第30話 成敗
前回までのあらすじ
リヨイの村に派遣された将臣は、ダンジョンのモンスターが領主の娘を誘拐したときく。
将臣たちはダンジョンで老婆と化した水神と領主の娘を救出する。
ダンジョンを出ると、すでに夜が明けていたが、村はモンスターによる夜襲を受けた。
領主は、土工山賊キンドーの仕業だと言うと絶命した。
湯八がキンドーのアジトに潜入し、一連の事件がキンドーと村の治安担当騎士オリワンの謀略であると確証を得る。
勇者一向は、オリワンとキンドーを打つべく決起し、パーティ編成を行ない出撃した。
村に残った将臣は風呂に入ったが、水神が入ってきて召喚スキルを授けた。
ゆあたちはキンドーのアジトに攻め入り、罪状を認めさせた。
「わたくしの名前は引導代わり。奈落の底まで堕ちるがよい!」
勇者一向は、襲い掛かる賊どもをバッサバッサと斬り捨て、そして殴りつけていった。ほとんどは素人武装の土工であった上に、将臣のマイナス補正が効いていたため難しい戦いではなかった。
気がつくと、残りは騎士オリワンと土工山賊の長、キンドーのみとなっていた。キンドーがゆあに襲いかかったが、これを湯八が横から飛び出して斬り捨てた。
「ぐふぁあえっ!」
騎士オリワンは剣を持つ手が震えている。
「う、うぉぉぉ、きええええええ」
オリワンは奇声を発しながら襲いかかってきた。
ゆあはドスの利いた声で叫んだ。
「ヘルポス!ラヌクス!成敗!」
するとヘルポスとラヌクスがオリワンに駆け寄り斬りつけ、また蹴り付け、一撃でとどめを刺した。
こうして土工山賊のアジトは壊滅した。
勇者一向はリヨイの村に戻って行った。
「ねえ、ヘルポス。いくら悪人とはいえ、全員斬り捨てるのは後味が悪くてよ。それに証拠の度合いによっては、全員死体なのは事後検証の時にもよくありませんわ。今度から峰打ちにしようかしら」
「お言葉通り、公爵家の威を笠に着て、死人に口なしを貫き続ければ不信が募りましょう。御心とあらば、峰打ちになさいませ。如何にしても斬らねばならぬ者については、成敗をお申し付けください。某らがいたしますゆえ」
ラヌクスが尋ねた。
「ターニャ様はお怪我などございませんか」
「大丈夫です。常にトラオが守ってくれてましたので」
「よろしくてね。でも村に帰ったらこれからどうするか、陛下のご意向を伺う必要もでてきますわね」
「ええ。でも、泣いても笑っても、私が爵位を継ぐのかどうかにつきます。それだけです。その前にまずは父上の葬儀ですわね」
涙ぐみながらも意外とサバサバした返答に、ゆあは気が合うような気がした。
「こうして巡り合ったのも何かの縁。家から口添えできるように動いてみますわ。何なりとおっしゃって」
「ゆあ様、もったいないお言葉。もしもの時はおねがいします」
そんな会話をしながら村へと歩いていった。
リヨイ領主の件は後々複雑化する。リヨイの土木技術の高さに治水を依存するガコエワと、これを機にその技術を手に入れようとした国土大臣との間で政治闘争となる。この場合の技術とは、土工連中そのものが含まれる。事実上、土工組の取り合いである。
つまり、土工組の所有・所属が争点となって、誰がどのようにリヨイ領を継ぐのかが争われる。
「将臣、帰りましてよ。」
一行は村に凱旋した。
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