第四十五話 関所
トレトの街はラムハのようにたくさんの屋台が並んでおり、賑わっていた。国境沿いにあるため、商業が盛んなのだとか。
ここが百年前に戦場だったとは考えられないほどだ。きっとここにいる人の先祖がたくさんの家や施設を建て直して復興したんだろう──そう考えると感慨深いものがある。
人の数も賑わいも屋台の数もラムハと同じだと感じたが、違う点が一つあった。結構な数の騎士団が街を巡回しているのだ。
おそらく街の騎士団なのだが、隣の王国から犯罪者が逃げてくることがあるのだろうか、それとも治安が悪いのだろうか。それともモンスターの異常発生が原因か?
どちらにせよ、あまり長く留まることはよくなさそうだ。もともと調査もあるし、のんびりしているわけにもいかないのだが。
朝食がまだだったので、屋台で軽く食べてから関所に来た。
まだお昼にはなっていないのに、数十人ほどが列をなしていた。もしお昼に来ていたら森に近い村に着く前に暗くなっていたかもしれない。
念入りに調べているのか列は少しずつしか進まず、待っている間に俺たちの後ろにも同じくらいの長さの列が出来ていた。
「ドリュファスには何の目的で?」
「冒険者ギルドのクエストです」
「なるほど、内容は?」
「この品を届けるものでして」
そう言いながら師匠が鞄から小さな宝石を取り出す。美しさゆえか、相手の息を吞む音が聞こえる。
宝石は魔力結晶のように実用には向かず武器としての加工はされないが、その美しさから貴族の間で好まれている。何かを届けるクエストという設定にしたが、生半可なものだと怪しまれてしまうし、なおかつ邪魔にならないものでないといけない。
それで宝石にしたというわけだ。実はこの宝石、色がくすんでいて人気がないのだが、大量の魔力を注ぐと短い間だけ光り輝くことはあまり知られていない。十分な量の魔力を注げる人間がほとんどいないため、知っていても意味がないからだ。
「分かった。立派な剣に美しい宝石、腕の立つ冒険者さんと見た。そっちの国の冒険者は知らないが、有名なのか? 気を付けて行けよ」
そう言って手を振るおじさん。すんなり通れてよかった。煌びやかな剣を二人とも持っているため、周りから浮いている気がしたが、宝石のこともあって怪しがられることはなかったようだ。
「はぁ……」
しばらく歩いて関所からは見えなくなったところで師匠もため息をつく。やはり関所を通れるかドキドキしたのだろうか。
「魔力……足りない……」
心なしか足元がふらついているように見える。そりゃあ大量の魔力を注いだら疲れるわな。
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