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5 初めての戦闘




「てやっ」




 まだまだ自分には合わない重い剣をゴブリンに向かって振る。……が全然当たらない。ゴブリンに知能はあるのか死なないための条件反射か、お世辞にも早いとは言えない俺の剣をよけている。




「くそったれぇ! 避けんなバカ野郎!」




 初心者に優しくしろ、クズモンスターめ。クズモンスターにすら勝ててないわけだが。俺はひたすら剣を振り続けた。当たりもしないが牽制にはなっているようで攻撃は受けていない。これで当てれれば万々歳なんだけどな。




 そんな時一発だがゴブリンに当たった。今のちょっと感覚違ったかも。




「数打ちゃ当たるってやつか。百発百中にしたいけど……!」




 今はまだ無理だ。一発当てたら感覚が冴えた気がする。




 剣の向き、角度、力の込め方。当たった一発の感覚に近づけていく。とりあえず当てればゴブリンに傷がついていく。傷がついたら真上の空間が揺らいでいるように見え、すごく薄いが何かバーがあることに気が付く。




 傷がつくことで動くバー、ヒットポイントゲージか。そんなこと教わってなかったからほかの人には見えていないと考える。わざと教えなかったとも考えられる。




 とりあえず剣を振り回し牽制しつつ斬れなくても関係なしに剣をぶつけていくとゲージの緑が少しずつ減少して赤に変わる。見た目的には全然傷ついていないように見えるが結構ダメージを負わせている。




「せい!」




 俺は自分で気合を入れるように短く叫び剣を振りおろす。剣の一番太い部分の刃がが少し角度が斜めに逸れたが、きれいにゴブリンの体に吸い込まれゲージがすべて赤に変わるとともに消滅した。一匹倒すと何となく自信がついた。剣をしっかりと握り牽制はやめて剣を振りあげ振り下ろす。牽制が無くなったことに気付いたゴブリンが攻撃に出る。ゴブリンは小型の棍棒を振り下ろしてくる。




「うおりゃ」




 必死に体をひねって棍棒をよけ目の前に来たゴブリンに剣を叩き付ける。力いっぱい振り下ろした完全な力技は小さめのモンスターであるゴブリンには大きな衝撃だ。大きくゲージの緑が削れ赤く染まる。怒って棍棒で攻撃されるがここは力技に限る。剣で棍棒を受け止めそのまま押し返す。その隙に野球のバットを振るように剣をスイングさせる。思ったより勢いがついて目の前のゴブリンだけではなく残ったもう1匹のゴブリンにも当たった。これは幸運以外の何物でもない。結局両方のゴブリンのヒットポイントをゼロにしたらしく2匹とも消滅した。




「よっしゃー! 初勝利だ、死ななかった」




 周りを見渡してみるとパティエスの面々も戦闘が終わりかけていた。パティエスの精鋭たちの中心で舞うように剣を振るうレオナに目を奪われる。ほかのパティエスが魔法だけを使う中、彼女だけは剣に何かの魔法をまとわせて戦っていた。剣の先が赤や黄色、緑など様々に変更される魔法にゴブリンたちが翻弄されている。




 散々翻弄した後レオナは大きく跳躍し戦線を離脱。いきなり戦前からいなくなったレオナをターゲットにしていたゴブリンたちは動きが一瞬止まる。その隙を逃すパティエスではない。レオナ以外の9人が一斉に魔法を放ちゴブリンたちは逃げる間もなく一掃された。




「すげぇな……



 思わずつぶやいてしまう。




「これがずっと続けてきたパティエスの戦い方よ。慣れてるのだから連携もうまくいくわ。それより、ハルはやっぱり立派な勇者ね。危なくなったら助けようと思ってたけど倒しちゃったし。それに、倒したモンスターの死骸が消える。今までの勇者も全員そうだったわ」




 放たれた魔法による爆発の煙が晴れるとそこには血を垂れ流すゴブリンの死骸があった。たしかに俺は倒したらすぐに消えた。死骸の処理がなくて楽っていう利点だな。




「呼び出されて、戦わされた挙句勇者じゃないって言われなくてよかったよ」




 そんなんだったらさすがにシャレになんねーな。


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