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第九十話 レオンの剣術道場

「コルネくん、レオンさんの道場に行ってみたいと思うかい……?」


 冒険者会議から帰ってきて、師匠が俺に訊く。こういうことを訊くときはいつもノリノリだったのに、今回は苦い表情をしている。まるで言いたくないことを無理やり言わされているようだ。


「もちろんです、機会があれば是非」


 Sランク冒険者レオンの道場に行く機会などないし、他のところの道場も見てみたい。この道場は三人しかいないが、レオンさんの道場となれば有名だし、きっと何十人も弟子がいて賑やかだろう。


 今思ったが、三人で一つ屋根の下暮らす──これはもはや「家族」では? 師匠が父さんでヘルガさんが母さん……そう考えると嬉しいような少し気恥ずかしいような。


 でも師匠は父さんよりは兄さんに近い気がするな……ヘルガさんも母さんという感じではないな。


「そう……か」


 俺の返答を聞いて露骨に落ち込む師匠。なんでそこで落ち込むのだろう。


「レオン様のところにコルネくん一人で行くという話が持ち上がって、コルネくんが居心地がよくて居着いてしまうんじゃないかと心配しているんですよ」


 扉の陰からヘルガさんがニュッと出てきて説明してくれる。


「ちょっ──ちょっとヘルガ!? それをどこで──」

「大きな独り言が勝手に聞こえてきただけです。あ、そういえば洗濯物を干さないといけないんでした」


 そう言って去っていくヘルガさん。洗濯物の話はものすごくわざとらしかったが……


 師匠がそんな心配をしていたとは……居着いてしまうなんてことあるはずないのに。そもそもここまで魔法剣士一本でやってきて、いまさら剣士に転向するわけにはいかないだろう。


 心配性すぎる師匠に安心させるように言う。


「大丈夫ですよ。絶対戻ってきますって──俺の師匠は師匠だけですから」

「コ、コルネぐぅぅん」


 顔をぐちゃぐちゃにして泣き出す師匠。途端に洗濯物を干しに行ったはずのヘルガさんが、同じ扉の陰から出てきて、師匠にスッとハンカチを差し出す。


 どこかに隠れて今までの会話を全部聴いていたな。洗濯物はやはり嘘だったのだろう。


 しかし、気配が全くなくて気付けなかった──こんなに気配を消すのが上手いとは。ヘルガさんはもしかしてかなりの実力者かもしれない。




 しばらくして落ち着いた師匠は、「行くって返事出しとくね」と言って、とぼとぼと書状を書くために自室へ向かうのだった。


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