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72 久しぶりにジャズについて語る4 (現代ジャズボーカルについて)

 2000年以降の現代ジャズを聴こうとすると、正直珍紛漢紛なのですが、ディスクユニオンのジャズ新定番というリストがあって、そこから拾って聴いていると、ジェーン・モンハイトの「テイキング・チャンス・オン・ラヴ」というジャズボーカルアルバムが、とにもかくにも素晴らしい完成度でした。ところが、これでも2004年のリリースで、ポップスの流行の変化の激しさと比較すると、すでに相当、古いもののような気がします。たとえば2004年というのは、マツケンサンバⅡが流行った時代で、当時、僕は小学四年生でして、すでに二十年近くの年月が経過していることになります。


 ジャズはディキシーランドジャズの時代から、およそ百年の歴史があり、ここ二、三十年を現代ジャズと一括りにするのは簡単ですが、ポップスの基準でいえば、あまりにも大雑把、少なくとも十年刻みで考えられないといけない気がしてしまいます。


 ノラ・ジョーンズのジャズボーカル曲を聴くと「ああっ、現代ジャズだっ。コンテンポラリージャズだっ」と思うものですが、ファーストアルバムの「ノラ・ジョーンズ(カム・アウェイ・ウィズ・ミー)」がリリースされたのは2002年のことで、それを新しいとありがたがっているのは、現代の日米間の文化流入が電光石火であることを思うと違和感があります。


 話は戻りますが、このジェーン・モンハイトの「テイキング・チャンス・オン・ラヴ」は確かにとてつもなく素晴らしいジャズボーカル盤です。現代の情景ともよく合っていて、ゆったりとぬるま湯に浸かるような、コンテンポラリージャズのリラックス感が新しさを感じさせますし、リズミカルにタメを効かせた歌声はジャズ本来の楽しみも味わわせてくれますね。


 現代ジャズに不慣れな僕ですが、なんとなくノラ・ジョーンズとシゼル・ストームとダイアナ・パントンとジェーン・モンハイトの4人のジャズボーカルを中心に聴いています。

 何故ボーカルなのかというと、どうしてか現代ジャズはボーカルという印象があるのですね。


 このボーカルのお洒落な、ぬるま湯に浸かっているようなリラックス感、不思議な虚脱感は、現代ジャズじゃないと味わえない気がします。


 ただ力まない、張らない歌声という点では、ジャズボーカル一貫しているもののような気がしますけれど、たとえば「イパネマの娘」を歌ったアストラッド・ジルベルトもそうですし、ヘレン・メリルだってバラードを歌う時は、ジワリと虚脱するような不思議なリラックス効果を醸し出していたから……。



 昔、白人美人ジャズボーカルばかり集めて聴いているという人の本を読んで、それはそれで興味深かったのですが、ブラックミュージックに憧れのある僕からすると「それ、楽しいのかなぁ」と思ったことがあります。

 それでも、ローランド・カークやサン・ラのブラックミュージック色の強い曲をひとしきり聴いた後で、その泥臭いパンチ力に打ちのめされて、すっかり疲労した時に、確かに白人ジャズボーカルを聴きたくなる気持ちは分かります。もつ鍋の後のバニラアイスみたいな感じなんです。


 それでも、やはり本格的なジャズを聴きたいと思う気持ちから、白人ジャズボーカルでもアニタ・オデイやヘレン・メリルを聴き始めると、やはりどこかドスが効いていて、拳に力が入り、ぐっと前のめりに聴き込んでしまう。

 その点、現代ジャズボーカルは存分にリラックスしながら、本格的なジャズ特有のサウンド、リズム感を味わえたりと、忙しい現代でも疲れずに永久持続で楽しめる特性を持っているのかもしれませんね。

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