35 雑談7
長い間、エッセイを書いていなかった気がする。しかし、実際書くほどの内容はないのである。この頃は、またしても江戸時代にはまっている。大学の頃、江戸時代を専攻していた。そんなことをこの頃思い出したのである。江戸時代の魅力は何だというと、とりあえず、浮世絵を見てほしい。しかし、浮世絵について語ってくれと言われても、僕はあまり多くを語れないだろう。というのは、僕は浮世絵の何たるかを知らない。史学科に入った時、僕は漠然と、ああ文化財というジャンルがあるのだな、と思った。それ以前は、僕は美術に無縁であったから、かえってあこがれも強かったのだ。それから、仏像と浮世絵と工芸品にはまった。書の世界は入っていけなかったが、今では小野道風の書が好きである。
しかし、仏教史にのめりこんでいった僕は、当時、仏像に夢中になっても、浮世絵にはそれほど強い感動を感じなかった。いまだに喜多川歌麿、歌川広重、歌川国芳あたりが好きな程度で、小林清親もいいと思っているぐらいである。それと、鈴木春信にも数点、お気に入りがある。上野にある美術館で見た北斎の浮世絵は何となく苦手だった。ちなみに余談だが、西洋画ではセザンヌとルノワールが好きである。モネはやはり良さが分からない。あとは好みの問題である。
仏像については色々あるのだが、この場では発言を控えたい。
何の話だったか、そうそう、江戸時代の話だった。僕は結局、仏教史とか民間信仰、民俗史といったあたりに興味がある。江戸時代の話を読んでいても、自然にそっちの方に目が行く。この前、稲荷信仰に興味を持った。お稲荷様は農業の神だが、シャーマニズムと関係があるらしい。コックリさんや、イタコのようなものだろう。しかし、お稲荷様が憑いている人に「何を食べたいですか」と尋ねると「油揚げ」と答えるとあるのは若干、奇妙だ。お稲荷様は狐ではなく、お稲荷様の使者が狐のはずだ。だから、お稲荷様が憑いているのではなく、使者の狐が憑いている状態なのではないだろうか。もっと掘り下げてみたいと思う。いつかまた民俗学の講義を受けてみたいと思う。学生の頃、いくつか受けていて、成績もそれなりに良かったが、文献史学を専攻していたので、そうもしていらなくなった。その上、仏教の思想を知ることを優先していたので、民俗学とか、民間信仰については中途半端になってしまった。とりあえず佐倉の歴博に行きたい。それと、この前、現代民俗小説というのを考えた。それについては、また機会があったら喋りたいと思う。ないだろうけど。
こんなことをだらだらと書いていても、しょうがないが、他に語ることがないので、しょうがない。江戸の食、四天王は蕎麦、天ぷら、寿司、鰻だという。この中では、蕎麦と鰻が特に好きである。天ぷらは胃が痛くなるので、あまり食べられない。寿司は嫌いではないが、どうせ食べるのなら刺身定食で、白飯と共に食べたい。蕎麦は大好物で、学生の頃、長野や岩手、山形に蕎麦を食べに行ったのが今では懐かしい。東京では深大寺の蕎麦がお気に入りである。鰻は、子供の頃は甘ったるいものという印象があったが、学生の頃、成田山の門前で食べてから大好きになり、今では一日三食、死ぬまで鰻重しか食べられないとしても飽きることはないだろうと思っている。
そんなこんなで、江戸時代にはまっているので、また浅草にでも行きたいと思っている。




