第21話 勇者、抜刀す
前回までのあらすじ
リヨイの村に派遣された将臣は、ダンジョンのモンスターが領主の娘を誘拐したときく。
協力要請を受けて村を訪れた勇者ゆあ一行と言い争いになり、六人の体が下記の様に入れ替わってしまった。
・将臣 と ゆあ
・ヘルポス と 村の双子の兄タツオ
・ラヌクス と 村の双子の弟トラオ
領主によれば、六人を元に戻す方法は、ダンジョンで水脈を発見して水の女神に頼むしかないという。
一行はダンジョンでヨボヨボに老いた水神を発見したが、力が失われて一組しか入れ替わりを解消できないという。
水神は将臣とゆあを元に戻すべく詠唱を始めた。
ダンジョンの奥にいた娘を救出すると、亀モンスターは巨大な鬼亀へ姿を変えた。
ヘルポスとラヌクスは村秘伝のキノコを食べて巨大化し、他の一行が逃げるスキを作った。
だが鬼亀の力は凄まじく、二人は窮地に陥る。
一方で水上の力が溜まり、雅臣とゆあの体を戻す術式が開始されようとしていた。
「よし、よいぞ!勇者と小僧よ。互いに両手を取って目を瞑れ!」
水神が将臣とゆあを促す。
「将臣、はやく!」
ゆあは将臣の手を握った。
「ではゆくぞ。ソイやっ!」
びゅわああああん!
二人が黄色い光に包まれた。そしてすぐに光が止むと、ゆあは自分の手を見つめた。
「戻りましてよ!」
間髪おかず、ゆあは岩間から飛び出して駆け出した。後ろから湯八も飛び出した。
「おいゆあ!どうするんだ!」
「「勇者様!?」」
ゆあと湯八は既に沼地の岸辺を駆けている。
「湯八、そろそろ十分間の刻が経ちましてよ。二人の体が元に戻ったら、あなた一人で運べて?」
「へえ!この距離でしたら何とかいけやしょう!」
「よくてよ。わたくしがあの亀をひきつけます。その隙に二人の元へお行きなさい。体が戻って運ぶ準備ができたら合図を。わたくしは[冒険者の光]を最大出力して鬼亀の目を眩ませます」
「わかりやした!その隙にあっしが二人を運べばよろしいですね」
「ええ!頼みましてよ」
作戦を確認すると、二手に別れ駆けて行く。
ゆあは鬼亀の前に構えると、刀を抜き大声で威嚇した。
「さあ!こちらへ来なさい!あなたの相手はこっちですわよ!」
「ギュバアアアス!!」
鬼亀は火炎を放射した。ゆあは防御壁を展開させて火炎を耐え凌ぎつぶやいた。
「じりじりきますわね。湯八、お早くなさい。わたくしの力では、そう長く持ちませんことよ……」
湯八は火炎の影まぎれて鬼亀の横を素通りして行った。ヘルポスとラヌクスの元に着くと、既に体の萎縮が始まっているのが分かった。
「こいつぁ程なく元に戻るな。だがこれじゃあデカすぎて運べねえ。もう少し待たねえと。」
湯八は二人の体を自分の両脇で抱えられる位置に移して叫んだ。
「お嬢様!もう少しかかりそうでやす!まだ息はありやす!」
「!」
ドスっ!ゆあが湯八の声を聞き及んだところに鬼亀の尻尾攻撃がきた。
「ああっ!」
ゆあの体が吹っ飛び、倒れ込んで腹を抱えた。そして二度目の火炎が放射された。ゆあは咄嗟に防御壁を展開する。防御壁は先ほどより弱まっており、足に熱を感じた。
「っ痛!」
岩間ではタツオが飛び出そうとしている。
「トラオ、お前はここに控え、もしもの事態に備えてくれ。マサオミさんは戦闘員ではない。布の服を着た村人だ。もしもの時は、お前がお守りしてダンジョンを引き返してくれ。マサオミさん、お嬢様のおんぶ係をお願いします」
将臣は自分のスキルウィンドウを開いて気がついた。
「ちょっと待って、これは!」
将臣のスキルのレベルが上がっており、ダンジョンレベルがマイナス5まで補正可能になっている。
「補正マイナス5で足りないかもしれない!ダメかもしれない!ただやるだけ!」
将臣は、すぐさまスキルを発動させた。
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