょうね!!」


 「いや…頑張らないで下さい」


 「それは出来かねます。杏月様はお美しいのですから神乃家の華になって貰わなければ」


 「で、でも…メイドさん達はシンプルじゃないですか!!なんで私だけ可愛いの着せるんですか?!」


 「まあまあ、そう言わないで下さいまし。では今日は淡いスカイブルーの上下で仕上がった水着でございます」


メイドは抗議する杏月をクスクス笑いながらテキパキと着替えさせる。


着替え終わると姿鏡が置かれメイドはバランスよく水着の位置を整える、杏月は姿が完成すると自分自身の姿を見つめる。


未だに慣れない鏡の向こうに移る妖艶な美少女、今日のコーデはスカイブルーのシンプルの水着は上下白い花の様な模様があしらわれているエアリーなふりふりフラワービキニ、華奢なくびれは以外にも協調されているスタイル。


身長が低い分、スタイル抜群とまでは少し程遠いが小柄ながらも出る所は出ていて谷間を形成していた、少し違和感はあるものの全体的に杏月の美しさに強調するシンプルなフラワー水着。


髪型はポニーテールになっており赤いリボンで髪は括られている、首筋のうなじが露になっていた、普段から隠れる事が多いうなじはとても色っぽく魅力的な姿を一層引き立てる。


