広い宇宙
地球は娯楽に飢えていた。地球人全員がなまくらになっていて、全て遊びをやり尽くしたのだ。なまくらなので新しい遊びを創り出す気も起らない、という始末だった。
そのうち地球人は『我々は娯楽に飢えています。どうか助けて下さい。このままでは、たいくつでどうにかなりそうです。場所は……』と書いた手紙を宇宙のあちこちに飛ばし出した。広い宇宙、どこかに凄く親切か、あるいはもの好きな連中がいる星があっても不思議ではないだろう。
「おい。こんな手紙が流れ着いたぞ。我々は娯楽に飢えています……」
「かわいそうな奴らだな。俺達の星では絶対にそんなことなどないのにな」
「一つ、俺達で助けにいってやるか」
地球人が飛ばした数多くの手紙の一つは、こんな所に届いた。全く宇宙は広い。娯楽に関しては全く心配がなく、しかも個人で気軽に恒星間飛行が出来る、という所があるのだから。
「それじゃ、直ぐ行こうぜ」
彼らは地球に向かって、出発した。彼らの宇宙船は、地球では考えられない位に、立派だった。
「あっ、来たようです」
〇〇テレビのアナウンサーは、空港で、マイクを片手に空を見上げながら言った。彼らの乗った宇宙船が、やって来たのだ。
彼らの宇宙船は、地上へどんどん近付いて来た。千メートル、五百メートル、百メートル、五十メートル、十メートル……。その時だ。突然、宇宙船からガスの様のものが、シュッ、シュッ、と出てきた。そのガスは、人にかかると死ぬものだった。たちまち周りには、死体の山が、何個も出来た。
そのガスは、殺虫剤を何十倍にも強くした様な臭いだった。
「何だ。いったいどうなっているんだ」
「奴らめ。気でも、狂ったのか」
「いや。侵略かもしれん」
人々は絶叫した。
「うわっ。何だ、気持ち悪い」
「害虫だらけではないか。どうなっているんだ」
「この星は、虫に対する管理が行き届いてない。不潔だ」
「助けるのはやめて、帰ろう」
と宇宙船の中で、彼らは叫んだ。
何しろ宇宙は広い。地球人の形の生物が、その星では害虫、ということがあっても、不思議ではない。
中学生時代に書いたもので実に幼い出来ですが……文フリ用のショートショート集の中の1作として収録しました




