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第二十八話 ダンジョン探索 其の七

 師匠が火柱で足止めしていたモンスターを一掃してからは、モンスターの数が格段に減った。


 どうやら階層にいたモンスターのうちかなりの数が、俺たちが戦う物音を聞いて寄ってきていたんだろう。


 今では師匠が止めているモンスターの数も両手で数えられるほどになっている。これならさくっと奥の魔力結晶を回収して日暮れまでには帰れるかもしれない。


 終わりが見えてきて俺のモチベ―ションは急上昇だったが、対照的に師匠は魔法を使いながら顔を覆って落ち込んでいた。


「やってしまった……これはコルネくんの修行なのに…………僕は師匠失格だ……」


 師匠は意外と繊細なようだった。ここまで落ち込まれてしまうと何と声をかけていいのか分からず、気まずさを抱えたまま俺はひたすらモンスターを倒していった。




「これが魔力結晶……」


 半分壁に埋まっている巨大な魔力結晶を改めて見て呟く。


 目についたモンスターを全部倒し終えて、俺たちは最奥部でダンジョンのモンスターを生み出す魔力結晶と対峙していた。


 一度魔力結晶の手前までは行ったのだが、後ろからモンスターが追ってきた。途中でモンスターに襲われていては魔力結晶を持ち出すのに邪魔になる、という理由で入っていない通路をしらみつぶしに調べてモンスターを倒した。


 そうしてようやく魔力結晶とご対面、というわけだ。


 この階層のモンスターの魔力結晶も一階層に比べれば何倍も大きかったが、これは格が違う。


師匠が両手で抱えられるくらいだと言っていたが、これは一人で抱えるのは難しそうだ。俺の身長の半分以上ある。


「うーん……ここまで大きいとは思ってなかったね」


 師匠が眉を曇らせている。


 この魔力結晶を初めて見たときには、ペタペタ触ったり抱えるふりをしたりと興奮していたが、運び出せるかという問題に至ったのだろう。


 師匠は魔力結晶が大好きだから、持ち帰れなかったらすごく落ち込むだろうな。あの興奮の仕方を見せられると、三日くらい寝込むのではないかという推測も強ち否定しきれない。


「とりあえず壁から出しましょう」

「あ、うん。そうだね」


 沈んでいた師匠が戻ってきた。


 自分で言っておいてなんだが、ダンジョンの壁をどうやって壊すんだ? ダンジョンの壁を触ったとき石のような感触だった。これを壊すのは並大抵の力では無理だろう。


「あ、コルネくんには言ってなかったっけ? ダンジョンの壁は水系統の魔法で崩れるんだよ」


 動こうとしない俺を見て師匠が俺の考えを察知したらしい。


 なるほど魔法でなら壊せるのか。何度も水の魔法剣は使っていたが、壁には当てたことはなかったので分からなかった──というか壁に剣を振るおうなんて普通思わないからな。


 師匠が水の魔法を使うとあの硬さが嘘のように壁がボロボロと崩れおちていく。まるで壁が元々固めた土くれであったかのように。


 あっという間に結晶の下側の壁が崩される。


「ゆっくりだよ、ゆっくり」


 一緒に結晶に力を加えて壁から出そうとしていると、しきりに師匠が言ってくる。そんなに何回も言わなくても分かっている。しかしここですぽんと抜けてしまって傷でも付こうものなら、師匠は倒れてしまうかもしれない。


 本当に慎重に結晶を小刻みに揺らしていく。始めはほとんど揺れていなかったが、次第に揺れ幅が大きくなっていく。


「出るよ! コルネくん」


 俺と師匠は転がり出た球体の結晶を受け止め、ゆっくりと地面に下ろす。


「はぁ……」


 汗を拭きながら、結晶が埋まっていた近くの壁にもたれて座り込む。肉体的にはどうってことなかったけど精神的に疲れるな、この作業。


「さてと、次はこれをどうやって持って帰るかだね」


 顎に手を当てて考える恰好をしながら師匠が言った。それ考えてなかったんですか……


読んでいただきありがとうございます。

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