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第三十二話 ダンジョン探索 其の十一

 ピチチ、という鳥のさえずりで目が覚める。あの後どうなったんだっけ。


 たしか、ヘルガさんが迎えに来てくれて……師匠をおぶったヘルガさんの後を歩いて道場まで帰った。前から師匠が浮かせつづけていた魔力結晶、ヘルガさん、俺の順だ。


 結局師匠は帰るまで一度も魔力結晶を落とすことなく浮かせつづけた。自力で歩けないほどに体力が残っていないのになんて集中力だと思った。


 道場に着いたときにすごく安心したのを覚えている。同時にもう何年もずっとここに住んでいるような気持ちになったことも。


 道場に着いてからの記憶がほとんど残っていないということは、きっとベッドに辿り着くなり泥のように眠ってしまったのだろう。


 朝なのに珍しくぐぅ、とお腹の音が鳴る。帰ってきてすぐに寝たということは、昨日の昼食から何も食べてないことになる。考えてみればお腹が空くのも当然か。


 食堂に向かうとまだ誰もおらず、奥の厨房でヘルガさんが朝食を作っている最中らしかった。


 まだあのフライパンの音を聞いていないのだから、いつもより早く起きてしまったわけだ。


「早いですね、コルネくん」


 こちらに気付いたのか厨房からヘルガさんの声がした。ジュージューという音に消されぬよう少し声を張っているようだ。


 肉を焼くような音に違和感を覚えて思い至った。昨日夕食を食べていないということはもしかして夕食は捨てられて──何のお肉かは分からないけどお肉になった家畜さん、ヘルガさん、ごめんなさい。


「今日はお腹が空いていると思って朝からお肉にする予定なのですが大丈夫でしょうか」

「大丈夫です。とてもお腹が空いていたので──もしかして昨日の夕食の分ですか?」

「ええ、昨日作ったはいいもののロンド様もコルネくんも帰るなりパタっと寝てしまいましたから。冷やしておいたのを温めているんです」


 よかった、昨日の夕食は無駄になっていないみたいだ。冷やしておいた、ということは氷系統の魔法が使えるようだ。


 ただ一晩冷たさを保つにはかなり大量の氷がいるはずだ。きっと氷魔法が得意なんだろう。


 そういえば昨日から気になっていることがあるんだった。訊いてみるか。

「ところで、昨日師匠をおぶってましたよね。どこかで鍛えられてたんですか」


 訊いてはみたもののすごく失礼なことを訊いている気がする。内心だらだらと冷や汗を流しているとさらりとした返事がくる。


「ええ、まあ。もう一つの仕事の方で」

「その仕事というのは……」

「秘密です」


 びくびくしていたが本人は大して気にしていないようだった。


やはり他にも仕事をしていたか。ここでそれなりに長い間暮らして分かったのだが、ヘルガさんは昼夜問わず出かけることが多い。


 食材や日用品を手に帰ってくるときは買い物に行っていたのだと分かるが、手ぶらで帰ってくることも多い。


 それだけなら息抜きに出掛けているのかもと思うが、夕食の後に出掛けることもかなりある。だいたい四、五日に一回くらいのペースだ。


 以前気になって後をつけようとしたが、玄関で師匠に「何をしてるのかな?」と笑顔で肩を掴まれてしまった。


 詮索しない方がいいのは分かってはいるのだが、やはり気になる。どうにか聞き出せないだろうか。

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