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光の国  作者: 幸鈴
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私のはじまり

以前書いていた光の国を書き直しました。

良ければ感想なども書いていただけると、非常にありがたいです。

全く物書きはしたことが無いので、趣味程度ですが、頑張りたいと思います。

ーここはどこだろうー



気がつけば、私は見知らぬところにいた…







薄暗い闇の中に私は両親とともにいた。何故ここに居るのか、ここはどこなのか、わからない。


怖くなって、母にしがみ付いた。


母はふわりと微笑んで、私の頭をゆっくりと撫でてくれた。それだけで、先ほどまでの恐怖がなくなった気がした。



『ここは何処?

なんでこんなところにいるの?』



すると、少し驚いたような顔をして、母はこう言った。




『ーー、覚えてないの?ーー、がここに来たいって言ったんだよ?』




私がブンブンと頭を振ると、不思議そうな顔をした。







ーこんなところ知らない。私、そんなこと言ってない。それに、ここ、なんか怖いー







『怖くなったの?ーーが来たいって言ったのに…』




母は私が頭を振ったことを何か勘違いしたらしい。



『しょうがないわねー。お父さん、ーーが帰りたいって。』



『なんだー?ーーは、怖がりだなぁ。しょうがない、帰るか…。』














ーやっと、ここから帰れると思ったのに…。なんでこんなことに…。ー















あの時、悪夢が私達家族を襲った…。












帰るか、と言った父の背後で黒い何かがズルリと動いた。


私は、声にならない悲鳴をあげた。

途轍もなく嫌な感じがしたのだ。



訳も分からず、父の後ろを指差しながら、声にならない悲鳴をあげている娘を見て、両親は、ギョッとした顔をした。




『…どうしたの?そんなに取り乱して……ッ』



母が、私に問いかけながら、私の指先を見て、同じように声にならない声をあげた。



『二人して何やってんだ…。お父さんを驚かそうったって、そうはいかないぞ?』



そう言いつつ後ろを振り返った父の目の前には、気見悪く蠢く黒い物体がいた。

その黒い物体はゆらゆらと動きながら、私達に少しずつ近づいてきた。



『な、なんなんだこれは…』



父が漸く口にした言葉は、そこにいた誰もが思ったことだった。

そして、何を思ったか、父はそれに触ろうと手を伸ばした。




『…ッ、ダメッ‼︎』




何故かは分からないが、嫌な予感がした。

私の叫び声に驚いた父は手を引っ込めてこう言った。



『どうした?』



そう言って、指差した。



『大丈夫だって、これが何かちょっと調べるだけだ。怖いんなら離れてろ。』



ー違う、そうじゃない、それに触っちゃダメっっー



言葉にしようとした瞬間、ずるり、と動いたそれは、父の右腕を飲み込んだ。

頭から血が音を立てて流れ落ちていくのがわかった。


ー人って本当に血の気が引く時はサァーって音するんだ。ー


何てことを変に冷静に考えながら、茫然と見ていた。





『なっ…、離せっ』



何とか抜け出そうともがくが、父はもがけばもがくほど、飲み込まれていく。


暫く茫然としていた母も慌てて父を引っ張り始めた。

しかし、それは一体ではなかった。

ズルズルと父を飲み込もうとしている奴の後ろから次から次へと出てきたのだ。

それに気づいた父は、



『ーーを連れて逃げろっ!!』



そう言って、母を突き飛ばした。

それでも、母は嫌々とでも言うように頭を振って、父を引っ張ろうとした。



しかし、父はそれをさせなかった。



『ーーを死なせる気か!!俺は自分でなんとかする。ーーを頼んだ。』



ハッとした顔をして母は私を見た。

必死に食い止めている父、しかし、少しずつではあるが、ズルズルと黒い物体に引きずり込まれていた。

数もかなり増えてきた、正直時間の問題だろう。



母が私を抱えて走り出した。



『お父さんっ!!』


思わず叫ぶが、母は走るのを緩めることはなかった。

その時の母の顔は見えなかったが、きっと、とても辛い顔をしていたと思う。





いったいどれだけ走ったろうか…。

ここがどこなのかは未だわからない。

物陰に隠れるようにして、私たちは息を潜めた。

母は暫くぜぇぜぇと息を切らしていたがやがてこう言った。


『ーー、あなたのことは私の命に代えても守る。だから安心して。』


私はこのまま一人になってしまうような気がした。しかし、母の顔に浮かんだ固い決意の色によって、1人にしないで、とは言えなかった。





暫く息を潜めていると、奴らの気配がだんだんと濃厚になってきた。

終いには何かを引きずるようなズルズルという音が聞こえてきた。

怖くて母にしがみついた。


『大丈夫よ、大丈夫。貴方は絶対に死なせないから。』


母は耳元でそう囁いた。



息を潜めて、奴らが通り過ぎるのを待つしかない。

私達は必死に息を殺した。



暫くして、奴らの気配が少しずつ薄くなっていき、ホッと一息ついたところだった。

背すじに悪寒が走った。

あいつらを初めて見た時に感じたような、ゾワリとした感覚。

嫌な予感がしてバッと後ろを振り返ると、そこには奴がいた…。



私たちを見下ろすようにして壁の上からこちらを覗き込んでいた。

私はその時、奴がニタァと笑っているように見えた。表情はおろか、顔すらもないのに…。

まさに、獲物を見つけた肉食獣のようだ。


母と私は突然のことで、数瞬間固まった。

しかし、母の判断はとても迅速だった。

私を自分の背に隠して、私にだけ聞こえる声でこう言った。


『後ろは一切振り向かず走りなさい。』


その声音には何故か私を動かす力があった。

内心では嫌だと思いながらも、その鬼気迫った声音は幼い私を否応なしに動かした。

せめてもの抵抗として、母の服を摑んだが、バシッと手を払われた。


『早く逃げなさい。』


私は母に拒絶された気がして、一目散に駆け出した。

母がその時何かを言っていた気はするが、よく聞き取れなかった。母の目からは一筋の涙が溢れていた。




私は必死に走った。

それこそ死に物狂いで。

暫く走った後に、母を置いてきてしまったことを悔やんだ。母と別れた場所に帰ろうと思ったが、帰り道がわからない。どうやら迷ったらしい。

どこをどう走ったのかも覚えていない。


私は、座り込んで泣き出してしまった。

仕方がないとも言えよう。4歳の女の子である。

この状況で泣かないほうがおかしいのだ。




しかしその事が、奴らを呼び寄せることになってしまう。




やはり、奴らは私の周りに集まり始めた。

気配を感じた私は、泣き止んだが、時すでに遅しである。気づけば私は奴らに囲まれていた。



黒い蠢く物体が迫って来る様子は途轍もなく怖かった。私は体の震えが止まらなかった。

かちかちと歯の根が合わず不快な音を立てる。

自分自身を抱くようにして抱きしめるが、怖さは和らがない。


きっと奴らにとってはいい獲物であろう。


奴らの距離がだんだんと縮まり、飲み込まれそうになった時、もうダメだ、と私は自ら意識を手放した。

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