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空でダンスを  作者: 和十至也
6/6

空でダンスを・6

 ソリのかけっこたいかいがおわってから、ルシアがクッキーをもっていえにやってきました。


 ルシアはおいしいアップルティーをいれてくれ、ふたりはベランダのまるいテーブルにすわりました。

サムはいいました。

「ぼくはいちばんにも、にばんにもなれなかった。でも、わるいきぶんじゃないんだ」

「ええ、あなたはいちばんになるのとおなじくらいにだいじなものがあるって、きがついたのだとおもうわ」

 えがおでうなづいたサムのほほに、ルシアはやさしいくちづけをしてくれたのでした。


ことしもクリスマスがやってきました。こどもたちのえがおをおもいうかべながら、サムはプレゼントをくばります。



 プレゼントをくばりおわったころ、とおくからやってくるたくさんのものがみえました。

 それは、たくさんばくだんをもっていて、じゅうをうってくるひこうきでした。

「これはせいぎとへいわ、そしてかみさまのためのせんそうなんだ。じゃまをすると、いたいめにあうぞ!」

「そのかみさまからのプレゼントをあずかってきたよ。さあ、ごらん」

 サムはほほえんだあと、ゆびをパチリとならしました。


 すると、どこからともなくたのしげなおんがくがなりはじめたではありませんか。

 パン! パン! パン! おとされたばくだんがきれいなはなびになって、よるのそらをてらします。

 ポポポポ ポン! じゅうのたまはポップコーンになってはじけます。


 ひこうきにのったひとたちはこまりました。

 これでは、えらいひとがめいれいしたとおりにばくだんをおとせないからです。そして、めいれいをきかないものはひどいめにあいます。かれらはあわててでんわをとりました。

 けれど、でんわからながれてきたのは、えらいひとのおこったこえではなく、おどるのにぴったりのきょく。

 あたりをみわたせば、パジャマのこどもたちがいっぱい。みんなおそらでおどっています。

 それだけではありません。いつのまにか、てんしやあくま、それにほかのトナカイやサンタたちもにぎやかなふんいきにひかれてあつまってきました。


「たのしくおどりませんか?」

 そういって、サムはてをさしのべ、にっこりとわらいます。

 おそらはまるでパーティかいじょう。そこでみんなはあさまでたのしくおどりました。


 よがあけていえにもどったのは、サムのトナカイたちだけでした。


 パーティのあと、ひとりぼっちになったあくまはぽつりといいました。

「いいやつはみんな、てんごくにもっていかれちまうんだよな」


ことしもまた、クリスマスがやってきました。

あのジョージも、このひばかりはせっせとプレゼントをくばっていきます。


あるいえにはいったとき、ジョージはくびをかしげました。

おおきなくつしたには、もうプレゼントがはいっていたからです。

「おや、おかしいな。おれがまちがうはずないのに」

ジョージはくつしたのなかをのぞいてみます。

そのなかにはねこのおにんぎょうさんがいて、そのてにはクリスマスカードがくっついていました。

「さんたさん めりーくりします」 

カードにはそうかかれていました。


「ふふ。ちいさなサンタさん、ありがとう」

そういってジョージはすこしはにかみ、おんなのこのあたまをなでたのでした。

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