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ドラゴンゾンビ

エスカローネとアンネリーゼは教会に入った。

教会を調べてみると、祭壇の後ろに開かれている地下道の入口を見つけた。

「なんだか、誘っているみたいね……道は地下の奥深くに通じてそう……」

アンネリーゼが慎重に調べた。

「アンネリーゼ、行ってみましょう」

「そうね、エスカローネ」

二人は地下道を降りて行った。

地下道は暗く湿っぽかった。

「灯火!」

アンネリーゼが左手から揺らめく火の明かりを出した。

「アンネリーゼ、は炎の魔法も使えるのね」

「まあ、一応使えるけど、そんなに得意じゃないわよ? 私が一番得意なのは水だから」

アンネリーゼの灯火によって周囲が明るく照らされた。

エスカローネが索敵魔法を起動した。

すると、道の奥に大きな反応を感知した。

「アンネリーゼ、いるわ、奥に。大きな反応がある!」

「行ってみましょうか、エスカローネ。念のため、武器を携えておきましょう!」

アンネリーゼが腰から曲刀を抜いた。

エスカローネはハルバード「エスカリオス」を召喚した。

二人は武器を携帯して、地下道を先に進んだ。

地下道からは水滴が滴る音が聞こえた。

地下道は寒かった。

二人は地下道の最奥にたどり着いた。

突き当りには大きな扉があった。

中は何か照明があるらしく、明るかった。

「いるわ、アンネリーゼ! 反応はこの扉の奥からよ!」

「じゃあ、ついにこの反応とのご対面といきましょうか!」

アンネリーゼがゆっくりと扉を開けた。

そこには小型のドラゴンがいた。

それもただのドラゴンではない。

全身が腐食している、アンデッドだった。

「!? ドラゴンゾンビ!?」

アンネリーゼが驚愕した。

「ドラゴンゾンビ……」

エスカローネは武器を構えた。

ドラゴンゾンビの周囲では円形の魔法陣が光っており、それが部屋全体を照らしていた。

ドラゴンゾンビはゆっくりと頭を動かして二人の存在を認めた。

「動作が緩慢ね。エスカローネ! スピードで優位にたつわよ!」

「ええ!」

エスカローネはハルバードを突き出した。

ハルバードの刃の前に、光の球が形成されていく。

球は矢となり、ドラゴンゾンビに放たれた。

「リヒト・プファイル(Lichtpfeil)!」

光の矢はドラゴンゾンビの皮膚に突き刺さった。

「リヒト・ヘレバルデ(Lichthellebarde)!」

ハルバードの刃が光をまとって大型化した。

大きな光の刃で、ドラゴンゾンビを斬り捨てる。

ドラゴンゾンビの肉片が飛び散った。

エスカローネに続いて、アンネリーゼが攻撃した。

「これでも、くらいなさい!」

大きな水の塊がドラゴンゾンビに直撃した。

水属性魔法「水泡弾」である。

「氷裂弾!」

無数の氷のナイフがドラゴンゾンビの体を貫通した。

ドラゴンゾンビは悲鳴を上げた。

エスカローネとアンネリーゼ――

二人の猛攻がドラゴンゾンビの体をボロボロにした。

「今だわ! 決めます!」

エスカローネは光の刃を最大化し、ドラゴンゾンビの首を斬りつけた。

ドラゴンゾンビの首は切断された。

首が床に転がった。

「ふう……」

首はジュウジュウと音を立てて消滅した。

エスカローネが汗をぬぐった。

「やるじゃない、エスカローネ! ここまでできるとは思わなかったわ!」

「わわっ!?」

アンネリーゼがエスカローネに抱きついた。

ぎゅっと抱きしめる。

エスカローネは驚いて狼狽した。

「ドラゴンゾンビを倒せたのはエスカローネのおかげよ!」

「アンネリーゼ……!? ちょっと待って! 何か変よ!」

「? どうしたの?」

エスカローネは死んだはずのドラゴンゾンビを見つめた。

ドラゴンゾンビの体が再生し始めた。

「なっ!?」

アンネリーゼが息をのんだ。アンネリーゼの目の前で、ドラゴンゾンビの体が再生していった。

「! あれは……」

エスカローネはドラゴンゾンビの体の奥に結晶状の物体を見つけた。

やがてドラゴンゾンビは首と頭部まで再生した。

「あれだけ攻撃をかけたのに……さすがアンデッドというだけのことはあるわね……」

ドラゴンゾンビは口に紫の気体を集め始めた。

ドラゴンゾンビは口から紫の息をはいた。

エスカローネとアンネリーゼは魔法障壁を展開した。

二人はバリアで紫の息を防いだ。

「気をつけて、アンネリーゼ! これは毒の息よ!」

「くっ!? これは、きついわね!」

毒の息は熱も伴っていた。

二人は何とかしてドラゴンゾンビの攻撃を防いだ。

魔法障壁を解除する。

「持久戦は、こちらに不利ね……さて、どうしたものかしら……」

「ねえ、アンネリーゼ?」

「? どうしたの、エスカローネ?」

「もしかしたらこの魔物には弱点があるかもしれないわ」

「弱点?」

アンネリーゼはいぶかしんだ。

「ええ。ドラゴンゾンビが再生した時、『核』のようなものが見えたの。それを破壊できれば、この魔物を倒せるかもしれないわ」

アンネリーゼは熟考した。

その結果、エスカローネの策に乗ってみることにした。

「わかったわ。その『核』を破壊しましょう! それで、手はあるの?」

「ええ。まずはアンネリーゼがドラゴンゾンビの首を斬り裂いて! そうしたら、私が核を貫いて見せるから!」

「じゃあ、その作戦で行きましょう! 行くわよ!」

アンネリーゼがドラゴンゾンビの懐に踏み込んだ。

そして、のこぎりの刃のように鋭い水の斬撃を出した。

「水波斬!」

アンネリーゼの一撃はドラゴンゾンビの体を削り裂いた。

「今ね! 逃さない! リヒト・シュトース(Lichtstoß)!」

エスカローネは光の刃を最大限大きくして、ドラゴンゾンビの腹部を貫いた。

エスカローネには核を破壊した手ごたえがあった。

間違いなく決まった。

致命的な一撃だった。

ドラゴンゾンビが絶叫を上げた。

ドラゴンゾンビは粒子化して消滅した。

エスカローネは一呼吸した。

ドラゴンゾンビは倒れた。

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