空でダンスを・1
むかしむかし、あるところにサムというわかものがいました。サムはやまのぼりがすきです。やすみのひには、リュックサックをせおってでかけています。
「やっぱりやまはおちつくなあ」
いつものように、サムはやまのてっぺんをめざしてあるいていました。
あせびっしょり、あしがくたくたになるまであるいたけれど、てっぺんにはなかなかつきません。
「あれれ、おかしいなあ」
そのうちゆきまでふりはじめて、サムはおおよわり。
ゆきはびゅうびゅうとふきながらむかってきます。さむさとねむけにおそわれて、サムはとうとうたおれてしまいました。
きがつくと、サムはふかふかのベッドのうえにいました。
びっくりしてあたりをみまわすと、あかとしろのふくをきたおじいさんがいすにすわっていました。
おじいさんはいいました。
「おまえさんはふぶきにおそわれて、すっかりうもれておったのじゃ」
「もうだいじょうぶなようじゃな。それじゃ、ソリでふもとまでおくってあげよう」
「じつは、その……。あの、もしかして、おじいさんはサンタさんなの?」
おじいさんはまっしろなおひげをさわりながらこたえます。
「ホッホ、おまえさんのいうとおりじゃ。こどもたちにプレゼントをとどけるしごとをしておる」
「ぼくもサンタになりたいなあ」
「サンタになるのはたいへんじゃ。これから、たくさんた~くさんがんばらないといけないのじゃよ。それでもいいのかな?」
「ぼく、がんばるよ」
サンタさんはホッホとわらって、サムのせんせいになってくれました。
「ジャックじゃ。よろしくの」
みならいサンタになったサムは、ソリのれんしゅうをはじめます。
ソリをひくのはサムよりもおおきなトナカイです。トナカイはサムのいうことをなかなかきいてくれません。なんどもなんどもソリからふりおとされて、サムはぼろぼろのくたくた。
「あいたたた。でも、もう、のろまなんていわせない! ぼくはぜったいにあきらめないぞ!」
そういってサムはまたソリにのるのでした。