迫りくる時
照之は爺やと自室で話していた。
「坊ちゃま、遂にワクチンのご準備が整いました」
「うむ、結構時間が掛かったのだな」
「申し訳ございません、坊ちゃま。少々分析を行っておりまして、杏月様に無害なのか調査しておりました」
「そうだったのか、それで結果はどうだったのだ??」
「はい、性転換を促すワクチンは条件が幾つか見当たりその条件をクリアしますと強制的に身体の変態を強制的に促し、男性なら女性に女性なら男性に変貌するとの事でございます」
「では、変態時期はどうなのだ??生物ならある程度は掛かるとは思うが……それとも一瞬なのか??」
「申し訳ありません、坊ちゃま。そこまでは分からないとの事……。何分、世界に一つしか無いからこそ研究にも限度というものがあるとか……。後は、杏月様の決断して頂けたら直ぐにでも持って参ります」
「そうだな、もしそのワクチンで死んでしまう可能性もあるとするなら、リスクが大き過ぎるな……。100憶した代物にも、メリットだけではないってことか」
照之は予想以上のリスクに大きい落胆する様に溜息を吐く。
はぁ……。もしも死んでしまうのならば、いっそこのままに。いやしかし……。
照之は内心思考をフル回転させていると、爺やが重い口を開き照之に言う。
「坊ちゃま。もしもの事があった場合は従者のメイド達が杏月の子種を欲しいと自ら挙手させておりました。どうしましょうか坊ちゃま……」
脂汗を拭く爺やはそう言うと、照之は悩ましい出来事にびっくりするも、やや嫉妬心も芽生えた。
「杏月に聞いてみてだな!それでもダメというのなら中止だ……。もし了承するのなら男の杏月の子種を冷凍保存し保管する。賛否があるかだけ従者達に聞いてやってくれ」
照之は暗い面持ちでそう告げた、脱力が身体全体を蝕むその感覚に爺やがサッと消えた後ベッドに勢い良く倒れ込む。
杏月の死に直面するのではという恐怖心に為す術もなく落ち込む照之、悲壮に満ちていた照之に関係なく従者達が一斉に照之の部屋に雪崩れ込む。
「「「「「照之様!!!!!!」」」」
照之は多くのごった返す声に、喫驚し飛び上がる。
照之は視線を移すと、従者が部屋に立っていた。
医療関連の従者達が6人その他メイドが14人、屋敷に仕える女性従者が雪崩れの如く入ってくると照之の名を叫ぶ。
「こらこらお前達……いくら何でも早すぎるだろ?!」
盛大に突っ込みを入れていくと、従者達は関係ない!!と食いつく様に迫り、あっちだこっち騒ぎ立てていた。
「爺やから聞きました!!杏月様が亡くなるとは……どうゆうことなのですか?!」
「そうです、なぜですか??」
「納得できません!!」
「なんなんですか?」
「あの麗しい杏月様にそんな……」
「ああ……わたくしの杏月様がぁ……」
「あんたのではないでしょう!!私のです」
「いや、私です!!」
「いやいや、私ですよ!!」
「「「「「どうなんですか???!!!」」」」」
もの凄い迫力に照之でさえたじろぐ、杏月の安否をみんなが気にしていることに、照之も大きな声で話し始める。
「鎮まれ!!!!!!」
照之のズンと来る神々しい発言に暴走気味になっていた従者達は静かになり、静かになったのを確認して従者達に説明し始める。
「ゴホン……よし静かになったな?爺にも聞いてるとは思うが今回の件は、事が大きくそしてハイリスクなのだ。それ故、杏月自身に決断に任せるつもりだ」
「そんな……無責任な!!直ぐにでも杏月様をお止めになるべきです!!」
「その通りです!!杏月様が……ッ!」
「まあ、落ち着け。それも話していく、もちろん杏月が否定するのなら今回は中止にするつもりだ。だがそれでも杏月が受け入れるのなら……その時は杏月の生存率は著しく低下する事になる。そこでだ、従者であるお前達に杏月の子を身籠ってもらいたい。もちろん強制ではない、杏月の血筋を途絶えてはならない。もう一度言う、強制でははい!!無理な者はこの部屋を出ろ……!!これについては、自己決定とする」
照之は従者に執行猶予を与えるも、一向に扉が開く音は聞こえなかった。
徐に強く瞑った瞼を恐る恐る開けると、見事に全員が列を作り整列していた。
はあ、これ程とは……杏月のくせにこんな美女達とハーレムなど、むむむ……。はぁ……俺の杏月がぁ……。
照之は杏月を取られた!?という喪失感が襲うも、杏月の存在意義については誰1人として否定する者はいなかった。
「ここに居る者全て、杏月様が大好きでございます。もし杏月様がお決まりになった時は子種はもちろん、その聖液の冷凍保存も然り。杏月様から搾り取るのは私達、従者にお任せ下さい」
真ん中に居る杏月の専属メイドが高らかと宣言すると、声を揃えその場にいる従者達は復唱する。
