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第八十四話 アクスウィル魔法学校 其の十一

 魔法学校に来て何日か経ち、この生活にもだんだんと慣れ始めた頃、思いがけない人物と出会う。


「コルネ……やっぱりコルネだよね?」


 俺の後に訓練場から出てきた女子生徒はそう呼びかける。西日に照らされる彼女は、他人の空似ではないようだ。


「アドレア……だよね?」


 顔を見合わせたまま、長い沈黙が訪れる。まさかアドレアがこの学校に通っていたなんて……確かにアドレアは魔法が得意だったが、思いもしなかった。きっと同じようにアドレアも驚いているだろう──俺がSランク冒険者の弟子になっていたなんて、と。


 記憶の中よりも顔つきが大人っぽくなっていて、髪もパーティにいた頃とは違って伸ばしている。そんな制服姿のアドレアは俺の知らないアドレアで──幼馴染がまるで遠い存在になってしまったかのようで──少し寂しかった。


「アドレアはどうしてここに……?」

「ボ、ボクはパーティが解散した後、まとまった時間が取れるならって通いだしたんだ。前々から気になってはいたから。コルネこそ、どうやって憧れの冒険者の弟子になったの?」


 アドレアがいたずらっ子のような表情で訊いてくる。俺が師匠に昔から憧れていたのを忘れていなかったことが、目の前にいるのは正真正銘あの頃と同じアドレアだと思えて嬉しかった。


「宿屋のチラシで募集があって、行ってみたのが最初かな」

「そんなところで募集してるの!? ダメ元でサラの道場に突撃してみようかな。もしかしたら、ボクも入れたりして」


 そんな冗談を言って笑い合う。たったそれだけで、今までの時間が埋まった気がした。


「でもね、これでもボクはここの特待生なんだよ。もしかしたら本当に入れちゃうかもね」


 へへ、と照れ笑いをしながら彼女ははにかむ。


「すごいじゃん。この学校の人はみんな俺の何倍も魔法が上手いのに、その中でも優秀ってことなんだからさ」

「ありがとう。コルネの魔法もなかなかだって、噂で聞いてるけどね」


 一体どこからそんな噂が……俺の魔法を見ていない生徒が面白がって流しているのかもしれない。俺は威力の高い魔法は一切使えないのに。


「そういえば──」


 久しぶりに幼馴染と話すのはとても楽しくて。模擬戦で戦った生徒のこと、全く分からなかった魔法の理論、食堂のおすすめメニュー、と話題は尽きなかった。


 そうして気が付けば、空には薄明かりが残るだけになっていて、帰ってから師匠に怒られたのはまた別の話。


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