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王宮

「ふはははははは!!!!!

これは正規の手続きを経た上での決闘!!!

あくまで双方合意の上!!!

断じて処刑などではありませーーーーんwwww」



目の前で俺を煽って来ているのは、この国の王様。

異世界に俺を呼び出した張本人だそうだ。

過程は割愛するが魔王を倒す為に地球人を召喚したにも関わらず、武術の心得が一切ない俺が呼び出された事に我慢できず、決闘のタテマエで俺を試し斬りの素材にしたいらしかった。



「ふはははははは!!!

皆も見よ!!!

余の新たなる佩刀を!!!

刀身はオリハルコン!!

柄にはドラゴンの皮!!!

ミスリルの柄には当家の家紋を美しく彫刻しているゥ!!!

うーーーーーん。

試し斬りの機会をずっと探していたが、最近は誰も粗相をしてくれない!!!

眼前の意味不明スキル野郎を渡りに船と叩き斬りたいがぁッ!

王宮法で異邦人への無礼討ちは厳禁されているうう!!!!

そこでッ! 聡明なる余は考えた!!!

決闘ッ!

それは男の浪漫ッ!!!

たまたま異世界からやって来たヤブキ君と、余がぁ!!

双方合意の上で!!!

紳士的な話し合いの上で!!!

決闘に合意したああ!!!!

本音を言えば我が宝刀キングダムソードの試し斬り以外の何者でもないのだがああ!!!

建前上は決闘なので王宮法的にはセーフ!!!!

分家筋からクレームが来ることもないッ!!!!

さあ異邦人・ヤブキよ!!!

君のその意味不明な武器【ピストル】とやらを構えよ!!!

あくまで双方合意の決闘だからなぁwww

一方的に殺されるだけだが、余を恨むなよww

ギャハハハハwwwww」



俺はチラっと騎士団長を見る。

面倒見の良さそうな人だったので、丸く収めてくれるかも知れないと思ったのだ。

だが、返事は当然NO。



「ヤブキ殿。

誠に申し訳ありません。

こうなった以上、私の権限ではどうする事も出来ないのです。

もう決闘に応じて頂く以外は…」



団長は申し訳なさそうに肩を落としてしまう。

この王様は所謂暴君にカテゴライズされている人物で、即位前から辻斬りや無礼討ちを繰り返していたらしい。

無抵抗の人間を斬って力を誇示するのが生き甲斐だそうだ。

見かねた分家筋や周辺諸侯が連名で抗議した為、最近は決闘の形式を踏むようになったとのこと。



『えっと王様。』



「お、ヤブキくーん♪

やっと決闘に応じてくれる覚悟が出来た?

うふふふー。

やっぱりね、異邦人とは言え召喚した以上は俸禄を払わざるを得ないからね。

男の癖に剣も握ったこともない君を生かしておくのは辛いんだよー。

我が国も財政苦しいからねぇ、あははははははwww

よーし、余がスペシャルサービスしちゃうぞ☆

ヤブキ君は誰かから武器を借りてもいいよー。」



『あ、いえ。

剣とか借りても使えないと思いますので、私はこの【ピストル】でお相手致します。』



「ほほーーーう。

その謙虚な姿勢、素晴らしい!!!

いやー、感動するなあ。

そうだ、その潔さに免じてキミの遺骸は兵士用の墓地に埋葬してあげることにしよう!!」



『あ、それはそれは。

身に余る光栄で御座います。』



「わっはっはっはw

良い良い。

やはりね、いきなり呼び出されて家畜処理場に埋められるのはあまりに不憫だろうから。

余としてもね、最大限の配慮はしてやりたいのだよ。

わっはっはっはwww」



『王の御慈悲に感激至極でございます。』



「うわっはっはっは。

ヤブキくーん、余はキミみたいな男、好きだなぁ。

キミと出逢えた奇跡に感謝感謝♪」



『あ、どもども。』



「よーし騎士団長、決闘合意書はちゃんと作成出来た?」



「はい陛下、こちらに。」



「お、仕事覚えてきたじゃないーい。

じゃあ余が先に署名するねー。

サラサラサラーっと♪

はい、ヤブキ君。

そこに署名してー。」



『あ、はい。

これでいいですか?』



「グ―――ッド♪

えっと、ファーストネームは何と読むの?」



『あ、はい陛下。

ダンと読みます。

矢吹弾がフルネームです。』



「へー、珍しい響きだねぇ。

ダン?

何か謂れのある名前なの?」



『あ、いえ。

タマという意味です。』



「ん?

タマ?」



『あ、いや。

鉄砲とかの弾です。』



「ん?

テッポウ?

まあいいや、キミの世界にはそういうのがあるんだね。

ちょっとイメージ湧かないなあ。」



『はあ、まあ私の故郷では一般的なのですが。』



「へえ。

じゃあタマというのもテッポウとセットの道具なんだ?」



『あ、はい。

流石は陛下、聡明な理解力に驚きを禁じ得ません。』



「あっはっはっはww

もう照れるじゃなーい。

あ、ゴメンね。

タマやテッポウの話をもっと詳しく聞きたいんだけど

余もスケジュール押してるから、さっさと決闘済ませちゃおうか。

ごめんねー。

いやー、タマとかテッポウとか機会があったら見てみたかったわww

じゃ、騎士団長。

時間も無いから早く合図して。

執事長、アフタヌーンティの準備始めておいて。

シャワー浴びたらスコーンから食べるわ。

ジャムはメロン味で頼むよー。」



「で、では陛下

決闘の合図、宜しいですね?」



「うむ!

