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王の住まう城の地下。
おせちを見ていた鏡が何やら思いついたようです。
「ご主人様、白雪姫に毒を飲ませたいんですよね」
「えぇそうよ。ほぼ大半の人が忘れてるだろうけど、毒リンゴであの子を殺したいの。でも毒リンゴも毒なしも毒ぶどうも毒ドラゴンフルーツも毒ドリアも毒ジャボチカバも毒ナンバンカラスウリも食べなかったのよ」
「そこで思ったんですが、果物に拘らなければいいんじゃないですか?」
「どういうこと?」
「白雪姫が好きなものに毒を入れるんです。芋煮とか。……あれ、なにか声が」
……ヲ…ケガ……ワザワイ……
「なんでしょうか、この声」
「なにか喋ってるわね」
イモニヲ……ケガスモノニ……ワザワイ……ヲ……芋煮…ヲ……災い…ヲ!
芋煮ヲ汚ス者ニ災イヲ!!
「芋煮神様のお怒りだわ! お義母様、鏡さん!いったい何をしたんですか!」
「白雪姫!」
「芋煮神様!どうかお赦しください!そのお怒りを、どうか鎮めてください!芋煮神様!!」
芋煮…芋煮……芋煮ニ繁栄ヲ……イモニエッサイムイモニエッサイム……
「イモニエッサイムイモニエッサイム……。ふぅ、なんとか芋煮神様がお帰りになられたわ。お義母様も鏡さんも、私が芋煮会の幹部じゃなかったら今頃ひどい目に合ってましたよ」
「あんた何の組織に属してるのよ」




