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第四十四話 出発

 翌朝、俺は師匠と馬車に揺られていた。まだ日が出ないような時間に起こされ、寝ぼけまのこのまま支度を済ませて馬車へと乗り込んだ。


 早朝に出発することは知っていたため、持っていくものは事前に詰めてあるとはいえ、直前に確認をしっかり出来ないのは不安だった。


「昨日はよく眠れたかい?」

「はい、まあそれなりに」


 訊いてくる師匠もいつもと違って瞼が上がりきっていない。ときどき欠伸もしているし、やはりまだ眠たいのだろう。


 今回の旅程──調査をざっくりとまとめるとこうだ。


馬車でトレトの街まで行き、そこからは徒歩でドリュファス王国への関所へと向かう。関所を通った後は、南下して森林の裏側にある村へ歩き、そこから森に入って調査を行う。


 トレトといえば、大きなダンジョンがある街とは聞いていたが、隣国と接している街でもあることは昨日まで知らなかった。いつかトレトのダンジョンにも行ってみたいが、今回はおあずけだろう。


 今こうして早朝に道場を発ったのは、関所が関係している。関所はお昼時には混雑するため、それを避けて朝に関所を通ろうということだ。


 今から向かう調査は火急のもののため、一刻も早く向かってほしいとのことらしい。


「その服、似合ってるね」

「あ、ありがとうございます」


 お互いに頭が働いてない状態で、会話が少ないのを気にしたのか師匠が話しかける。正直そんなことを言われると思っていなかったので、回らない頭でどうにかお礼を返す。


 今、俺はいつもとは違う服を着ている。国の依頼を受けての調査だと怪しまれないように、一般人のふりをすることになったのだが、師匠と俺が兄弟という設定になった。


 正直、顔立ちや雰囲気は全く似ておらず──全くの他人なのだから当然なのだが──兄弟っぽいのは年齢くらいだ。だから似たような服を着ることで兄弟っぽい雰囲気を演出しようという作戦だ。


 二人とも冒険者らしい簡素な服装で、師匠が緑、俺が藍で色違いになっている。


 最終的に決まった詳しい設定だと、「兄弟で冒険者をやっており、請け負ったクエストで隣国に向かっている」ということになったので、服装を冒険者っぽくしたのだ。


 乗ってからずっと会話が少なくて気まずいのだが、何を喋るかを考えようとしても頭が上手く回らない。どうしたものか……いっそ寝たふりでもしてしまうか。




「コルネくん、起きて。ほらもうすぐ着くから」


 体を揺さぶられる感覚に目を開ける。ガタゴト、という音がするし見覚えのない椅子がある。そうだった、俺は馬車に乗っていたんだった。


 気まずくて寝たふりをしたらそのまま寝てしまったようだ。前に馬車に乗ったときはずいぶん揺れるなと思っていたのに、二度目の馬車で爆睡をかましてしまうなんて、思ったより俺は図太いようだ。


 パーティ時代は移動するクエストなどほとんどなかったからいつも宿屋に泊っていて、だからちゃんと野営できるかなだとか、外でもしっかり眠れるかなだとか心配していたが、大丈夫そうだ。


「あれがトレトの街だよ」


 外を見れば、整然と建物が並んでいるのが見える。どんなところなんだろう、楽しみだな。

読んでいただきありがとうございます。

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