第13話 隊列を組む
前回までのあらすじ
リヨイの村に派遣された将臣。
ダンジョンの亀モンスターが領主の娘を誘拐したときく。
協力要請を受けて村を訪れた勇者ゆあ一行。
言い争いの末、将臣や村の力自慢の双子と共に階段から落ちてしまった。
すると、六人の体が次の組み合わせで入れ替わっていた
・将臣 と ゆあ
・ヘルポス と 双子の兄
・ラヌクス と 双子の弟
領主によれば、六人を元に戻す方法は、ダンジョンで水脈を発見して水の女神に頼むしかないという。
かくして六人はダンジョンへ向かった。
一行はダンジョンの入り口に着いた。
「ゆあ、俺のスキルを開いてくれ。それでダンジョンを調整可能な最低値に設定してくれ」
「ま、将臣、い、いま、わたくしをゆあとお呼びになって?」
「そういうのはいいから。それに声変わりしててキモいし」
「まあっ!」
ゆあは第一村人のスキル一覧を開いた。
「わぁ、すごい……。全員のステータスサマリーが、こんな簡単に一覧できるなんて……」
「[ダンジョンレベル調整]を開いて全項目マイナス補正いっぱいにしてくれ」
「え、ええと。これですわね…。どれもマイナス3でいっぱいですわ」
「それでいい。正直、今の俺では微々たる調整だ。でも少しはマシになる」
「えいっ。発動させましてよ。………………………。あれ、何も起きませんですわ」
「そうなんだ。第一村人のスキルは、FXがないんだ」
「そうなんですの。寂しいですわね」
双子兄の体をもつヘルポスが言った。
「では、参りますか」
一行はダンジョンに進入した。枯れた池の跡にできただけあって、足元はぬかるみ、湿気がただよい中は暗い。さらに泥の匂いが充満して不気味だった。
「将臣、わたくしのスキルを開いて[冒険者の光]をお使いなさい。松明に相当します」
「わかった」
スキルを発動させると、パーティの頭上に小さな球状の光が灯って辺りが照らされた。普通に松明より明るい。一同足元に気を配りながら進んでいく。
ラヌクスが語りかける。
「ところで双子の二人。そなたら名を何と申すのだ?」
「これは申し遅れました。俺が兄のがタツオで、弟がトラオです」
「こちらは、私がラヌクス、そっちがヘルポスだ」
ゆあが割って入った。
「早速ですがラヌクス、トラオ。そなたらは体が入れ替わってても、もとが武闘家ベースで共通ですわ。他の者よりも不慣れは少ないでしょう。二人で前衛につきなさい」
「ははっ。よろしいですなトラオどの」
「ええ。合理的な現場監督で腹に落ちます」
ゆあはパーティーのリーダーとして将臣のスキルを巧みに使いこなしているようだ。
「ヘルポス。タツオの体も武闘家ベースです。タツオ。ヘルポスは戦士ですわ。剣術が不安なら、先ほどの鈍器をお使いなさい」
「かしこまりました」
「ヨシっ!」
そう言うと、タツオはラヌクスから巨大スパナを受け取った。
「ゆあ、お前の武器はこの刀か?俺は剣術を含めて武術はやったことないけど」
「逆に言うと、この将臣の体も武術は無理ですわね。わかりましたわ。何かスキルが使えそうな状況になったら、わたくしが指示を出しますわ」
そしてパーティは隊列を改めた。
前列 ラヌクス、トラオ
中前 将臣
中後 ゆあ
後列 ヘルポス タツオ
将臣とゆあ以外は二十代半ばの屈強な男が四人。その四人で、現在非戦闘員の体で、その防具が布の服であるゆあを囲むことにした。
「そうだ将臣。少しだけなら、わ、わたくしの体に変なことをしてもよろしくてよ。その代わり、せ、責任はとらせましてよ……。きゃっ」
「俺は蟻地獄だと分かっていながら自ら足を踏み入れるタイプではない」
「だ、誰が蟻地獄ですって!?」
その時であった。フシュルルルっ!!!
さっそくモンスターの出現だ。
ジャイアントタニシが二匹あらわれた!
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