成長期のテンプレ
僕の新しい世界での名前は夏木海(なつきかい。
サザンやチューブを好みそうな名前だ。
5歳で転生に気づいた僕は、小学生になって学校の成績では当然トップ、むしろ負けていたら恥ずかしいと思う。
運動についても若さゆえか体力がなくなってすぐに回復する状態なので学友を集めて小学校の校庭や公園で遊びまくっているせいか、こちらもトップクラス。
これは今から勉強しまくれば東大にいけるのでは?
新しい人生は輝いているのか?
そんなに甘くはなかった。
小学一年生になった僕の身体は転生した意識よりも本能が強いのか、友達とする鬼ごっこやキャッチボール、虫取りなどの遊びがたまらなく面白いらしい。
前の人生では興味がなかったプラレール、トミカなども高級腕時計より魅力的に感じる。
両親にお小遣いをもらって駄菓子屋に行くのは最高級の喜びでもあった。
遊び疲れたら帰宅してお風呂に入ってご飯を食べたらすぐにおやすみ。
朝起きて怒られながら宿題の本読みをする。
2歳なった妹が絡んできて疎ましくも、そこは流石に優しく遊んであげる。だって元大人ですから。
学校に行くギリギリまで家で妹の奏楽(そら と遊んで小学校にはダッシュで行く。
学校での成績がよく、外で遊ぶのも好き。
子供の身体の本能に負けているとは言え、元大人なので周りに合わすことが出来る。
そんな僕は小学校で友達に困ることはなかった。
それは中学校まで変わらなかった。
学校での人気をキープするために、明るい性格や運動能力、学業などはあった方が良い。
運動能力で人気を得るために、前の人生では個人競技を学生時代にしていたが団体競技に興味があり父や母にワガママを言って野球を小学生から習っていた。
小学校から始めた野球を中学でも続けた。
体力はあるが才能は中ぐらいらしいが、小学校から続けたリードは大きい。
学業も順調ではあった。
しかしここで大問題が一つ。
ここはパラレルワールドであった。
歴史や本などの作品で大体は以前の世界と似たようなものなのだが個人名や、作品名、歴史上の事件などの名称が全て違う、国名や地名などは同じなのに。
というか言葉や文字が同じ異世界てなんやねん。
エジプト紀元前のパルプ文明エラドルク王朝をきづいたのは誰?とか聞かれても知らんし頭に入らない。
中途半端に前の世界の知識があるほど勉強が苦しくなった。
だから中学の部活後は勉強の息抜きに、元町センター街や高架下と呼ばれるところに友人と遊びに行き、門限ギリギリに帰宅し怒られることもしばしばあった。
門限ギリギリになる原因の1番大きなものは高架下にあるゲーム屋で展示中のゲーム機を体験できるコーナーであった。
ゲーム屋タカスギは同級生でクラスメイトの高杉凛の実家で、その横の豆福というお菓子屋も同級生で同じ野球部の樋口康生の実家である。
お菓子屋とゲーム屋が並んでいる。
無敵ではないか。
最高の環境で部活帰りに友人宅に寄り道をしている『テイ』でブ◯メンもどきを食べつつ、カー◯ィもどきをやり、同級生の男友達、女友達と談笑する。
宿題のことを考えなければ最高の中学生活であった。