「「「「「お任せ下さい!!!!」」」」」」
仕える者だけでこの統合率に照之は開いた口が塞がらない程驚愕に満ちる、精鋭部隊の様に綺麗に列を組み、一斉に深く傅く。
照之は知らない合間に杏月の人望を侮っていた。
杏月だからこそできるのではと自分で納得してしまいそうなその光景に、照之は「うむ、任せた」と発言する。
その発言を聞いて直ぐに従者達は、その場を後にして持ち場に戻って行った。
嵐のように訪れ嵐のように去る光景に照之は呆れて笑う事しかできないが、心なしか嫌ではないともとれる表情を浮かべていた。
――――――――――――
時は過ぎ、夜の10時頃。
照之は杏月に呼び出していた。
テーブルに向かい合うと、話をする。
「杏月、性転換の事でな準備が一応できたのだが……。杏月はどうしたい??」
「えーと、もちろん覚悟はできていますが……??」
「それがだな、安否の保証は100%ではないのだ。確実に安全とは言いかねない故、今こうして杏月を呼んだのだ」
「そうなんですね……。でもあんまりピンと来ませんね!僕は否定はしませんし、照之様の為にならこの身を粉にしても構いません」
いくらリスクが有ったとしても、覚悟はもう決まっている杏月には、笑顔で照之にそう告げるしかなかった。
照之はその姿に少し唇を噛み締めるも杏月に提案する。
「それでだな、リスクが在り過ぎる為、我々の決断なのだが杏月もまだ男だろ??」
「はい、そうですよ照之様。まだ女の子になっていません」
「もしもの時を備えてなのだが、杏月の子種を貰えないか?もちろん従者達の許可は下りている。みなも杏月の子種ならいいと二つ返事で言ってきてな、最後の男としてどうだ??」
余りの提案に杏月はびっくりしていた、まさか性別が変わる前に自分の子種を欲しいと言い出す照之に疑問を投げかける。
「な、なんでそこまでするのでしょうか??僕は死んだとしても皆さんに取っては何の利益にもならないはずでは……??」
「そなたは良いのか悪いのか、はぁ……。そなたが消えてしまえばこの屋敷に居る者全員が悲しむのだ、もちろん杏月と出会った奴らもそれこそ自殺し兼ねない。だからな、俺の提案を飲んではくれぬか??俺も……もしもの事があれば悲しくもなるだろう。多分そんなことになれば神乃家の精錬部隊や他の人間も我を忘れ暴れ始める。ここは俺の顔を立ててくれぬか?最後の男児として楽しんでもらって構わんからな」
照之は複雑な心境を打ち明けると、杏月はそれでも真剣に聞いていた。
その美しく健気に誠実な杏月はいつも大変な時も笑顔で答え、身を粉にして寄り添ってくれる杏月にただただ肝が据わっていると感心するばかり。
それから10日間のスケジュール内容を説明すると、杏月は物凄い勢いで顔は紅潮して俯き、モジモジしながら話を聞く杏月の姿に、照之も苦笑しだろうなと思った。
それから杏月は10日間の間、違う部屋で寝る事になった。
新たに寝る寝屋に入ると、ランジェリーや下着姿の従者達がキングベッド3つ分連結したその上で、杏月の事を待ち望んでいたのだった。
直ぐに杏月は扉から脱出しよとするも、ドアには専属メイドがとろんっとした目つきで杏月に抱き付いた。
「「「「「「杏月様」」」」」」
「はひぃ!?は、離してください……!!」
「申し訳ございません。それはできない申し出でございます」
従者達は杏月の名前を呼び熱い眼差しで見つめると、後ろから専属メイドが抱き付き耳朶に齧り付く。
「ふはぁ?!ちょ、ちょっと……はぅ……そ、それだめぇ……」
「はむ、あいしゃま。しゃあしゃあこちらに……はむはむ」
「待って……ッ!!ま、まだ心の準備がぁああああ」
「待ちません、そうですよね皆さん??」
「「「「もちろんでございます」」」」」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ、耳噛んじゃらめぇぇええぇッ!」
杏月は絶叫し抵抗するも、大勢の美女にもみくちゃにされ一夜を共にする。
10日間杏月は従者達の熱い歓迎に、最後の男として幸福のまま期日まで徹底的に搾り取られる。
強力な性欲強壮剤を飲まされはキスされ、杏月は為す術なく振り回させる。
終わった時にはあっちこっちにキスマークや汗のフェロモンムンムンに漂わせ、満足げに従者達は心身共に満たし、杏月の出した聖液が入った冷凍保存専用カプセルを大量に持ち、愛おしそうにお腹を擦りながら部屋を後にするのであった。
まだ杏月は知らない、これからも定期的に従者達にもみくちゃにされるとは思ってもみないのであった。
「杏月が可愛い!!」
「杏月の可愛い姿がもっとみたい!」
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