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第九十三話 レオンの剣術道場 其の四

「──で、ここの三列目の端っこがコルネくんのベッドじゃ」


 テーブルに広げられた地図にある大きな部屋を指してレオンさんが言う。


 「ロンドの道場はどうか」だとか「好きな食べ物は」だとか、レオンさんから質問攻めにあった後に、道場内の施設の説明を一通りしてもらったが、正直多すぎて全部は覚えられなかった。


 レオンさんも分からないときはそこら辺の人に訊けばいいと言っていたし、大丈夫だろう。


 改めてレオンさんの広げた地図を見ると、恐ろしい広さだ。通ったときに長いと思っていた廊下も一番長い廊下というわけではなさそうだし、何よりこの部屋がある建物のほかにもう一棟あるというのが驚きだ。


ここまで来るまでに壁に地図が掛かっているのを見たし、とても一個人のやっている道場とは思えない。


 滞在する予定は何日かではあるが、やっていけるかどうか少し不安になっていると、するすると大きな地図を巻きとり、レオンさんが言う。


「それじゃ、荷物を置いたらわしと手合わせしてもらおうかの」




 ヨーゼフさんに案内されながら、割り当てられたベッドのそばに荷物を置いた後、これまたヨーゼフさんに案内されてレオンさんの待つ外の稽古用のスペースに行く。ヨーゼフさんにこんなに頼りっぱなしでいいのだろうか。


「遠慮しなくてもいいからのう」


 軽く木刀を構えたレオンさんが何歩か離れた場所で言う。対する俺も木刀で、使える魔法剣は限られる。


 炎はもちろん駄目だし、雷は纏わせるのが難しい。俺の主力は炎なので、これが使えないのは痛い。それとこれは俺の気持ちなのだが、一剣士として挑みたいので、土壁やブライトなどの魔法は使いたくない。


 四つの魔法剣でどう戦ったものか……


「はじめ!」


 合図とともに駆け出し、木刀に土を纏わせる。おそらく自分からは前に出ずに、レオンさんは初撃を受け止めてくる。


 だから纏わせた土を木刀の先端から引き延ばし、リーチを長くすることで、タイミングをずらして斬りこむ。


 剣術の達人に対して真っ当に突っ込んでも、返り討ちにされるのは分かりきっているから、搦め手を使う──と思ったのだが、魔法なしではこのくらいしか思いつかない。


 いや、仮に魔法ありだったとしても、こうも身構えられていては、使うのは難しい。広範囲の魔法が使えればいいのだが、俺の使う魔法ではどれも見切られてしまうだろう。


 本来なら斬りかかるところの二歩手前──ここだ! 一気に纏わせている土の形状を変化させ、レオンさんまで届くようにし、一気に木刀を振り下ろす。


 しかし、それがなんだとでも言うようにレオンさんの木刀に受けられてしまう。


「く……ッ!」


入るとまでは思っていなかったが、多少は狼狽えたり、驚いたりするくらいは期待していた。それなのに、途中から受けの姿勢を取り始めたはずのレオンさんに完璧に受け切られてしまった。


「それじゃこっちから行くぞ」


 そう言ったかと思うと、俺の木刀がすごい力で押し返され、体勢が崩れてしまう。さっきまでは拮抗しているように見せかけていたが、俺の力を量っていたとしか思えない。


 まずい──早く立て直さないと。レオンさんがこちらに打ち込む姿勢に移るのが見える。


 無理やり魔力操作と風の魔法で、ある程度体勢を立て直す。魔法は使わないと決めた気がするが、なりふり構っていられない。


 そこからさらに水を木刀に纏わせる──が、そこに飛んできた一撃は想像を超える重さだった。


 咄嗟のことであまり木刀が水を纏えていないのもあるとはいえ、信じられない威力だ。こんな小柄な身体のどこからこんな力が出ているのだろう。


受け止めきれず、俺はすぐに尻餅をついてしまい、直後、首元に木刀が添えられる。


「勝負あり!」


 その声とともに木刀を持つ手を見上げると、そこには先ほどまでの好々爺がいた。


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