サイドの生え際も出ている為小さな可愛らしい耳も露になっていた、杏月自体が整っている為素顔でも十分な綺麗な顔立ちに毎回自分の顔なのかと疑ってしまう程の艶姿。


自身にドキドキして耳を赤くしているとメイドが着替え終わると杏月に抱き付き癒されていた。







 「癒されますね……」


 「左様でございますね……この愛らしい抱き枕は中々の逸品でございますね」


 「激しく同意致します。このサラサラな素肌がまた……」


 「「たまりませんね」」


2人のメイドは杏月を置いてけぼりになり、仲睦まじい様子で会話をしていた。







 「あ、あの……早く離れてください。そしてちゃっかり抱き枕にしないでください」


 「そ……そんな無慈悲がないというのですか!?」


 「そうです、そうです。杏月は無慈悲がおありにないのでしょうか?!」


 「いやいや、さっきまで楽しそうに話してましたね??なんで急に嘘泣きしているのですか?!」


 「さあ、癒させたことだし参りましょうか」


 「そうですね、癒されましたしビーチの方に行きましょうか」


 「えっ!?なに満足そうにしてるんですか!!ちょっと無視しないで連行しないでください」


 「先ずは日焼けを塗りましょうね杏月様」


メイドはニタッと微笑み杏月はビーチに向かった、着いた時にはテントに強制送還され流れるようにメイドの餌食になっていた。


テントから聞こえる杏月の喘ぎ声がビーチに響き照之やともきは話し込んでいる中苦笑いをお互いに零しゆうじとみずきは海でわーーーと突っ込んでいった。




日焼け止めを塗り終わり杏月とメイドが出てくる、メイドは心なしか肌がテカテカしてルンルンでご飯の用意をしに行った。


杏月はどっと疲れるも耳は真っ赤させていた、杏月はのろのろと照之が座っている隣の横になる椅子で腰を掛けた。






 「うむ、今日も可憐だな杏月」


 「そうですね、可愛いよ杏月姉ちゃん」


隣にいた照之とともきは2人して万遍の笑みでそういうとその笑顔に杏月は照れてしまい俯く。







 「あ、ありがとうございます。その恥ずかしいのでそんなに見ないで下さい……」


杏月がもじもじしているとキュートな一面を見せる杏月に2人して赤面する。







 「さ、さすが杏月だな」


 「そ、そうですね…とりあえずゆうじとみずき方で遊んできまーす」


ともきはそういうと手を振りながらゆうじとみずきの方に走っていった。


ともきが行った後2人は暫しの沈黙していたら照之は耐えられず口を開く。







 「そうだ杏月、今日の夜一緒に風呂に入らぬか?」


 「は、はい。構いませんよ……??」


 「それでだな、今日は俺と2人だけで寝てほしいのだ。まだ一緒に寝たことが無かったと思ってな」


 「もちろんです、じゃあお風呂の時は御背中を流させて頂きますね」


ふんわり笑顔で微笑みながらそう言うと照之は嬉しそうに頷いていた。


それから杏月は少し休むと照之の手を取り言う。







 「照之様??泳ぎましょうか!!私達も海を楽しみましょ」


 「ああ、よいぞ」


杏月は屈託のない嬉しそうな笑顔で手を引いて来る姿に照之も思わずはにかみ手を引かれ、海に向かった。







 「気持ちいいですね」


 「そうだな、海も案外良いものだな」


 「でしょでしょ!!私背が小さいからあんまり沖には行けませんけどこうして浮き輪でぷかぷかしてるの好きなんです」


 「はははっ、相変わらず無邪気だな!!確かにこうやって水面でぷかぷか浮かぶのも悪くないな」


杏月は大きい浮き輪の真ん中で寛ぎ、照之は浮き輪なしで水面に浮かんでいた。

















ーーーーーーー



お昼を過ぎ1時頃、遅めの昼食を取っていた。


料理人はバーベキュー用の鉄板や網で料理を次々作る、焼きそば、焼きとうもろこし、イカ焼き、焼き肉と最高ランクの品質を最高ランクの料理人が腕によりをかけて作る。


美味くない訳がなくメイドは一通り周り落ち着くと杏月の隣に座って杏月と話しながら楽しそうに過ごすメイドと杏月。







 「今日は杏月様と一緒に食事を頂ける事に感激でございます」


 「や、やめてください。そんな大層な人ではないんですから」


 「そんなことありません、照之様が唯一認めた御方なのですから。敬い尊い気持ちで一杯でございます」


 「そんな……あむ。むにゃむにゃ、はぁ……美味しいです。なぜこんなにおいしいのでしょう……。」


 「頬っぺたにソースが付いていますよ。杏月様うちの料理長はとても腕が立つ凄い料理人なんですよ??」


 「流石です……。でもこのおいしさには抗えません」


杏月は全身で食事を美味しく楽しむ、思わずメイドも照之もその光景に暖かな瞳で見届けると自ら挙手した料理長は杏月の笑顔を目に焼き付け昇天してしまう程の喜びを噛み締めていたのだった。




それから食事を終わると杏月は食後の運動と称し小さな小島を一周しようとしていた。






 「杏月、何処に行くのだ?」


 「いやー、この砂浜と海が澄んでいて綺麗だから小島を一周してこようかと。ともき達はゆうじとみずきと一緒に楽しそうに泳いでいる事ですし」


 「そうか……ならば俺も一緒に散歩でもしようかな??」


 「じゃあゆっくり行きましょうか!!」


嬉しそうに微笑みを浮かべる杏月、その笑顔に照れながら2人は静かに浜辺を散策していた。







 「それにしてもここのビーチって本当に綺麗ですよね?砂浜は素足で歩いてもゴミで足を切る心配もないですし」


 「まあたまにゴミは打ち上げられるみたいだが、従者が清掃してくれるおかげで御忍びビーチには最高さ」


 「たはは、照之様は相変わらず凄すぎます……。見てください!!こっちも浅瀬が続いて綺麗に底が見えますね!!」


 「うむ、この小島は本当に綺麗だったからな。それで買ったのだ、もちろんこの島に屋敷や装備をここに搬送する手間賃が少し掛かったのだがな」


照之は優雅に微笑みそう豪語する。


静かに2人の時間は過ぎていく、波の音を耳で楽しみ、満天のスカイブルーの青空を見上げ、澄んだ海底は太陽の光でキラキラと煌めき優雅に踊る。


照之は会話は少ないものの杏月と隣り合わせで話し合い一緒に綺麗な青空や海を眺める事ができ癒され満ち溢れていた。















ーーーーーーー



夜9時、杏月と照之は脱衣所にいた。







 「さて、先に入って浸かっておるな」


 「は、はい」


 照之は先に浴室に向かい湯を豪快に浴び豪快に浴槽の中に入る。




 ふぅ、良い湯加減だ。




うむうむと満足げに頷いてぐだっていると少し経ってから杏月が脱衣所から浴槽に入って来た。







 「お待たせしました」


そう言いながら浴室に入ってくる、タオルで前を隠しながら静かに入ってくる杏月は湯舟からお湯を掬い揚げ身体に掻ける。


女性らしい仕草に照之はただ唖然とする程に可憐な杏月の姿に心や視線を奪い取られる、はにかみながらちらりと見せるくびれや素足に目に物を張る艶姿(あですがた)







