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第八十話 アクスウィル魔法学校 其の七

 おそらくこれが校長の言っていた模擬戦というやつなのだろう。


 この学校ではお互いの承諾があり、施設が空いていれば、模擬戦ができると聞いている。てっきり友人同士でやる戦闘訓練の一貫だと思っていたのだが、このように強引に誘うこともあるのか。


 いきなりの宣戦布告で驚いたが、ちょうどいい機会だと思った。


 一度はやってみたいとは思いつつも、初対面の人に突然「戦いましょう」と持ち掛けるのはさすがに失礼かと悩んでいたのだ。


 食後で動きにくそうだが、きっとそれは相手も同じ。ここは乗るしかないだろう──そう判断し、訓練場へとついていく。




 訓練場で立会人からルールの説明を受ける。指定の場所に離れて立って、お互いに何度も魔法を放ち、相殺できなくなった方の負けらしい。


 おそらく、相手の魔法に対して相性のよい魔法を撃っていき、先に撃ちもらした方が負けということなのだろう。ちなみに、二人ずつ立会人が付き、相殺に失敗した魔法を相殺してくれるらしい。


 しかし、このルールは完全に魔法使い専用のものだな。魔法剣でも魔法を相殺するのは難しいだろう。もし、魔法のみの使用しか認められない場合、俺に勝ち目はない。


 そう思っていると、俺を連れてきた男子生徒が俺に提案してくる。


「魔法は避けてもよくて、俺の手前の線まで間合いを詰めたら勝ちってことでどうだ?」


 そう言ってコートを指さす男子生徒。確かに各々が立つ場所と中央の線の間にもう一本ずつ線が引かれている。


 なるほど、それなら撃ち合いができなくてもどうにかなりそうだ。ニヤリと笑う男子生徒に首肯を返す。しかし、あそこまで近づくのは簡単ではなさそうだ。


 どうやって近付いたものか……考えているとコートが空いたようで、立会人に呼ばれる。歩いて向かうと、そこには結構な数のギャラリーが集まっていた。


 あれだけ派手に宣戦布告すれば、騒ぎになるだろう。お昼時で食堂のまわりにたくさん人がいたから、これだけ集まっても不思議ではない。


 模擬戦も初めてだが、たくさんの人に見られながら戦うのも初めてで、とても緊張する。速まる鼓動を抑えるべく、深く息を吸って吐く──あのときの師匠のように。


 周りの声は無視しろ。今は目の前の相手だけに集中するんだ。


「はじめ!」


 立会人の合図とともに俺は駆け出す。


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