第18話 亀のモンスター
前回までのあらすじ
リヨイの村に派遣された将臣は、ダンジョンのモンスターが領主の娘を誘拐したときく。
協力要請を受けて村を訪れた勇者ゆあ一行と言い争いになり、六人の体が下記の様に入れ替わってしまった。
・将臣 と ゆあ
・ヘルポス と 村の双子の兄タツオ
・ラヌクス と 村の双子の弟トラオ
領主によれば、六人を元に戻す方法は、ダンジョンで水脈を発見して水の女神に頼むしかないという。
一行はダンジョンで取り残された水神の標柱を見つけ、その祟りがモンスターそのものであると予見した。
さらに進むとそこにはヨボヨボに老いた水神がいた。
一行が岩間の回廊を進んでいくと、泥沼になった一帯が見えた。
水神が指刺した。
「亀がおるのはあそこじゃな。おそらくは、あの泥沼の中からでてきよるぞ」
将臣が言った。
「依頼内容では亀のモンスターは大した強さじゃないらしいけど、どうするんだ?お嬢さんの居場所もまだわかっていない」
タツオが言った。
「お嬢様の居場所をさがしましょう。その亀を倒したら救出できるという確証がなければ、もし戦っても無駄な殺生になります。凶暴化したのはこちら側の不手際ですし」
トラオが提案してきた。
「先への道は沼地の岸に沿ってその奥しかありません。モンスター亀をやり過ごして先へ進むのでどうでしょうか?」
ヘルポスは促す。
「じゃあ参りますか?お嬢様?」
「ええ」
ゆあは何となくそう答えた。
狭い岩間をくぐりながら一行が沼地につくと、泥沼がゴボゴボといいだし波打った。そして1点が盛り上がったかと思うと高さ二メートルほどの巨大な亀の化け物が出現した。
「でましたわね」
亀は動きが遅く、ぬらぬらと歩いてきた。
「なんか動きが遅いなあ」
「とろいですわね。無視して行きますわよ」
一行は沼地の岸辺にそってダンジョンの奥へとさっさと進んで行った。
しばらく進むと岩に囲まれた小さな区画があり、その中に女がいた。法術の類で岩にくくりつけられ、意識はない様である。
「「お嬢様!」」
水神が状況を分析した。
「この娘、呪詛で束縛されておるわ。じゃが術者による術式ではないのう。素人が見よう見まねで生贄として差し出したんじゃろ」
タツオがは水神に訪ねる。
「助けることはできますか?」
「素人こしらえの呪詛を解くのは訳もないが、一応生贄じゃ。解いたら、おそらく亀は凶暴化するぞえ。よいのか?」
「勇者様、大丈夫ですか?」
「他に選択肢はなくてよね?」
「そうですね。すみません、お願いします」
「じゃ、解くぞ。ほい」
プワアアアー。水神が手をかざした。娘の体が鈍く光ったと思うとしなだれてきた。タツオがそれを受け止めた。
「意識は戻りませんが……。」
「じきに目を覚ますじゃろ。問題ないわい」
タツオはうなずくと、娘をおぶった。
「あの、わたくしと将臣の体の件はどうなるんですの?」
「おー、やっとるよ。まだ力を溜めておるんじゃ」
トラオがラヌクスの背中の水神を見て言った。
「ラヌクスさん、病み上がりでしょう。水神様のおんぶ係を交代しますよ」
「すまぬ。ではお願いするとしよう」
水神はトラオにおぶさった。
おんぶ組が増えたので隊列を改めた。
前列 ヘルポス ラヌクス
中前 ゆあ 将臣
中後 タツオ(娘) トラオ(水神)
後列 湯八
一行は、亀の沼地まで戻った。
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