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王の住まう城の地下。
今日もまた魔女は魔法の鏡に問いかけます。
「鏡よ鏡、答えておくれ。世界で一番美しいのは誰?」
「所作にもよります」
「ふむ」
「どんなに外見が美しかろうと仕草に品が無ければ美とは言えません。またその逆もしかり」
「なるほど確かにそうね。礼節をもって優雅に振舞う人は気高く美しく見えるものだわ。それなら所作を含めて、世界で一番美しいのは?」
「俺です」
「久々の。……所作!?」
――――――☆――――――
王の住まう城の地下。
今日もまた魔女は魔法の鏡に問いかけます。
「鏡よ鏡、答えておくれ。……もしかして毒リンゴが駄目なのかしら」
「どうなさいましたか」
「リンゴってちょっと安直すぎるかもしれないと思ったの。たとえば毒ミカンとか毒バナナとか」
「なるほど。確かにリンゴより手軽で食べやすいかもしれませんね。まぁ名前も知らん突如現れた老婆から貰った果物なんて俺だったら絶対に食べませんけど」
「毒ビワ……毒ブドウ……毒ドラゴンフルーツ、毒ドリアン……」
「早くも迷走の兆しが」
「毒ナシ!」
「毒入りなのに毒ナシとはこれいかに」