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第七十一話 兄さんとの再会 其の二

「──というわけなんだ」


 兄さんの口から出た言葉は衝撃だった。


 パーティメンバーの一人が討伐クエストで亡くなってしまったこと。そのことから立ち直れなくてパーティが解散したこと。


 「教会の烏(エグリス・クロウ)」は俺たちと同じように、メンバー全員が俺がいた孤児院出身のパーティだ。きっと亡くなったメンバーも、何年もずっと兄さんたちと一緒に過ごしてきたのだろう。


 「ミャクー村でゆっくり暮らしたい」という兄さんの目には、悲しみと諦めの色が映っていた。出会って一言目に「元気そうだね」なんて言ってしまったことを後悔した。


 冒険者はあらゆる職業の中で最も「死」に近い職業の一つだ。頭の中では分かっているつもりだったが、実際に誰かが死んだ話を俺は初めて聞いて、改めて冒険者は危険と隣り合わせだということを認識した。


 思えばいつも師匠と一緒で、いざとなれば師匠がなんとかしてくれる──そういった慢心があった。


 今は一人で討伐クエストを受けているが、最近は慣れてきてサクッと倒すことが多い。何度かBランククエストに載っているモンスターに遭遇したこともあったが、サラさんから教わった光の魔法「ブライト」でその度に逃げている。


 もし俺があの魔法を使えていなかったら──たった一つの魔法を使えていなかったら、ここに俺は立っていないかもしれない。初日の討伐でとどめをささなかったコボルトがもし生きていたら、襲われてその場で死んでいたかもしれない。


 そういう細い細い綱を渡り続けることで俺の人生がここまで続いている、そんな気がした。


「コルネの元気な顔を見て安心したよ。コルネが冒険者を続けることには口出しできない──やりたいようにやればいい、兄さんもそうだったから。でも、勝手な願いかもしれないけど、生きていてほしい──これ以上誰も失いたくないんだ。兄さんのわがままを聞いてくれるかい?」


 そう言って力なく笑う兄さんに、俺は首肯を返すしかなかった。




 その夜、俺は考えた。俺の周りの人たちを失わないためには──俺が生きるためには、どうすればいいのか。


 死因を考えたときに、まず上がるのはモンスターだ。山から下りてきたモンスターに町民や村民が襲われる事例は後を絶たない。稀ではあるが、討伐クエストを受けてもらえず、大量発生したモンスターに町や村ごと滅ぼされることもある。


 他にも戦争に駆り出され、戦場で命を落とす──冒険者なら討伐クエストに失敗して殺される。色々な死があるが、そのほとんどに「俺が強くなること」が最も効果的だろう。そのためには実戦を積む──つまり討伐クエストをするべき、と。


 結局、最初に出した答えに戻ってきて、考えるのが馬鹿らしくなって俺は眠りについた。


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