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北陸のとある森の中に五人は着陸した。


「アナログすぎて嫌いだこのやり方、もっといい方法あるはずだろ。」


海は近くにあった木にもたれかかりながら言った。


「ホントはもっといいフライトになるはずだったんだけどあの二人がねぇ~」


時はそう言いながら理と耀紀の方を指さした。


そこには今にも耀紀に殴りかかろうとしている理、

それを止めている焔、土下座している耀紀がいた。


「わざとだろ!ゼッタイわざとだ!」


「やめろネイ!ウタちゃんはああでもしないと振り落とされてたんだよ!」


「だからって!胸わしづかみにしながら俺のうなじあたりに吐息とか鼻息かけていいわけねぇだろうが!」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい..」


「帰りはお前、瀬最波時の方に乗れ下心露呈野郎。」


理は耀紀を睨みつけながら去っていった。


「ウタちゃん大丈夫?」


「みんな体幹とかパワーとかあっていいよね..僕は体幹もなければパワーもないし、誤解は生むし、ハンバーグだし..」


うじうじしている様子をみて焔は耀紀の両頬をむにっと引っ張りスクイーズのように伸ばしたり縮めたりした。


「ウタちゃん!帰りお寿司いっぱい食べよ!」


耀紀はコクリと首を縦に振った。


「用は済んだか?じゃあ行くか。」


海を先頭にして五人は森の中を歩き始めた。


「なぁなぁ、そういえば昨日テレビでカイとウタ映ってるの見たけど戦った鬼天使は強かったか?」


「戦ってないよカイが先制攻撃で屠ったから」


「まぁ~たお前そうやって倒したのかよ、つまんな!」


「鬼天使が暴れまくって死人とか出したらそれこそ取り返しつかねぇってことわからねぇのかお前は、

あと鬼天使はもともと人間だ痛めつけて何が楽しいんだよ。」


「へいへい、すいませんでした。んで、その昨日の鬼天使は換金したの?」


「してない、ウタに任せた」


「それもまたかよ!何十万、いや何百万それで損してんだよ!!」


時は自分の髪をわしゃわしゃしながら発狂した。


「ウタ!今までの鬼天使出すことできないのかよ?!」


「む、無理だよ..」


「てめぇの能力なんだからてめぇで扱えねぇことがあってたまるかよ!」


その時、木の影から5メートルほどの全身に見開いた目がたくさんついている鬼天使が姿を現した。


「うわぁぁ!!」


時は驚きのあまり腰を抜かした。


「私、行く」


焔は超術を解禁し戦闘態勢に入った。


「無理だと判断したらすぐに俺がやる、分かったな。」


「あんたがいなくてもやってやるわよ。」


海は少し笑って、腰を抜かした時を背負って焔から距離をとった。


鬼天使はゆっくりと焔に近づいてきた。


(全身にあんなに目がついてる、死角を突く攻撃は意味がなさそうね。

そしてあのバカげたデカさ、都内じゃ見たことがない..)


焔は近づいてくる鬼天使の様子を集中して観察した。


次の瞬間、鬼天使は目にもとまらぬ速さで焔に殴りかかった。


「..っぐ!!」


防御には間に合ったものの、自分の身体の半分以上の大きさに相当する衝撃を焔はモロにくらってしまった。


「アイリ!」


茂みから様子を見ていた耀紀が助けに行こうとしたが焔は大丈夫と返事をした。


焔は口の中に溜まった血をペッと吐き出した。


「そのデカさでよく動けるみたいだな」


鬼天使の目はすべて焔を凝視していた。


「何見てんだよ、気持ちわりぃ」


焔は鬼天使に向かって中指を立てて挑発した。


すると鬼天使は先ほどとは比べ物にならないほどの速さで今度は背後に回って焔を攻撃した。


防御もできず焔は吹き飛び、木に全身を思いっきりぶつけ超術使用時の文様と額の角は消滅した。


「もう無理そうだな」


海はすかさず抜刀態勢に入ろうとしたが遠くから焔の声が聞こえた。


「まだやれるわ、ばぁーか」


額から血を流しながら焔はやってきた。


「次で決めるから手ぇ出すな」


そう言って焔は超術を再び解禁した。


すると焔の文様はみるみる右手のみに集結し指先だけが真っ黒な状態になった。


鬼天使はゆっくりと焔に近づき始めた。


焔は何やら右腕を引きながら半身になって左手の掌を鬼天使に見せるような型を取った。


鬼天使は再び焔の背後まで高速で移動したが焔は抵抗せず微動だにしなかった。


次の瞬間、鬼天使の拳は焔に直撃せず空を切った。


その隙を見て焔は鬼天使の懐へ入り込んだ。


「『天之瓊矛(あめのぬぼこ)』」


焔が右手の人差し指を思いっきり前に突き出すと鬼天使の胴体に大きな風穴があきその後ろにあったいくつもの木々も同時に倒木した。


鬼天使は倒れぎょろぎょろと動いていた目はすべて動かなくなった。


茂みに隠れていた耀紀と理はすぐさま焔に駆け寄った。


「アイリ大丈夫か?」


理がハンカチを焔の出血部分に巻き付けた。


「うん、多分骨まではいってないと思う。それよりウタちゃん、今の見てた?すごかったでしょ?」


息を切らしながら焔は耀紀に尋ねた。


「凄かった!教官にも今の技見せたら絶対二等くらいまで昇格させてくれるよ!」


焔はへへと笑った。


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