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47 雑談17 (正露丸)

 中学生の頃に入れた歯の詰め物が取れたまま、一月ほど放置していたところ、一昨日から非常にしみだし、気になって夜中に目を覚ましたので、保冷剤で顎を冷やしながらどうにか二時間ほど眠りました。それから歯医者に予約をしたのですが、今からだと一週間後になるらしく、それまでの間どうにかしようと、市販薬の痛み止めを飲みました。これがなかなかよく効いて、服薬の一時間後から四時間後までほとんど痛みを感じることがありませんでした。そのあと、歯の空いたところに正露丸を詰めてみると、あら不思議、痛みがまったく感じなくなりました。これで一週間余裕で耐えられるな、と思ったわけですが、何を食べても正露丸の味がするし、常に自分の周囲が正露丸の匂いに包まれています。中学生の頃、胃腸が悪かった際に正露丸をよく飲んでいたので、この匂いにはあまり抵抗がなく、むしろ懐かしさを感じています。


 正露丸の味がする状態だと、食べられるものは自然限られてきて、まず刺身などは到底受け付けない。サラダ類も駄目です。カレーライスだけは抵抗なく食べられます。漢方薬とカレーはなんでも、似たもの同士なのだとか、医者じゃないのでそのへんのところはよく分かりませんが、風味が足りないと感じた際にカレーライスに漢方薬を入れる人もいるそうです。正露丸の味を考えるに、欧風のビーフカレーなんかより、インドカレーの方が相性がよいに違いありません。そこで中村屋のレトルトカレーを食べましたが、なかなか美味しい。中村屋のカレーはレトルトなどより本物の方がずっと美味しいと思いますが、こういう状況だと、ありがたさが増し、美味しさはまた一般の感覚とは異なって、余計に際立って感じられてきます。


 それにしても、正露丸を飲み込んだことはあっても、味わったことはなかったもので、ちょっと衝撃的な体験でした。臭いというイメージはあったのですが、それよりもなによりも単純に舌が焼けるほど(から)かったことに驚きました。なにが入っているのかよく分かりませんが、カーッと舌が熱くなって、ヒリヒリしました。それも今では落ち着いています。


 歯が痛くなったり、頭痛がしたりということがあると、何が一番つらいかというと、やっぱり物書きにとっては考えごとができなることですね。常にああでもないこうでもないと考えていることだけが楽しみなのに、無思考に陥ると、もう欲求不満です。人生は謎だらけなのに、それについて何も考えることができず、結果として考えが深まらなければ、エッセイを書くこともできません。薬が効いてくると、江戸時代の歴史や、最近のなろうについて、ああでもないこうでもないと考えることができましたが、薬の効力が弱まるにつれ、考え途中の事柄を無数に残して、無思考状態の欲求不満に陥ります。僕の喜びなんて、哲学することと想像することが大半でしょうから、これがまことにつらい。


 そんなところで、雑談を終えます。雑談はいくら喋っても雑談にすぎないので、次回はもう少し中身のあるお話をしたいと思います。前回の「好きなもの」はジャズについてだったので、次は他のジャンルのものにしようかと思ったり。このエッセイの第一回の自己紹介を自分で確認して、そのリストの「好きなもの」の中から次のテーマを選びたいと思います。もしご希望の「好きなもの」があったら教えてください。それについて追加で語るかもしれません。(このエッセイにそんな需要があればの話ですが……)

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