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独白
吾妻が風呂場に足を向けた事で、リビングには二条だけが残った。残り少ない酒を一気に飲み干し、グラスをテーブルに置く。
普段はそこまで煙草を吸わない二条が、今日に限っては珍しく数本以上を続けて口にする。換気扇の下に置きっぱなしの煙草の箱を何となく眺めながら煙を吐き、新たな煙草に火を点す。
「……詐欺師辞める気なんて、これっぽっちも無いのにさ。 バレて、追われて、殴られて、切られて──それでも、愉しい方が勝ってる癖に。 それでも、騙した奴等の顔より、龍臣君の方が欲しいとか……俺、ほんと欲張りだなぁ」
吾妻は風呂から上がり、リビングに入ろうとした瞬間、足が止まる。
その声は、壁に寄りかかる吾妻の耳に届いていた。頭にはタオルが掛かり、表情は隠れている。
だが、息を潜めて立っているだけで、二条の言葉の全てを聞いてしまっていた──。




