空でダンスを・4
あのクリスマスのひ、まちはふぶきのおかげでたすかりましたが、なんねんたってもジャックがもどってくることはありませんでした。
サムは、すっかりいちにんまえのサンタになっていました。
「あら、どうしたの?」
ルシアがはなしかけました。
「ジャックのことをおもいだしていたんだ」
「やさしそうなひとだったわね」
サムがひとりぼっちになってしまってから、ルシアはずっと、そしてやさしくはげましてくれました。
「もうすこししたら、ソリのかけっこたいかいがあるわね」
「そうだね」
サムはむかしとおなじように、かけっこたいかいのかいじょうにやってきました。
サンタになるためのテストがおわったら、つぎからはサンタみんなでソリにのってかけっこをします。 たくさんのサンタがあつまるソリのかけっこたいかいは、ねんにいちどのたのしいおまつりでもありました。
サムがかけっこのよういをしていると、おおきなこえでさけんでいるわかものがいました。
「おい、おれがいちばんになるんだからな!」
そのわかものはだれにもあいてにされてはいませんでしたが、サムをみるなりこちらにむかってきました。
「やあ、おじさん。おれ、ジョージ。しってるか? きょうのかけっこはおれのためにあるんだぜ! でも、ほんとうはめんどうくさいなあとおもってるけどね。まあ、どうせいちばんはおれだから」
サムはいいました。
「サンタは、ソリでいちばんになればそれでいいってわけじゃないんだよ」
「それはいいわけだね! まけるのは、なまけものでよわむしだからさ。ちっともどりょくをしない、こまったやつらだよ。だから、いちばんになったやつが、つよくて、りっぱで、ただしいんだ! そしてかったやつがあまえたやつにめいれいしていいし、ぐずのだめサンタたちにはそっちのほうがいいんだよ。そういうわけで、おれはかってあたりまえだし、かたなくてはいけない。いいか、ぜったいにおれのじゃまはするなよ。つよく、そして、うつくしくゴールしなければだめなんだ。わかったか! じゃあな!」
ジョージはサムをにらみつけながらそういって、さっていきました。