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第六十一話 討伐クエスト

 閉めきった部屋の中、ゆっくりとカップを回しながら、満足げな表情で男は口にする。


「あの出来損ないを上手く処理してくれたようだな。やはりSランク冒険者はこう使わんとな」


 ハハハ、と高笑いをしたかと思えば、男は急に考え込む。


「しかしこの程度では簡単に倒されてしまうか……あのケルベロスもどきは我々では手に負えないから置いてきたというのに。少しばかり侮りすぎていたやもしれんな」


 カップを置き、男は次の計画を練り始めるのだった。


 * * *


「討伐クエストに行きたいだって?」


 師匠が驚いたような声を上げる。なんの前置きもなしに言ってしまったのだから、無理もない。


 ティオール森林へ行ったときに、強くなりたいと思ってから、そのためには何をすべきか考えた。その結果、実戦を積むべきだという結論に至った。


「最近はメニューも早く終わるようになってきていますし、そのくらいの時間はあると思うんです。早いうちに行きたいので、修行の時間帯をずらしてもらえると助かるんですが」

「別にそれはいいんだけど……」


 早いうちに行きたいと言ったのは、昼になると暑くなって、体力が奪われるからである。修行を蔑ろにする気はないが、やはり命のかかっている討伐クエストには最高のパフォーマンスで挑みたいのだ。


 少し考える素振りをして師匠が俺に問う。


「理由を訊いてもいいかい?」

「…………秘密、です」


 「師匠の負担を減らしたくて」などと答えるのは恥ずかしくて出来るはずもなく、少し逡巡した後に、結局秘密ということにした。


「そう、秘密……ね。分かった。一人で行くのかい?」

「ええ、せっかく一人でCランクパーティの認定ももらっていますし……ラムハにはフリーの冒険者は今いないらしいです」


 ギルドで訊いてがっかりしたが、目標がSランク冒険者ならば一人での討伐に慣れておいた方がいいとも思った。


「ああ……元々人数が少ないからね。そもそもラムハにはクエストがほとんどないんじゃないかい?」

「はい、なので隣の村まで足を運ぼうかと」


 安全が売りのラムハに、危険な討伐クエストなどそうそうあるはずもなく、それ以外のクエストがほとんどだ。だから討伐クエストを受けるには、隣の村まで行くしかないのだ。


「隣の村まで移動するとなると時間がかかると思うけど──」


 隣の村まではそんなに離れてはいないが、気軽に一日に何回も行き来できる距離でもない。


「はい、でもラムハにはクエストがない以上仕方ないと思っています。なので、ケルベロスと戦ったときに師匠が使っていた、速く走る方法も教えていただけると……」

「それはいいけど、あれはその分疲れるよ? 本当に大丈夫かい?」

「覚悟の上です」


 師匠の質問に大きく首肯すると、師匠はそれを見て口の端を上げる。


「分かった、自由にやってみなさい。多少、修行に遅れても大丈夫だから──どうせいつも予定はないし」


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