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8 野宿?



 お湯を撒いて出発してからは結局一度もモンスターに出会うこともなく野宿の準備に入った。




 地球では必死でテントを張らなければならなかったがさすがというべきか豆みたいなサイズの物体を放り投げると一人用テントになった。ただそれも見た目だけであったが。




「なんだよ、これ……。すごすぎだろ」




「別にそんなことないわ。パテイエスの皆は全員持っているし。ほら、今は予備がないからあなたもこのテントよ」




「は、一緒のテント!? お前と!?」




 俺は女と同じテントなんて嫌だ、というか無理。だったらむさくるしいけどラティオと同じテントのほうがマシだ。




「何言ってんのよ。右の部屋を使ってちょうだい」




 ほら、と言って開けられたテントの中は一人用テントどころか俺の住んでいるマンションくらいの広さだ。




 ちなみに俺が驚いたのは豆サイズがテントサイズになったことである。こんな無茶苦茶な拡張ではない。




「この世界はほんと何でもアリだな」




「別に全員がこのレベルの魔法道具を持っているわけじゃないわ。私たちは魔法に特化した民族だから全員分の魔法道具が作れるだけ。街で買おうと思ったってなかなか買えないわよ」




「ほう。じゃあお前らの生活はほかの街よりも機能的なのか。」




「まあ魔法のおかげで生活はだいぶ楽だけどね。あくまでも少人数だから。娯楽要素は少ないわよ」




 この世界はどっちにしろ地球に比べれば娯楽はどうせ少ないだろう。




「まあいつか行ってみたいな。魔法を使って生活している村なんて気になるしな」




「じゃあいつか招待するわ。勇者の剣を手に入れればあとは比較的に自由だし」




 自由、か。なら俺もやっぱり一人旅に走ろうかな。すでに魔族の動きが強まっていれば自由なんて言えないわけだし。俺は俺で経験を積ませてもらうことにする。




「今日は食事をとり次第寝るわよ。明日に響くわ」




「食事って準備手伝った方がいいのか?」




 地球では俺は料理が得意な方だった。いつも意外だと言われていたが。




「当番制だし魔法を使うからすぐに出来上がるわ。あなたの口に合うかはわからないけど。ああ。もうできたみたいよ」




「何も聞こえなかったが魔法か?」




「ええ、生活魔法の中の上位魔法の一種で『テレパシー』よ」




 『テレパシー』か。使えたら便利なんだろうなー。上位魔法ってことは使える人間はほとんどいないのか。俺も魔法使いたいなー。今度使えるか聞いてみよう。




「食事は基本的にみんなで食べるわ」




 テントの入ってきた方とは逆にある扉を開けるとなぜか広間的な場所が広がっていた。




「はい?」




 えっちょっと待って。空間を繋げるとか魔法発達しすぎだろ。




「この魔法は長老にしか使えないわ。みんなのテントと長老のテントを繋げてあるのよ」




 見ればわかる。ゲームオタクなめんな。




「今日の食事はパンとシチューだ。質素ですまん」




 今日の食事当番の人か。旅の途中の野宿と考えれば質素ではないはずだ。あくまで俺のイメージでこの世界の基準はわからんが。




 日本とは違い特に挨拶はなく食事が始められる。俺もシチューを一口食べてみる。




「……うまいな。食べたことのない味だ」




 何の肉かわからんが結構入っているし、シチューもおいしい。ぜひ作り方を習いたい。




「お口にあってよかったわ。今日はパティエスの中でも料理のうまい人が当番だったから」




「ちなみにこの肉はなんだ? 肉なんて長くは持たないだろうに」




 さすがに冷蔵庫はないだろう。魔法でとか言われたら生活魔法の充実に感動する。




 そこに食事当番がわざわざ俺のもとにやってきた。




「勇者様においしいなんて言われて光栄だな。その肉は今日倒したゴブリンの肉だ。モンスターを倒した日の夕食は豪華なんだ」




「なるほどな。モンスターの肉なんて初めてだから変な感じだ。パンもおいしいよ。よかったら作り方を教えてくれ」




「ああ。俺明日の朝も食事当番なんだ。同じソースを使うから教えてやるよ」




「ありがとう。じゃあ明日朝早くここに来るよ」




 この料理と同じように地球にはない味の料理がたくさんあるんだろう。いやーいっぱい作りたいわー。



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