夢で見た内容たち
作者の夢で見た内容をゆるく書いてます。
内容は夢ごとに違います。
途中、話が合わないところは補完するか、放置してます。
悪しからず。
一夜目 某魔法使い本に似た世界の夢
一番最初に、まだ鮮明な昨日見た夢について書こうと思う。
高い山に囲まれた、緑の草が生い茂る原に、中世の城、それもチュイルリー庭園に建つ美術館のような外観の城が鎮座ましまししていた。
時計塔が少し離れたところにあって、最上階の鐘が学校のチャイムの代わりをしていた。
気温がまだ肌寒いせいか、少年少女は紺色の長袖のジャケットを揃いで着ていて、中のセーターでお洒落を楽しむのか色とりどりだった。
歳の頃はまだ中学生くらいか、あどけない顔立ちで、背もさほど大きな子がいない。
一様に白人らしく白い肌に紅色の頬をしている様な、とかく可愛いしい子供らしさがあった。
廊下の、建物の柱の辺りに少し人だかりがある。
なにごとかと思うと、鮮やかな赤毛のおさげ髪の少女が、紺色のコルセット付きの服を着た女性教師と、生徒2、3人から責められていた。
何を責めているのかはわからなかったが、一つわかったのは、おさげ髪の少女は謂れのない罪を着せられて責められていると言うことだけだった。
このおさげ髪の少女の名前はサランザール。
通称してサラ。
サラはある意味有名だった。
この学校の元教師で、今は北方の一部地域を治めるサイラスの長女だからだ。
このサイラスという男、10人の婦人がいたら10人が全員見惚れてしまうほどの美男子で、鮮やかな赤毛の長髪を靡かせ、威圧感のある凛々しい顔立ちをした男性だった。
しかも一途な愛妻家で、妻を亡くしてからと言うものすっかり気落ちして、領地の城に閉じこもり、今は長男と暮らしている。
甲斐甲斐しく世話を焼く長男は、父の事で手一杯で妹のことをあまり気にかけてやれない。
サイラスはサイラスで、亡き妻と重なるのかサラについては全くの放任だった。
だからサラがイジメを受けていても、2人は手が出せないどころか、知らずにいた。
サラは居場所なさにますます、消極的になり、卑屈になった。
その態度が余計イジメっ子たちには苛立つ原因でもあった。
サラのことを気にした3人組がいた。
正義感が強い肝っ玉女子、アナ。
3人のまとめ役の、レイ。
行動力があるデンバー。
アナはウェーブのかかった赤茶の髪にグリーンの瞳の背の高めの女子生徒。
レイは小柄な黒髪で、ひょこひょこ歩くのが印象に残る男子生徒。
デンバーはいつも面白いことがないかと始終聞き耳を立てる好奇心の強い男子生徒。
3人はなんとかサラに自信を取り戻してもらいたいと思っていた。
同時にかつて教師だったサイラスが、自分の娘がイジメを受けていることを知れば、放ってはおかないことも、理解していた。
3人のうち誰が言い出したかわからない。
だが「サイラスの城に行こう。 そしてサイラスを学校に連れてきてサラと合わせよう!」
3人はこの意見に同意して、4頭だての馬車で学校を抜け出し、サイラスのいる北方領地を目指す。
途中、気のいいサンタの格好をした大道芸人としばらく一緒に街道を進んだり、崖下の道で落石にあって、馬車と馬一頭を失い、近くの街で馬の鞍を調達して馬に騎乗したりとアクシデントもありながらも雪が高く降り積もる北方領地の領主城に着いた。
下から領主城を見上げるとかなり高い城だった。
城内にはいると少し広めの広間に通される。
暖炉がに赤々と火が入っていて、暗い光沢のある緑のカーテンが緞帳のように仕切って広間を狭くしていた。
暖炉の前には癖のある赤毛をそのままにした男性が、無表情に暖炉を見つめていた。
3人との会話は覚えてない。
ただ場面が暗転して、夜の学校の周りの草原に飛んでいた。
3人はサイラスと約束したからだ。
「亡き奥方が愛した一輪華を見つける。 だから学校に来て欲しい」
サイラスが暗闇の中、栞になった雑草のナズナによく似た花を見ていた。
暗闇でもぼうっと青く、花の中心は仄かに黄色く光る変わった光り方をする一輪しか咲かない特殊な花だ。
精霊がついているため、一輪しかこの光り方をするこの花はない。
美しい金髪の女性が花を持って歩きながら振り向いた。
花が咲き誇るような満面の笑みで、嬉しそうに
「精霊からもらったの、一輪しかないんですって」
と得意そうに言って喜んでいた。
金髪のゆるくウェーブのかかった髪、卵型の輪郭に肌はやはり白人らしく抜けるように白い。
桜色の小さな口から白い歯が見えるように笑う、お転婆な人と言う雰囲気。
白いレースのゆったりしたワンピースを着ていて、まるでボッティチェリのビーナスを思わせるような美人。
翠の原で、近くに木が植えてある庭みたいな場所で、楽しそうにくるくる回りながら、時折サイラスに向けてこっちこっち、と逃げ回りながら揶揄って遊んでいた。
それがサイラスの愛した人。 亡くなってからもなおも忘れられない愛妻。
サラは赤毛だけど、髪を解くとどことなく愛妻に似ている。 娘だから当然似ているんだけど、今の陰鬱さはその面影すら殺している。
もしサラが愛妻のように明るく振る舞えば、それはまた違った結果があっただろうと思う。
一輪華は結局見つかった。
学校の基礎がある緑の原と、少し段差のある基礎の終わりみたいところで、緑の原、低木、基礎の順番で並んでいる一角の、基礎の土の上に根付いたのが一輪華だった。
サイラスがそこまて行くと、精霊が現れる。
緑のふかふかの帽子をかぶって、先っぽに黄色い光るポンポンのような物がついた2本の触覚のある変わった服装。
どちらかと言うとぴったり体にフィットした着ぐるみみたいな服装の小柄な男とも女ともつかない子供だった。
その子がサイラスに向かって言う。
「伝言を預かっている」
「私を忘れないでくれてありがとう。 でもいなくなった私より、今いる子供達を大切にして」
そして新しい一輪華を渡される。
一輪華を渡されたサイラスの目が輝いて見えたのは気のせいではないはず。
夢はここで終わった。
でも、北方領地に行くまでの大道芸人との旅は楽しかったし、山あり谷ありの険しい道は雪だらけと言うこともあって、変わり映えしない景色は退屈だった。
サラの「私は本当は悪くない、何もしていない」と言う冤罪の気持ちは強く、冤罪なのに、責められるのは強烈に辛かった。
私は悪くない、何もしてないのになぜ怒るの?
ごめんなさい、ごめんなさい。
どうして誰も信じてくれないの。
心細い、寂しい、不安、悲しい、苛立ち、諦め。
そんな感じだった。
サイラスはずーんっと絶えず重いかんじ。
失った、寂しい、何故いない?理解できない、何故自分ではなかったのか。
イケメンの哀愁はかっこいいけど、実子たちは迷惑そうだった。
愛妻はお転婆な少女みたいに、無邪気で、可憐で、悪戯で、艶めかしかった。