 「ふぅー、いい湯加減ですね」


 「お、おう。そうだな、見違えたぞ杏月。ソナタは前よりもおなごらしくなったな」


 「えっ?!そ、そうですか??」


 杏月はびっくりするも頬を直ぐに赤く染める。






 「まあ、なんだ……。もっとこっちに寄っておいで」


 「は、はい……照之様」


杏月は恥ずかしそうに照之の傍に近付く。




 ああ、なんと可憐な姿。愛おしいその姿を我が手に収めたいのだ。




照之はそう思うと色気をむんむんと醸し出す杏月の肩をそっと優しく抱き寄せる、杏月も照之の行為に何も言わず目を閉じ受け入れる。


心臓が高鳴るのが分かる程のドキドキに2人は暫し沈黙のままぴっとりとくっ付いていた。







 「杏月、色々俺の我儘に付き合って貰って済まなかった。もしお主もこんな俺なんかの傍に居たくないのであればお前達4人で住めるマンションを提供することを約束する」


照之は少し寂しそうな表情を杏月に向けると杏月は黙ったままだった。







 「あ、杏月??」


 「照之様は私の事がお嫌いですか??」


 「いや……嫌いではないが……。」


 「なら何故そうおっしゃるのですか!?私は照之様の事を御慕い申しております……私ではご不満でしょうか??」


杏月はばっと照之を見つめ真剣な表情で言うも心なしか寂しい素顔を覘かせる。







 「いや、そうではない。ともきに言われよく考えたのだ、このまま一緒にいても良いのか……とな?もちろん杏月を離したくはないが俺も杏月にたくさん迷惑をかけてしまうかもしれぬ、だから……」


目を逸らしながら最後まで言いかけた時杏月をふと視線を寄せた時、杏月の頬から綺麗な雫が伝っていた。







 「す、すまない。泣かせるつもりではないのだ」


 「す、すいません。ちょっと悲しくなっちゃいまして……。なんで照之様もそんな悲しい事言うのですか??」


 「ぐっ……いや、俺がいたら迷惑かなって思って……」


照之がそう言うと杏月は隠していたタオルを手から離し照之を抱き締めていた。






 「そんな事言わないでください……私はあなたに助けられたんです。そして私は徐々にあなたに惚れました、元男の子でこんな気持ち悪い事言うかもしれませんが、心の底か大好きなあなたを御慕え申しているのです」


杏月は身体を震わし泣き始めてしまった、照之は最初は躊躇するも直ぐに震える華奢な身体を抱き留める。







 「すまないな杏月。そなたはそれ程俺の事を気にかけてくれていたとは気づけなかった……許してくれ」


 「いいんです、私は照之様を大切に思う心は変わってません。私こそ居座ってしまい申し訳ないと思っております、でも女性になって身体がおかしいんです……照之様を思うと体が熱くなってどうにもならない程に」


 「ああ、嬉しいぞ杏月。俺は健気で誠実なお主が大好きだ、そしてそなたの面妖な姿はもう虜にさせられておるのだからな。さあ、その面妖な美しい姿見せてはくれまいか?」


照之はそっと杏月を剥がし優しく顔を引き寄せる、涙で赤くなっている目尻を拭い見つめ合う。







 「涙に濡れる姿もまた美しい……俺は杏月が好きだ!この気持ちは変わらん、ただこのままでよいのかと柄でもなく不安になってしまった」


 「そ、そんなことないです。照之は気高く堂々とする姿はかっこいいですけど今の姿も本当の素顔が見れたようで嬉しいです」


杏月は涙ながら微笑む顔に胸が締め付けられる思いでいた、気づけば杏月の唇に優しく接吻していた。


杏月も驚かないで静かに照之を受け入れる、照之はキスしながら目を瞑りキスを返してくる杏月を薄目で見る。


艶麗(えんれい)豊艶(ほうえん)とも取れる自分自身の事を思ってくれる華奢な美少女に照之は理性を爆発させる、誰しもが愛し合う深い大人のキス。


杏月は腰を砕き面妖な妖気を放つ、美しく可憐で儚い誘惑されたら最後だと思う程の熱いくちどけに吐息と唾液音は入り混じる。


照之は愛おしそうに続ける、離なさまいと長く深い愛で杏月を満たし誘惑させる、接吻を終える頃には杏月はトローンとした艶姿で身体を預ける。







 「てるゆき……しゃま。もっと私の傍にいてくらしゃい」


 「っ……?!あ、当たり前だ!!絶対そなたを離しはせん。今日は寝かせんぞ??」


 「や、やさしくお願いしますね……でも今はキスだけで我慢してください」


杏月は恥ずかしながらも照之にキスをし小悪魔フェイスを浮かべる。




 俺は杏月が好きだ、コヤツを幸せにしたいと思えるおなごに会えたんだな俺は。守って見せる、こんな可愛すぎるおはごは反則だ。




決意を下す様に熱い眼差しを向ける照之に杏月は赤面し俯いてしまった。


暫しの沈黙が訪れるも熱い身体は冷める事を感じさせない雰囲気に2人は深い愛が底を知れぬ泥沼に堕ちるのであった。


















それから月日は日を跨ぎ無事何事もなく海で最後の晩餐を食し夕方には自家用の大型ヘリコプターで帰宅するのであった。

「杏月が可愛い!!」

「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」


と思った方は是非評価をお願いします。



見て頂きありがとうございます。ありがとうございます。

是非評価、ブックマーク、色々改善点があればお願いします。

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