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第三十六話 鍛冶屋にて

 馬車は人里を通り過ぎて離れたところにある家の前で止まる。工房が一緒になっているからか他の家に比べて一回り大きい。


「さあ行くよ」

「はい」


意を決しておもむろに座席から腰を浮かす。馬車から降りて御者さんにお礼を言い、扉を叩く師匠に続く。


「ごめんくださーい」


 中から聞こえるカンカンという音に負けないように声を張って師匠が言う。そんな大声を出したら気付かれてしまう──いや気付かれないと困るのだが、出来たら気付いてほしくないというかなんというか。


 背反する気持ちに頭を悩ませていると、軽い足音がして木の扉が開き、首にタオルをかけた青年が顔を出す。


「こちらダグの鍛冶屋です。手紙をいただいたロンド様ですか?」

「はい、ロンドです。ダグさんは──」

「お師匠様は中で作業しています。中に入ってお待ちください」




 中に入ると想像と違ってごく普通の家のようだった。普通の家といっても比較対象がエミルとマリーの家しかないから本当に普通の家かは分からないが。


 鍛冶屋なので暑いのではないかと心配していたが、心なし外より気温が高い気がする程度だった。


「よう来たのう、ロンド。そっちがコルネか。昔のロンドに似て──はないのう」


 奥のドアを閉めながら老人が入ってくる。見た目は好々爺といった印象を受けるが、本当にこの人がダグさんなんだろうか。


「お久しぶりです、ダグさん。今日はお手紙にも書いた通り、魔法剣用の武器の依頼に来ました」

「そろそろくる頃かとは思っとったんじゃ。前にロンドの剣を打ったのは十年くらい前になるかの。剣が長持ちするのは腕がいい証じゃ」


 ダグさんが微笑む。微笑みに神々しさを感じてしまうほどの好々爺ぶりだ。


「そのお言葉は嬉しいのですが、前に打っていただいたのは五年前です」

「そうじゃったかの。まあそんなことはどうでもええわ、持ってきたんじゃろ、魔力結晶」


 ほれほれと言いながら、出せという仕草をするダグさん。師匠が持ってきた袋の口を開けながら、ちらりとこちらを見た気がした。少し気になったが、直後そんなことはどうでもよくなった。


「うっひょーーーーーーーーー! 魔力結晶がこんなに! この大きさがこんなにあるなんて夢のようじゃ! ひゃーーーーーーーーーーーー! ああ……興奮し過ぎて手が震えるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!」


 あまりの豹変ぶりにびっくりしてしまった。さっきまでの好々爺は一体どこへ……? 説明を求めるように師匠とダグさんの弟子を見ると、二人はやはり見慣れているのか反応が薄い。


「……はぁ……はぁ。年甲斐もなく興奮してもうたわい」

「この中からよさげな魔力結晶を選んで、剣を打ってもらいたいのですが」

「ちなみに報酬は……」


 伺うようにダグさんが師匠を見ると、師匠がにっこりと笑う。


「現金です」

「んわああああああああああああああああ! 魔力結晶ほしいよう……」


 頭を抱えて落ち込むダグさん。なんだろう、師匠の新たな一面を見た気がする……


読んでいただきありがとうございます。

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