30
王の住まう城の地下。
今日も魔女は魔法の鏡に問いかけます。
「鏡よ鏡、答えておくれ。赤ちゃんはどうやって作るの?」
「……は?」
「コウノトリが運んでくるだのキャベツ畑だの、調べても正解が出てこないのよ」
「……え? ガチですか?」
「人間を作ることは出来るのよ、材料と素敵なものでちょちょいのちょいじゃない。でも改めて考えると、人間がどうやって人間を作るかが分からないのよね」
「なるほどご主人様は魔女ですから人間のことには疎いんですね……ということにしておいて。それでは教えてさしあげましょう」
「お願いね」
「まず、人間が人間の赤ちゃんを作るには男と女が必要です」
「割合は?」
「1対1でじゅうぶんです。その男と女を一晩部屋に閉じ込めておきます」
「ふむふむ」
「するとあら不思議、翌朝部屋の裏手にキャベツ畑が!」
「人体の神秘!」
「そのキャベツを狙ってコウノトリの群が!」
「きた!コウノトリきた!」
「コウノトリを撃ち落とし、じっくり炭火で焼いてキャベツで巻きます」
「あら美味しそう。お野菜も鶏肉もヘルシーだし、今夜のメニューにしましょう。で、何の話しだったかしら?」




