5.なろうエッセイ・批判系エッセイ(過去作は検索除外しているのでこちらから)
一人の趣味作家が考える、趣味作家という言葉の意味。
今の職場に就職したのは、何年前だったかな。
以前は車通勤だったのですが、今は電車通勤です。
毎日、片道一時間弱。
駅まで歩いて、電車に揺られての生活です。
運転が無いのは良いですね。
通勤中にスマホでいろんなことができます。
なろうで投稿を始めたのは二年前。
初めはもっぱらパソコンでの執筆でした。
ですが、今では通勤中に執筆することもあります。
あとは暇つぶしでしょうか。
自分もエッセイを書き始めたからでしょうね。
エッセイランキングから気になった作品を読む。
そんなことも多くなった気がします。
そんな時、ふと思うことがあります。
――「小説家になろう」というこのサイト、意外と「趣味」の無い人が多いのかな、と。
執筆を「娯楽」という観点で論じている。
そんな意見が一定数ある、そんな風に感じています。
◇
趣味と娯楽、似た言葉だけど違う、そう思います。
通勤中、電車の中で暇つぶしにエッセイを見る。
私にとって、これはきっと「娯楽」です。
それに対し、通勤中に、電車の中で執筆をする。
それこそ、まるで締切に追われるように。
これは「趣味」で書いていると言えるのかな、と。
執筆に娯楽という言葉を使うのには、違和感を感じます。
決して嫌々執筆している訳ではありません。
むしろ最近では、電車に乗って執筆した方がノリノリだと感じます。
――ですがやっぱり、執筆は「娯楽」だとは思えないのです。
◇
この微妙な違い、ちょっとエッセイにしてみよう。
そんなことを思い立って。
まずは辞書を引いてみようと、私がよく使う「新明解国語辞典」で、「趣味」と「娯楽」という単語を調べてみました。
――新明解国語辞典第四版より引用――
しゅみ【趣味】
①一定の修練を経た後、味わえる、そのものの持つ面白みなど。「音楽の――を解する人」
②[利益などを考えずに]好きでしている物事。「――と実益を兼ねる・――が広い:無――」
③[選んだ物事や行動の傾向を通して知られる]その人の好みの傾向。「――の良いネクタイ:悪――」
ごらく【娯楽】
生活のための労働や学業などの余暇に、気分転換をはかるために遊びとして何かをしたり見たり聞いたりなどして楽しむこと。「――設備・大衆――・健全――・――性」
――――――――――――――――――
趣味の①の説明に、味わい深さを感じたのは私だけでしょうか。
◇
私が通勤時にエッセイを見るのは暇つぶしですが、きっと娯楽です。
まあ、辞書に書かれている「気分転換をはかるための遊び」とは微妙に違うのかもしれませんが。
ただ、「好きでしている」と言えるほど、能動的に見てる訳でもない気がします。
ですが、私にとっての執筆は、気分転換をはかるための遊びとは違いますし、暇つぶしとも違います。
そもそも、余暇に執筆してると言えるかどうかですら、怪しい。
むしろ執筆のために、頑張って時間を作っている。
締切のために、無理して執筆するときもある。
私は、こういったことを「好きで」しています。
そして、趣味とはそういうことだと、そう思うのです。
◇
趣味と娯楽の最大の違いって何でしょう。
私は「自分で楽しさを見出せるか」と「人に楽しくしてもらうか」の違いだと思います。
余った時間に、気分転換に軽く「何か」を楽しむ。
そんな都合の良い「何か」なんて、そうはありません。
そういった「何か」の多くは、そうなるように誰かが作ったものだと思います。
娯楽というのは、誰かに楽しませてもらっている。
それは、誰かに接待してもらってるのと同じではないでしょうか。
私は、執筆をそういった意味での「娯楽」だなんて、思いたくはありません。
◇
私は、趣味で執筆をしています。
だから、創られる作品も「趣味の作品」で良い。
少なくとも、今執筆している作品は、そんなつもりで書いています。
どんな作品にも、きっと優劣とは違う、「味わい」のような物がある。
そういった物を込めていきたいな、と。
人を選ぶかも知れない、読者は少ないかも知れない。
それでも面白いと感じてもらえる人も居るだろう、そんな作品を書きたいなと。
辞書にあった「一定の修練を経た後、味わえる、そのものの持つ面白み」が込められた、そんな趣味の作品を創ることができればいいなと、そんな風に思っています。
◇
趣味の世界です。例え未熟でも、何も恥じることはない。
これが自分の作品だと胸を張れば良い。
評価されなくても良い。
胸を張れる何かを作品に込めることに価値があると。
初めは人の意見が必要かもしれない。
だけど、いつまでもそれではいけない。
自分の創作物の価値は、主観でも良い、自分で判断しないといけない。
それができれば、きっと理解者だってできる。
趣味で書く、趣味の作品というのは、そういうものなのかなと、そんな風に思います。
◇
いつの日か、自分の創った物語を、自分の好きな作家の作品が並んだ本棚に並べたい、私はそんな目標を持っています。
それは同時に、自分の好きな作家の作品に見劣りしない、そんな作品を創れるようになりたい、そんな夢でもあります。
そして、少しずつでもいい、成長していけば、いつかそんな日も来ると信じています。
だから、その日が来るまで書き続けるつもりですし、きっとその後も書き続けるでしょう。
ポイントとかランキングだとかじゃない、その人なりで良い、作家としての目標や夢を掲げることができて、初めて「趣味作家」と言えるのかな、そんな風に思います。