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第五十四話 ケルベロス 其の三

「完璧! これは完璧にきまったな」


 間違ってもコルネくんに聞こえないように小声で呟く。組み立てた通りに事が運んだことに僕は満足していた。


 大抵のモンスターは炎の魔法剣を使えば斬れることが多いのだが、前脚の想像以上の硬さに不安になっていたので、きちんと斬れたときは安堵した。


 これできっとコルネくんも「師匠すごい」「さすが師匠」などと思ってくれるはず。よかったよかった。


 気が付けば、ケルベロスの頭から地面のちょうど半分くらいまで落ちていた──全て終わったような雰囲気を出しているが、ただいま絶賛落下中なのだ。


(これ、どうやって着地するんだっけ?)


 そう、満足していた僕は気付かなかった。自分がどう着地するのかを考えていないことに。


 いつもなら落ち始めに風の魔法で速度を軽減し、足から着地するのだが、ここまで落ちてしまっては今から速度を軽減しても間に合わない。


 まずいな。今から土を盛り上げれば、全身を強打するのは目に見えている。速度を落とすのはもう無理だ──となればやはり水を落下地点に出して衝撃を吸収するしかないか。


 あれを使うとびしょぬれになるから出来るだけやりたくなかったんだけどな。ここで濡れてしまうと乾かすまでその場を動けないし、体温が下がるので体力が奪われる。


 仕方がない。ぎりぎりまで風の魔法と魔力操作でスピードを落として──


「コ、コルネくん!?」


 そのとき、向こうからコルネくんが走ってくるのが見えた。僕が着地の準備をしないのを見て、おそらく受け止めようとしているのだろう。


 しかし、そこからでは間に合わないのは目に見えている──戦闘に巻き込まれない距離に僕がとどまらせたのだから。


 するとコルネくんが急に加速する。おそらくは魔力操作で自らの脚の動きを補助しているのだろう──いや、それでもまだ間に合わない。


 もうそろそろ水の魔法を使わないとまずい。ごめん、コルネくん……これを使えば絶対に二人ともびしょびしょになると思うけどこれしかないんだ。


 水の魔法で大きな水球を地面の少し上に作る。それを見てコルネくんがぎょっとしてから、僕がやろうとしていることを察したのかなんとかブレーキをかけようとするがもう遅い。


 バッシャアアアアアアアアアアン、と大きな音を立てながら僕が着水すると、同時に水しぶきが一面に派手に飛び散る。よかった、とりあえず着地は成功だ。


 水しぶきが収まるとそこには恨めしそうな目をしたコルネくんが立っていた。少し癖のある髪はぺちゃんこになり、ぽたぽたと袖口から水が滴っている。


「……師匠」

「ごめんなさい……」

もうちょっとで完璧だったんですけどね

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