表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空でダンスを  作者: 和十至也
2/6

空でダンスを・2

 サムはまいにちきずだらけになって、サンタのおうちにかえってきます。

「よくがんばったね。つかれたろう、ココアはどうかね」

 ジャックは、いつもくたくたになったサムにおいしいココアをつくってくれます。

 ぽかぽかあたたかいココアをのむと、ふしぎとげんきがわいてくるのでした。

「よし、あしたもがんばるぞ!」

「ホッホ、くれぐれもむりはせんようにの」


 あるひのこと、サムはジャックから、サンタになるためにはテストをうけなければいけないことをおしえられました。

 サムはこれまでよりもたくさんれんしゅうするようになり、まいにちはあっというまにすぎていきました。ついにテストのひがきました。サムはテストをうけに、ジャックのソリのうしろについて、かいじょうまでとんでいきました。


 テストというのは、ソリにのってのかけっこ。

 みならいサンタがあつまって、きょうそうするのです。

 のはらにはたくさんのサンタがいて、にぎやかにおはなしています。


 そのなかから、きんいろのかみのおんなのこがはなしかけてきました。

「わたし、ルシア。おたがいにがんばりましょうね」

「うん。ぼくはサム。がんばろう」


 ソリのかけっこは、おそらのむこうにうかんでいるふうせんをもってかえってくることでした。

「よーい、どん!」

 ちょうろうサンタのかけごえで、みならいサンタたちはいっせいにとびだしました。れんしゅうをがんばったサムはソリをじょうずにうごかすことができました。


 このまま、ほかのみならいサンタにぬかれないでかえることができれば、いちばん。

 サムはとてもいいきもちでした。

 いままで、なにをやってもいちばんにはなれなかったからです。


 「あっ」と、おもわずサムはこえをあげました。

 めのまえで、ほかのサンタがソリからおちそうになっていたからです。たすけないと、いまにもなげだされてしまいそう。


 そのときです。

「やい、サム。あいつをたすけていたら、いちばんになれないぞ! さあ、のろまなやつらをけおとして、おれたちもいいおもいをしようぜ。え? できないって? あ~あ、ここでいちばんになれなきゃ、おしまいだな。それに、あのじいさんもいってたっけなあ~、のろまなサンタなんていらないってな!」

 すがたのみえないあくまがサムのみみもとでささやいてきました。


 サムは、おちかけたサンタをたすけずにゴールしました。

 かわりに、そのおちかけたサンタをたすけたのはルシアでした。

「あなたって、じぶんのことだけしかかんがえていないのね。それでもサンタかしら?」

「おちるのがいけないんだ! ぼくはわるくない」

 そういって、サムとルシアはにらみあいました。


 いちばんになってもらえたのはおもちゃのくんしょうひとつだけ。


 かけっこがおわってから、ジャックはいいました。

「サムや、サンタにはいちばんになるよりもたいせつなことがあるんじゃよ」

 がんばっていちばんになったのに、サムはおこられているようなきがしました。

「いちばんのなにがわるいの!」

 ジャックはかなしそうなかおをするばかりで、それきりなにもいいませんでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