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第六十九話 討伐クエスト 其の九

 道場に帰ってきた俺は駆け足で師匠の元に向かい、意気揚々と告げる。


「俺、Bランクに上がりました!」


 証拠だと言わんばかりに、ついさっきもらった新しい冒険者証を手に持ち、得意げに見せる。


 突然のことに驚いた表情で固まってしまう師匠。道場の中をドタバタと走ってきて、いきなりこんな報告をされれば、びっくりするのも無理もない。


「おめでとう! 頑張ったね、コルネくん。頑張ったね……本当に頑張ったね……」


 師匠は俺をぎゅっと抱きしめ、泣きはじめた。何度も「頑張ったね、頑張ったね」と繰り返しながら。


 疲れていても次の日もクエストに行って、またその次の日も──そんな生活は「強くなりたい」という目標のためでもやっぱり少し辛かった。でもやめたくなる気持ちを抑えて自分を鼓舞したり、クエストで稼いだお金で露店で美味しいものを食べたりして奮い立たせていた。


 そんな日々が報われたような気がして、とても嬉しかった。頑張ってよかったと思った。気付けば、俺の目にもじんわりと涙が浮かんでいた。


「ありがとう、ヘルガ……コルネくんがBランクに……Bランクに……」


 抱きしめている師匠の腕が動くのが肩越しに分かる。きっとヘルガさんからハンカチを受け取っているのだろう。


「おめでとうございます、コルネくん」

「ありがとうございます」


 ヘルガさんからも祝福されて、だいぶ余裕が出てきていた俺はお礼を返す。


 涙目になっているところを見られて恥ずかしかったが、がっちりホールドされている状態ではどうしようもなかったから仕方がない。せめて師匠には気付かれないように、しばらくこのままでいてほしい。




 今日もいつものようにメニューを終えてから食堂へと向かう。当たり前ではあるが、ランクが上がってもメニューは同じだった。師匠がときどき、思い出しては涙していたのは同じではなかったが。


「わぁ……!」


 食堂へ入るとたくさんの料理が並んでいた。色とりどりの野菜を使ったサラダ、湯気の立っているスープ──色々な料理があるが、一際目を引くのは、美味しそうに焦げ目がついたお肉だ。滴る肉汁が食欲をそそる。


 三人とも席に着き、グラスを掲げると師匠が音頭を取る。


「コルネくんのBランク昇格を祝して──乾杯!」


 グラスを軽くぶつけ合い、ジュースに口を付ける。ジュースはいつ飲んでも美味しい。疲れた体に甘さが染み渡る。


 そして気になっていたお肉を口に運ぶ。ジューシーなお肉を噛むと、肉汁がじゅわっと広がり、幸せな気持ちになる。


 師匠もヘルガさんも同じようにお肉を食べていて、ちょっと可笑しくなってしまった。


 色んな話をしながら、美味しい食事を摂る。この上なく楽しい時間だと思った。


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