深く考えていたら駄目な気がします。
少々短め
黒い一枚岩、俺の記憶にあるこの石板には色んなタイプがあった、生命の進化を促すタイプ、これが向こうでは一番有名なタイプだったろう。
他にも環境の再生を担うタイプだったり文明の進み度合いを測る測定器みたいなタイプだったり、意思を持ったり亜空間ゲートみたいなタイプも確かあったはずだ。
共通するのはどれも太古の文明の遺産だった事くらいだがこれは違う、太古の遺跡風に造られた聖域に設置されたこの異世界の最新型、ただし俺の向こうの記憶を元に飛沫さんが創造したものである以上、こっちの世界では神々以外誰も真似できるとは思えない。
石板の表面に魔手を伸ばす、この手のモノのお約束として触れることが起動のキーである事は想像に難くない、俺の記憶を知っている飛沫さんの作なら尚更だ。
触れた途端石板表面に幾筋もの青い線が走り地上側へ吸い込まれるように消えていく、これもほぼお約束だろう。
魔手を通して此方に情報が流れ込んでくる、油断してた! これ飛沫さんのやるインストールだ!
ヌシ様から喰らうより大分軽い感覚、いやアレと比較するのが間違いな気もするが、とりあえず全身に何かが流れたなという感じがする。
以前白様が信徒に見せちゃいけない顔してたが情報量が違ったんだろうか、随分と軽微だ。
情報を整理する、例えるなら制御核は据え置き型PC本体、魔手が配線の代わりをして俺の能力である【コンソール】がディスプレイでキーボードは俺の思考制御だ。
更にはこの制御核PC、一部が飛沫さんというこの世界のメインサーバに繋がっている状態で、それを通じてこの箱庭の少々無茶苦茶とも言える管理を実現しているらしい。
コンソールに箱庭の情報を表示させたら視界いっぱいにいろんな数値の羅列が現れた、一応数値化されていたのは飛沫さんなりの配慮なのだろうか、だが凄く見づらい。
コンソールを使って制御核に働きかけ、情報の表示を作り変えてみる、思考制御の上に対話型で行えたので割とスムーズだ、ただこの対話してる相手って飛沫さんな気がする、気にしてはいけない、規格外なのはもう今更だ。
此方が作業している間にアイビーには周辺を確認しに行ってもらう、正直な所俺が走り回るよりもアイビーの狼形態の方が脚が早いしサンプル収集も上手いのだ、何かあったら念話ですぐに連絡がつけられるのもありがたい。
情報の新しい管理画面は完全にゲーム画面ぽい仕上がりになった、表示方法も同じく、違うのは結果が実際にこの世界の森に反映されること。
命令を出してから完了まで魔力の消費を抑えつつ比較的ゆっくりとした変化を心がける、急激に変化させると生態系が変わってしまう恐れもあるためだ、その所為で絶滅した種が出ましたなんて言われたら目も当てられない。
氾濫の頻度は多めに設定した、これは淀みを大きく溜め過ぎないようにするためでもあるが、頻度を上げることで一度の氾濫の規模は小さく出来る、外の街や村にもそのほうが良いだろう。
森の防御力が下がることが懸念されるがその辺は箱庭外部の森の魔力濃度上げて対処する、森の深部には強い魔物が出るのは間違いない。
今の段階では毛玉達のように外部の森を巡回する監視システムが構築できないので箱庭の外の森への干渉は最小限だ。
俺があの人形達のような存在を造れるようになればその辺はもっと拡張できるようだ、ほぼ放置状態だったスキルの【人形師】を鍛えるべきだろうか、上手く行けば俺の森の外での身体も造れるかも知れない、夢は膨らむが引き籠りが悪化しそうだ。
箱庭の内部に至っては弄ろうと思えば本当に細かく弄ることが出来た、土地の高低差や洞窟の有無まで設定できるのには驚くがやはり消費される魔力が大きく、そう簡単に使っていいものではないだろう。
この森を維持して世界への魔力供給を促すのが第一なのだ、魔物が居ないと環境が整わないので最低限配置はするが特に変化をもたせる必要性もない、外部の森と同じでいい。
箱庭内部に特殊な個体を増やしても、それを外部に知られた場合、現状は面倒になる気しか無い、やはり外の世界を知らなければ悪い方にばかり考えて引き籠りが加速する気がする。
聖域の隠蔽には制御核を使った高度な結界と幻影を使うことにした、竜や飛行種から目を欺く為だ、何だか喧嘩っ早い竜とか居るようだし、【原初の竜】の末裔である以上は他でも警戒しておいたほうが良いかも知れない。
結界には黒い子様が使っていたというこの場所には居たくないと思わせるような効果と敵性を判断して弾く物を展開、土地自体に魔力が多いので常時展開していても気が付かれることは少ないだろう、幻影に至っては結界と魔力を使った合わせ技で、見破られない限り接近されても対象の五感に働きかけ、肌に触れた感覚や匂いまでも誤魔化す事ができるそうだ、何をどうやったらそうなるのか理解出来ないが飛沫さんの本気度が伺える。
これにより上空から見ても普通の森林にしか見えないというのだが、内部からは上空が丸見えで薄く幻影っぽいものが見えるだけという状況である、陽射しの確保も考慮されているらしい。
このレベルとは言わないから俺も上手く幻影使えるように頑張ろう……
この地に濃く漂う神気、これは森や土地を使ってもどうもできなかった、当然の話ではあるが浄化するような力ではないからだ。
仕方ないので落ち着くまで放置を決め込む、そもそも神々が<聖域>と呼ぶこの土地で神気が薄くなるのかどうかすらわからない、誰かさんがめっちゃ祝福したらしいし?
そのうち神気に適応した新しい生物が生まれそうな感じである、それはそれで良い研究対象になるかも知れない、小動物とかここに放って見るのも良いかも知れない、小鳥は既に来てたみたいだし邪気がなければ放っておいても外から自由に入ってきそうな感じではある。
外敵が居なければここに巣とか作るようになるかも知れない。
操作を終えて一息、黒い一枚岩から少し離れた位置に根を下ろして寛ぐ、と言っても落ち着いて考え事するだけなのだが。
森の管理をしつつ森の外を見て回りたい、そんなの出来るとすれば身体を分けるか転移するか飛ぶかだろう、どれも現状出来る気がしないし余りやる気もしない。
空を飛ぶ樹とか以前見たアニメじゃあるまいし、丸太のように飛んでいくのも違うだろう、転移や空間を割って現れる樹とか何処かの邪神ぽいよ、それっぽい演出で登場するのは面白そうではあるけど、それで驚くのは普通は意思のある人種だろう、魔物は驚くより逃げるか襲ってくるかだと思う。
やはり森の外へは弱体化しても身体を作って行くべきだろう。
問題はそれを実行した場合、アイビーの反応が怖いという事だ。
造った身体の駆動原理はまだ思いつかないが、それではアイビーに養分は補充できない、だとするとアイビーは留守番だが、それを素直に受け入れるような子には思えないんだよな……
まだ身体を作る目処も立ってないしそのうち一度相談してみるとしよう。
書いてた部分がごっそり消えて書き直し。
結果少し短めに…




