第44話 剣士のパーティと第一村人
前回までのあらすじ
将臣は訓練のため王都に妹のファイと同居することになった。
そこにターニャとゆあが押しかけ修羅場の様相を呈したが、部屋は女たちに占領された。
将臣は、気晴らしに近所の麺屋を覗くと、その店主は隠密の湯八だった。
将臣は湯八に部屋を借りるように要請し、ワンフロアの借り上げが決まった。
それでも将臣はお嬢様たちを食わせるため、王都の北の森のレベル調整のバイトをすることにした。
ターニャも湯八の店で働くことになった。
ゆあが通う剣術道場で、第一村人と合同で地下ダンジョンの修行が行われることになった。
「ではルールを説明する!」
師範は、巻いてあった紙を解きながら読み進めた。
「まず、ダンジョンは三階層だ。これを三人パーティで攻略してもらう。階層ごとに最深部に師範代がいる。第一、第二階層では、師範代に報告を済ませて次の階層に進む。第三階層の師範代のもとに到着すれば終了だ」
ダンジョンは三階層らしい。
「モンスターは、ゴブリンを品種改良したモブリンしか出現しない。しかし、モブリンは補正反応性が非常に高い。つまり補正値によって強さが著しく変化する。しかも、モブリンのレベルは階層ごとに少し上がる。各階層の最後では、ボスモブリンが出現するのでそれも倒す必要がある」
話が長くなってきて、将臣はだるくなってきた。
「補正値は最初に一度設定し、第一階層または、第二階層の師範代のところでもう一度だけ補正値を変更できる。最後に回復についてだ。一人一本のポーションを配給する。これは誰に使っても構わない」
つまり、まとめると以下の様になる。
・三階層のダンジョンをクリアする
・敵はモブリンしか出現しないが、階層ごとにレベルが上がり、かつボス級を攻略する必要がある。モブリンは補正によって強さが著しく変わる
・ポーションが三つ配給される
・第一村人による補正は、初期値の一回と、第一または第二階層の終わりにもう一度変更できる
ルールの説明が終わり、各パーティー・担当村人ごとに打ち合わせが始まった。
パーティーのメンバーは剣術道場の弟子たちなので、回復役や遠距離攻撃の担当者はいない。近接打撃が基本だ。
将臣が組むパーティの三人は、名前はよく解らないが「殿」、「ゴールド」、「イカ」と呼び合っている三人だ。殿の獲物はロングソード(普通の剣)、ゴールドがクレイモア(大剣)、いかが両先の槍だ。
将臣は簡単な自己紹介を済ますと、スキルの説明を始めた。
「こんにちは。モシタイから来た将臣と言います。ダンジョン補正能力は±5です。よろしくお願いします」
リーダー格の殿が応えた。
「すごいな。ここに来る連中は±3が平均だって聞いている。あ、俺が殿で、こっちがゴールド、そっちがイカだ。あんた優秀なんだ。俺らにかしこまった言葉を鵜買う必要はないぜ」
続いてゴールドとイカだ。
「よろしく。ボスモブリン、特に第三階層のヤツがどのくらいの強さなんだろうな。戦略の鍵になるよな」
「よろしくね。優秀なヤツと組むから楽勝かね〜?」
殿が一言付け加えた。
「そうだ。呼び方はマサで良いか?」
将臣は快諾すると、スキルを発動して三人のレベルを確認してた。
剣士 Lv8
剣士 Lv9
戦士 Lv8
ゴールドが少しレベルが高いが、だいたい同じ力量の三人組の様だ。
一方、ゆあパーティーに着いた第一村人はピアという男だ。
「さて、自己紹介も終わりましたわね……。ピアさん、あなたの能力値を説明なさって?」
「は、はい。ぼくの補正能力は+2です」
「え?プラス補正しかできなくて?しかも2?」
「え?はい。そうですよ?」
ゆあは先を案じた。
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