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13 はじめて読んだ推理小説の話

 このエッセイでは、仏教の話も、ジャズの話も、ミステリーの話もしないことになっています。僕には、そのテーマ専門のエッセイが、他にあるからです。しかし、そうなると、話題がありません。そこで、僕はこう考え直しました。別に内容がだぶっても良くないか、と。

 僕という人間はひとりです。思い出はそんなに豊富にありません。「あの人、また同じ話をしている」と言われるのが人間ではないでしょうか。そう、このエッセイで、マイルス・デイヴィスやコルトレーンの話をしてもいいし、空海や最澄の話をしても構わないはずなのです。江戸川乱歩の話をしても良いし、エドガー・アラン・ポーの話をしても良いではないですか。そうです。それなのに、僕のこのエッセイは、江戸川乱歩の『黒蜥蜴』を読んだり、お寺をめぐったり、ジャズ喫茶でマスターとジャズや小説について、語り合ったという思い出が、完全に欠落しているのであります。


 というわけで、僕が生まれてはじめて読んだ児童向けではない推理小説をご紹介しましょう。


 西村京太郎『新・寝台特急殺人事件』


 その次が、


 内田康夫『平家伝説殺人事件』


 でした。


 読んだのは、小学六年の頃です。学校の先生に勧められて、文庫本を買って読んでみました。この頃、僕は自分で小説を書いていました。そこで、学校の担任の先生が、僕に勧めてくれた作家様が、西村京太郎先生と内田康夫先生でした。最高に面白かったです。でも『平家伝説殺人事件』の衝撃は強かったですね。しばらくして、読み始めたのが『三毛猫ホームズの推理』で、これも最高でした。


 ああ、推理小説って良いものですね。

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