走る走るオレ、デブ
デブは一般的にスポーツが嫌いだ。動くのも汗かくのも嫌い。体は重くて動かすのが億劫だし、汗はわざわざかかなくても常にかいているからだろうと思う。そして動かないことによってますますデブる。
さて、私はどうかと言うと、学生時代の体育の成績は散々なものだった。逆上がりはできないし、身体は硬いし、25メートル泳ぐのがやっとだし、球技をすればチームの足を引っ張るし。
科目としての体育は大嫌いだった。
が、いくつか前の記事で、高校時代にダンスダンスレボリューションというゲームで踊りまくった話をしたと思う。四角形のマットは中心に立ち位置があり、四方に矢印がある。あえて表現するなら、こんな感じ。
「 ↑ 」
←○→
「 ↓ 」
テレビ画面では、音楽に乗って矢印が流れてくる。対応する矢印がバーの上に来たところで、足を動かす。自分で言うのもなんだが、私はこれが上手かった。上級者とは言わないが、人に見せたら感心されるような、中級者くらいの足前だった。そしてなにより、ゲーム性があって楽しかった。踊る踊るデブ。シュール!
私はこれで実家にいた頃は体重を保っていた。一軒家だったから、下の階の騒音に気を遣う必要もなかった。
そしてある年の春、私はWiiFitデビューをした。それはテレビ画面の前でヨガをする女優さんのCMがバンバン流れて人気が出まくってた頃ではなく、下火になったころだった。ぽっちゃりから脱却したかった私は、誕生日プレゼントにこれを買ってもらった。
結論から言おう。
すごい!!!!!! おもしろい!!!!!!!!!
特にハマったのがバランス感覚を鍛えるスケボーと、足踏みステップと、カンフーと、なんとマラソンだった。
学生時代大っ嫌いだったマラソンが、ゲームになることでこんな楽しくなるとは思わなかった。
画面では、自分に似せたキャラクターMiiが走る。短パンのポケットにコントローラーを入れて、その場ジョギングをするとキャラが走る仕組みだった。コースもいくつかあって、走るとともに景色が変わって、飽きが来なかった。猫も一緒に走ってくれたりした。これがまた、可愛い。
Wiiの本体のMii広場にあらかじめ自分の作ったキャラクターをいくつか入れておくと、そのキャラが参加して一緒に走ってくれる。モチベーションが上がった。(ちなみに作ったのは、薄桜鬼の山崎さんと沖田さん、ときめきメモリアルの設楽先輩)
その場でドシドシ走っているだけなのに、距離は伸びるわ、カロリーは消費するわで、楽しくて仕方なかった。一時間もやれば6~7キロ走れたのだ。それがたとえ気のせいなんだとしても!
私はそのうち、本当に外で走ることを考え始めた。
そして、縁のなかったスポーツショップに行き店員さんにアドバイスを貰いながら、人生で生まれて始めてのジョギングシューズを買った。その名もアディゼロテンポ。
ジョギングは普通のスポーツシューズで行ってはいけない。いけないってことはないか。あまりよろしくないということにしておこう。ジョギングでは片足が一瞬完全浮くため、着地している方の足に体重の三倍の負荷がかかると言われている。60キロなら180キロだ。デブの足首は瀕死になってしまう。
そんなことをグーグル先生に教えてもらっていた私は、上級者向けの軽いシューズではなく、クッション性の高い初心者のシューズを買った。シューズ代はケチらなかったので、一万円くらいした。
続く