今日は余にとって人生最良の日だ!」



「ではヤブキ殿も宜しいですね?

合意ですね?」



『あ、はい。

じゃあ私も合意ということで。』



「それでは両名!

古来よりのシキタリに則り10mの位置まで離れてー!!!」



『え?

陛下、距離取っちゃっていいんですか?』



「あっはっはww

昔はズルをする奴が多かったんだよーw

合図前に斬りかかったりね?

それで不正防止の為に徐々に開始距離が離れて。

今は最も公正な10mの距離を取る決まりとなっている。」



『あ、そうなんですね。

勉強になります。』



「わっはっはww

人生勉強だよーww」



「それでは両名!!

立会人は王国騎士団長のエドモンド・グリーンウッドが務めます!!

双方10mまで下がってぇ!

あ、ヤブキ殿あと半歩下がって。」



『あ、はい。』



「それではただいまより!!

第29代国王ブラッディ5世陛下と異邦人ダン・ヤブキの決闘を開始します。

双方、覚悟は宜しいですね?」



「うむ、余はいつでも構わんぞよ。」



『あ、私も別にいつでも。』



「それでは!!

いざ尋常にッ!!!

勝ォォォ負ッ!!!」



バキュンッ!!



…ドサッ!!!



当然、ピストルを撃つのは生まれて初めてだったし、人に銃口を向けるなんて言語道断だと思っていた。

そもそも素人が撃ったところで簡単に命中する訳もないと聞いていた。

でも、撃ったら当たっちゃった。

10mってね、銃で狙うのに丁度手頃な距離なんだよ。



「え?え?え?」



騎士団長がパニックになる気持ちも理解出来る。

王との会話でも分かったことだが、そもそも彼らには【銃】の概念が無いのだ。

一緒に転移してきた地球人以外は茫然としており、誰も王の救命の為に動いていない。



皆がボーっとしているうちに、倒れた王の身体から出た血が広がり彼の纏っていた純白のマントを染めてしまった。



『えっと。』



俺が声を掛けた瞬間に騎士団長が我に返り、大声で救護班を呼び寄せた。

しばらく救命作業が行われるが、素人目に見ても即死だろう。

撃った瞬間、王の首元が吹き飛んだのだから。

そりゃあね、首が吹き飛んだら普通は死ぬよね。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



形式的には決闘とは言え、王様を殺してしまった訳である。

有無を言わさず嬲り殺しにされると思い銃をずっと構えていたのだが、案外彼らは紳士的だった。

王の従弟に当たる人物がざっくりとした状況説明を俺達に行い、市民証なる居住カードも発行してくれた。

どうやらこの従弟氏が30代国王ワイリー2世として緊急即位するらしかった。

判断に迷ったのだが祝辞を述べると、ワイリー王は破顔して握手を求めてきたので、俺はそれなりにマシな選択肢を選んだようだった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



俺の名前は矢吹弾。

年齢は37歳で零細の自営業者。

遵法傾向は強い方だと自覚しているが、ここは日本国ではない。


さっき、異世界に転移して最初の1人を殺した。

能力名は【ピストル】。

幸か不幸か、この世界に銃の概念を知る者はいない。

今回の殺害人数  1名

総殺害数     1名



【ステータス】



「名前」


矢吹弾



「能力名」


ピストル



「能力」


詳細不明

スキル覚醒時にリボルバー式の銃が腰に出現した。



「パラメーター」


《LV》 2

《HP》 15

《MP》 10

《力》  5

《速度》 10

《器用》 15

《魔力》 10

《知性》 10

《精神》 10

《幸運》 20


《経験》 100


本日取得 100

次のレベルまでの経験値200



☆レベルアップルール


召喚者の初期レベルは1。

レベルアップに応じて必要経験値が100ずつ増加する。


1→2  100

2→3  200

3→4  400

4→5  700

5→6  1100

6→7  1600

7→8  2200

8→9  2900

9→10  3700

10→11 4600




【筆者から】


貴重なお時間を割いて頂けた事に感謝しております。

面白いと思ったら☆5とブックマークを付けて貰えると励みになります!


撃って欲しい相手がいたらコメント欄に書いて下さい。

主人公が撃ちに行きます!!


拙作異世界複利が2025年06月25日にMFブックス様から刊行されます。

そちらも宜しくお願い致します。

https://ncode.syosetu.com/n3757ih/

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― 新着の感想 ―
ヒャア!いきなり☆5を要求するとかズーズーしいじゃねーかよぉwww つ ☆☆☆☆☆☆
おおっ、新しいヤツが! たまには作者名で検索してみるものです。 でも、いきなり✭5個要求はズーズーしいと思います。 ✭✭✭✭✭✭
そらそうなりますよね! これからもがんがん行ったりましょう!
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